温室は工事のためしばらく休館になります。
調布市にある神代植物園は、自宅から車で30分ぐらいの所にあり、都が運営・管理する植物園で、良く手入れされていて、四季の草花や樹木など、また野鳥も多いため、写真撮影に行く場所である。古くはこの一帯は農地であり、桑畑が多かったようである。戦後、東京都が購入したそうである。平坦な土地で、広大な面積を誇る。入園料を取られるが、年間通じて利用できるパスポートが発行されていて、平日には入園者も少なく、ゆっくりと散策できる。定期的に季節に応じた展示会が開催され、これも楽しむことが出来る。
隣接する深大寺は、天台宗の名刹で、都内でも一二を誇る歴史を持っている。神代植物園から出入りが可能で、昼食はいつも深大寺参道にある日本蕎麦屋で深大寺蕎麦を頂く。
更科蕎麦で、腰があり、この時期は新蕎麦が楽しめる。決まって注文するのは冷やしたぬき蕎麦であるが、手桶に入った蕎麦を啜るのは何とも奥ゆかしい。残った付け汁をそば湯で薄めて七味唐辛子をふりかけて頂く。
深大寺の湧き水は東京都の銘水に指定されていて、近くには農業高校がわさび田を持っているようで、この銘水で打った蕎麦はおいしいのであろう。実際には蕎麦粉の殆どが中国等からの輸入物であると思うが、それでも手打ち蕎麦と聞くと産地は兎も角として、都会の雑踏から離れたこの地での食事は、避暑地のような情緒を味わうことが出来る。湧水のお陰で、気温が低く、日中でも涼しく感じられる。
最近は家庭でも余り見かけないようになったひょうたんやヘチマが植えられている一角があり、ヘビウリが何本も垂れ下がっていて、シマヘビかアオダイショウが吊してあるように見える。この近くには大木となった栃の木があり、栃の実が落ちていた。田舎では栃の実と餅米を炊いて栃餅を作るようであるが、渋抜きに多大な手間がかかるそうで、今回は見るだけにした。栗も同様であるが三つに割れる殻から簡単に取り出せ、光沢のある黒い実の輝く皮は何とも美しいものであった。
持ち帰る人も中にはいるが原則採取は禁止とのことであった。植物の実は秋になると多くが採取できるが、公園ではそれらを集めて、展示していたことを思い出した。実物教材として利用していることは大変良いことである。植物公園が憩いの場所であると同時に、災害時の避難場所にも使われ、実物教材としての学習の場であることも公園の目的なのであろう。