川越芋太郎の世界(Bar”夢”)

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「君に情熱を教えよう!」、だれの言葉か?・・・

2012-10-28 09:00:10 | 「美」発見
前回の場の大切さを映画監督の大村さんが述べられていた。(ゲーテ紙上の対談)


これに類する話であるが、石原元都知事(つい先日辞任したが)若き日の読書から学んだ人生談を紹介していた。


アンドレ・ジッドの「地の糧」
その一文を紹介しよう。

君に情熱を教えよう
行為の善悪を判断せずに行うこと
善か悪かではなく、迷わず愛すること
平和な日を送るより悲痛な日を送ること。
私は死の眠り以外の休息を願わない。

都知事を辞任して、国政にでる。
それは決断であろう。
都知事で辞めておれば、美しい人生であるかもしれない。有終の美というやつだ。
しかし、石原氏が選択したのは、イバラの道。
(以下敬称略します。悪しからずご了解願います。)

まず、名誉を棄てて、チャレンジャーとして、既成政党に挑む。
うまくいけば結果オーライであるが、失敗すれば、散々にマスコミや反対勢力からも叩かれる。
すでに、一部の人々から息子達の利益のためと言われている。
国益ならぬ私益追求だと。

しかし、どうであろうか。
彼が都知事を辞任して得られるものが、少ないように思われる。
すでに、名誉と金は取得している。
いまさらながらであろう。
それよりも、気になるのが先のアンドレ・ジッドの言葉である。

石原がいう主張が真実なら、あの言葉がそのまま当てはまる。若き日の彼が憧れた詩。
それは、老齢の今、再び最後の人生への炎ではないだろうか。
「お国のため」という右翼的保守的表現を嫌う人が多いが、お国=国益=未来の日本人へのためと考えれば、落ち着くのではなかろうか。

高年齢の彼が、いまさら健康を害して、私欲に走るとは合理的決断とはいえない。
寧ろ、非合理的決断であるからこそ、上記のほとばしる感性を感じる。
こう褒めたら、言いすぎだろうか。


実は、先のアンドレの言葉の次に石原氏が次ような内容を語っていた。

「自分の好きなように生きることはそう簡単ではない。時にはとんでもない犠牲を払うこととなる。それでも、少ないくとも己の感性は大事にしたい。」

さらに、お経の言葉から、
「貪欲滅すれば即ち苦滅す(=解脱の悟り)」
を引用していた。

自らの健康を削って、おのれの感性を全うしたい。
そういう彼の声が聞こえる。
健康を大切にして欲しい。
良い悪いは別にして、ストレートに語れる数少ない政治家である。今の日本には貴重な発言者である。


平成24年10月27日 川越芋太郎





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