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近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

完全雇用

2014年09月08日 00時00分01秒 | 紹介

 社会主義世界のことではない。働く意志があり、就業能力がある求職者全員が就労している状態を完全雇用というが、雇用の需給関係は当事者の様々な事情で常に流動している。需給関係は総ての人が調査の対象となっていても、総てを網羅し、実数を把握できているわけではなく、労働市場といっても物の売り買いが目に見えるわけではなく、仮想空間としての市場である。労働市場での求人・求職の統計調査は公共職業安定所統計がベースとなっている。

 完全雇用は自らの意志で就業しない自発的失業者、及び、労働の需給の時間的ずれによる一時的失業者を除き、労働の需要と供給が一致した状態である。通常は完全雇用が100%となることはない。その理由は、求職条件と雇用条件が合わないミスマッチが起こるからである。傾向としては就職氷河期を脱し、需要が逼迫する状態にある。

 技術革新の進展は新製品の登場で生活を便利にし、時間的な余裕を産み、高度な情報化社会は世界各国とネットワークが構築でき、離れていた地理的条件は意識する必要がなくなっている。産業構造の変化をもたらすと共に、雇用形態を一変させつつある。特に顕著な業種は、ITの普及による事務分野の業種の減少である。

 製品製作現場は海外移転による産業空洞化が引き続いており、国内求人の減少に繋がっている。生産現場では少子高齢化や成果主義の影響もあり、技能や技術の継承が困難となっている。特に技能・技術者の育成は費用と時間がかかり、指導者がいない現場も多い。高度化した熟練労働者の不足は著しく、求職者の二極化を生んでいる。

 我が国の完全失業率は3%台を維持しているが、労働力人口を6000万人とすれば、180万人の完全失業者が居ることになり、この状態が継続するかは難しい状況となっている。就職したとしても定着率は以前と比較して改善しているわけではない。7・5・3といって、就職後の定着率は中卒7割、高卒5割、大卒3割が3ヶ月以内に辞めている。 これもミスマッチが原因であろう。不足した労働力を外国人、高齢者、仕事をしていない女性に単純にシフトするわけにはいかない。

 現職の時に完全雇用を目指した政策に、「さちこプラン」という物があった。産業、地域、高齢者の頭文字を取って名付けた政策であった。それぞれのミスマッチをなくすという物であったが、現在も継続していないところを見ると、成功しなかったようである。