かずさんの、ふらり日々是好日の記

ふっても てっても  日々是好日  泣いてもわらっても 私の一生の中の きょうが一番いい日だから

740 輸出入申告の申告先官署の選択制が、いよいよ導入!

2010-06-10 | 通関業
 5月12日以来の久しぶりのブログのアップです。
 約一ヶ月の間に、総理大臣や民主党の執行部が変わり、宮崎の口蹄疫が都城市に発生し、EUの財政問題が顕在化し、サッカーのW杯がまじかになり、本州の入梅がそこまで迫り、いろんなことがありました。
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 昨6月9日付けで、通関業界が待望久しい、「認定通関業者に係る申告官署の選択性の導入」についての関税局長通達が出されました。

 詳しくはhttp://www.customs.go.jp/kaisei/tsutatsu/H22tsutatsu/H22tsutatsu0660/leaflet_22-06.pdf

のリーフレットをご覧になれば分かりますが、大きな港でいくつもの保税蔵置場を使って通関をしている通関業者にとっては、事務処理の集約をして大きく効率化を図ることが可能となる制度です。

 このような選択制は、かねて業界が当局に強い要望を出していましたが、7月からAEOの「認定通関業者」だけですが認められることになったものです。

 たとえば、横浜港では、本関、鶴見、大黒、山下、本牧の5箇所に税関官署がありますが、希望すれば、どこかに集中して申告して、書類の提出を行うことが出来ますので、これまで分散していた通関の要員を集中することにより、省力化や経費の削減を行うことができます。

 ただ、申告を受け付ける税関側にとって、業務量が大変動する可能性があり、その処理のための要員配置が適切に行えるよう、通関業者は毎年3月に、通関業務の営業所ごとに、どの官署に申告するかを届け出ることになっています。

 また、税関をまたがって、たとえば、神戸市の通関営業所が、大阪税関の南港出張所に申告するというような税関をまたがっての選択は出来ないようです。

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 青もみじの季節に続いて、菖蒲や蛍の季節でもあります。四季のある日本は素晴らしいですね。

 



734 AEO通関業者と申告官署の選択制

2010-03-16 | 通関業
 15日は、近畿地方にも春一番が吹きましたが、同じ日付の新聞「物流ニッポン」で、「AEO通関業者を対象にした「申告官署の選択制」導入へ」との、通関業務関係ではビッグなニュースが掲載されました。

 同業界関係の方には、すでに具体的な話が伝わっているのではないかと思いますので、今回は、通関業に直接タッチされていない荷主や、試験の受験者などを念頭に、どのようなことか平易に内容を紹介します。

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「横浜港」といっても、いろんなイメージがあります。東京湾は関税法の開港で見ても、木更津、千葉、京浜などの港がありますが、ふつう、横浜港といえば、山下公園やベイブリッジなどで有名なあたりを考えるのではと思います。

この横浜港で輸入されるコンテナ貨物をイメージすると、コンテナ船はコンテナーターミナルがある本牧埠頭か大黒ふ頭に接岸するのが普通ですが、コンテナーからの貨物の取り出しは、必ずしも本牧や大黒地区ではなく、その他の地域で行われ輸入申告時に貨物がおいてある保税地域は、本牧や大黒埠頭に限らず、あちらこちらに所在します。

一方、この横浜港地区には、税関の官署が、本関、鶴見、大黒ふ頭、山下埠頭、本牧ふ頭の5つがあり、輸出入手続きは、その申告対象の貨物が置かれている保税地域を管轄する官署に対して行い、書類審査や検査をその申告官署で受けるのが原則です。

 このように、横浜港でいくつもの官署があるのは、昭和年代を通じて港湾造成が進み、それにしたがって貿易船の入港する地域が多点化したため、税関サービスの水準を落とさないように、税関官署を新設して対応していったからです。

もちろん、荷物を扱う海貨業者や通関業も、港の造成にしたがって取り扱い拠点の営業所や事業場を立点化していったわけですが、このような事業の分散は経営効率上は必ずしも望ましいことではありません。

  通関業も同様の事情で、出来れば、貨物が横浜港のどこに置いてあっても、どこかの官署に集中して申告して、書類審査もそこで集中してやってもらえれば、いくつもの官署に書類を持って回らなくても済み事務効率が上がります。

このため、通関業団体はかなり以前から「同じ税関内ならば、どこの官署に申告するかを選ばせてほしい」との要望を出していましたが、冒頭の新聞の記事は、その実現に向けての動きがあるとのものですが、新聞では、どの官署が対象になって選択が認められるのかなどの詳細は明らかになっていません。

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ただ、税関は、関税徴収、麻薬や偽ブランド品の密輸や、経済産業省その他の省庁の輸出入規制の実効を確保するため、何時でも輸出入貨物について現品検査をする仕事があります。

 このため、この現品検査をするときに、どこで(貨物が置かれている場所に近い税関官署か?申告が提出された官署か?又はその他の場所か?)、誰が(申告を受けた税関職員か?検査場所に近い官署の税関職員か?)検査をするのかなど、行政と荷主側の双方の効率や負担なども考えた検討がされていると想像されます。

 どちらにしても、AEO通関業者を対象にした申告官署の選択制の問題は、当面、目が離せない通関関係のビッグな話題となりそうです。

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 今年の通関士試験対策は、

今回取り上げた、管轄主義の原則をAEO業者の通関貨物について例外扱いにする(ということかどうかは未だ分かりませんが)ことの法令上の解釈などは試験にはなじみにくいと思われ、2010年度の関税法改正も少なかったので、じっくり取り組めそうですね。

 縁があって、大阪大学の教授による中世日本の古典を原文で読む会に時々出席させてもらっています。
 原作者による原文は現存しておらず、藤原定家が写本したものを下敷きにしたものなどがテキストですが、かなで書かれた原文の写本はほとんど読みこなせませんね。今、ちょうど、私が通勤しているあたりのところが舞台です。







686  国際航空貨物の申告官署ルール!

2009-07-01 | 通関業
 北九州では豪雨で被害も出ていますが、皆さんのところでは如何ですか?
 6月30日に、財務省が開催していた「国際航空物流と税関行政に関する懇談会」の座長取りまとめが公表されました。

  成田空港の平行滑走路の2500mへの延伸が今年10月、羽田空港の拡張が2010年10月には実現し、首都圏では①昼間時間帯の路線は制約があるものの24時間稼動の羽田と ②24時間稼動できない成田
とを一体的に運用して、国際航空機能を高めることは、アジアの空港と厳しい競争をしているわが国にとって重要な課題です。

懇談会は、このような問題意識を背景に、関係者から事業展望や税関行政に対する意見要望等を伺うことを目的に開催されたもので、2空港の一体的運用における税関行政への要望のうち、

① 国際航空貨物に関する申告官署 ② 首都圏空港間の積込港変更手続き等 ③保税運送手続きの簡素化 ④航空機材の資格変更手続きの4項目については、当面の対応の方向性が出されています。

 詳しくは、「取りまとめ」をご覧頂くとして、注目される①の申告官署について内容を見てみましょう。
http://www.mof.go.jp/singikai/koukuu_butsuryu/ka210630.htm

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成田、羽田で積卸される輸出入貨物の輸出入申告は、主に東京税関の本関、成田航空貨物出張所、成田南部航空貨物出張所、東京航空貨物出張所、羽田出張所の5つの官署で行なわれています。

このように、いくつもの官署となっているのは、成田、羽田の輸出入貨物の保管場所が空港内だけにとどまらず、各フォワーダーの事業判断で空港近辺や都内などに所在していたり、成田空港建設時の経緯から東京と成田の中間ぐらいの千葉県市川市にフォワーダーの施設があったりするため、それぞれに税関行政サービスを確保するためなどで官署ができていったからです。

 このように、貨物の保管場所は、フォワーダーの判断などで千葉県から東京まであちらこちらに分散しており、これは成田・羽田延伸や拡張が実現しても変わりません。

そこで、分散保管を前提に、フォワーダー(通関業者)は通関手続きについてできるだけ集中処理して事務効率を高める方策として、次の要望をしています。
① 輸出入申告は、先ほどの、どの官署にも出来るようにしてもらいたい。
② 貨物の検査は、(申告した官署に持込むのではなく)貨物の保管場所で対応して欲しい。

 この要望は、フォワダーの単純な事務効率だけを考えれば頷けますが、一方、行政サイドから見れば官署毎の申告件数がフォワーダーの処理方法の変更だけで短期間に大きく変動する可能性があるため必要な審査・検査のための配置職員数に過不足が生じやすく、水際でのセキュリテイや適正通関に問題が生じる恐れがあるとの心配があります。

また、通関業者においても、申告に当たって必要な場合は貨物を事前点検したりする必要がありますし、税関の貨物検査時には的確に説明するなどの対応が必要ですので、羽田空港保管の輸出入貨物の申告を成田の税関に行うことにより事務効率は高まっても、通関業法で求められている通関業務の質が落ちるようでは困ります。

 このため、「取りまとめ」では、次のようにいろんなポイントを踏まえつつ、・・・・可能な範囲で積極的に検討する必要があるものと考えられる。・・・・と結んでいます。

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「取りまとめ」(抄)

① 国際航空貨物に関する申告官署
・ ・・・略・・・

  こうした要望については、首都圏空港の一体的な運用が「基本方針2008」に盛り込まれていることに配慮しつつ、税関に求められるセキュリテイや適正な通関の確保及び的確な人員配置の要請、事業者に求められる貨物の現況に基づく適正な申告及び税関の検査等への的確な対応の必要性を踏まえ、可能な範囲で積極的に検討する必要があるものと考えられる。
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この問題は、通関業務に現にタッチしている方の関心が高いのではと思います。
匿名で結構ですから、自由なご意見や感想を頂ければありがたいですね。



 






写真は、羽田の案内表示と国際便出発便の時刻表、今年10月に供用が決定した成田・平行滑走路の上空を試験飛行する飛行機です。

 



640 通関士とテレワーク?

2009-04-20 | 通関業
  報道で、NTTグループのベンチャー企業などが在宅勤務のコールセンター要員を1万人規模で登録との記事がありました。

 私も、企業のフリーダイアルのカストマーセンターに電話を入れると、ユーザー番号や問合せ事項などを入力するように指示を受けた後、もしかしたら海外のどこかに繋がっているのかなと思えるような日本語での応対に出会わせることが有ります。国内でも、東北や沖縄に有るコールセンターに繋がっていることが多いようです。

 コールセンターは、在宅勤務になじむ仕事の典型ですが、今や多くの職場や仕事ではパソコンと電話、ファックスのような通信機器を使って処理することが多いようで、一日、パソコンの画面を見ながらという世界も有りそうです。

 また、大きな企業では、色んなネーミングで在宅勤務を取り入れたり、トライアルを重ねているようで、その際の基礎的インフラの一つは、企業のネットワークに社員自宅のパソコンから安全にアクセスできる環境です。

このような環境整備のために、社員が自宅のパソコンに専用のUSBスティックを挿し込むだけで、社内ネットワークに接続できるようにするサービスが販売されていますが、このサービスは、新型インフルエンザがまん延した場合に、「在宅勤務」で企業の業務継続を助けるシステムを想定したものです。

新型ウイルスによるパンデミックで、学校や職場、地域が閉鎖される事態は、今年の初めに妻夫木君が出演した「感染列島」で世間の話題を呼んだことで記憶に新しいところです。

なお、昨年7月には、この通信環境を利用する在宅勤務(テレワーク)についてのガイドラインが厚生労働省から示されています。http://www-bm.mhlw.go.jp/houdou/2004/03/h0305-1.html

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さて、通関士の業務は、「在宅勤務」ということはあるのでしょうか?もしかしたら、もうどこかの通関業者では
採用されているのでしょうか?

 通関業法では、次の条文のように「・・通関士を置く・・・」、「内容を審査させ・・記名押印」という表現をしていますので、通関営業所に置く通関士の勤務形態として在宅か事務所かの制約はなさそうですし、ご承知のように通関手続きの太宗は、NACCS利用で、記名押印もシステム的処理になっていますから、実務的にも問題はすくなそうです。

ただし、在宅勤務では、法律が求める通関士の業務が出来ないような環境(例えば、仕入書の内容が在宅では見れないような環境)では、ノーでしょうか?

どなたかこの問題で情報をお持ちなら教えてもらいたいものです・・。

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 (通関士の設置)
第十三条  通関業者は、その通関業務を行なう営業所ごとに、政令で定めるところにより、通関士を置かなければならない。ただし、当該営業所が次の各号の一に該当する場合は、この限りでない。 (以下省略)

(通関士の審査等)
第十四条  通関業者は、他人の依頼に応じて税関官署に提出する通関書類のうち政令で定めるもの(通関士が通関業務に従事している営業所における通関業務に係るものに限る。)については、通関士にその内容を審査させ、かつ、これに記名押印させなければならない。

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 妻夫木君といえば、NHKの大河ドラマ「天地人」の直江兼継役ですが、毎週楽しんでいます(^。^)。




600 日本の製造業と通関業を営む国際運送業の将来

2009-02-19 | 通関業
  こんばんは! 二日間ブログの休みを貰って、個人的な学習や、パソコンやプリンターを復旧させるための起動デイスクの作成やあれこれをしていました。

 今や、個人生活もIT化が進み、テレビやレコーダー、カメラ、パソコンなど随所でデジタル技術が活用され、故障した時には、故障箇所のボードや、主要部品をそっくり交換することぐらいしか出来なくなっています。

 また、個人が使うWindowsは、XPで随分安定しましたが、アプリケーションが求めるCPUの能力が年々アップして機器の陳腐化も高スピードです。

 さて、世界経済は底が見えない状況で、IT機器の世界の需要が急減し自動車、電気機器など日本経済の屋台骨でもある業界が営業赤字に転落する始末です。

 昨年度の営業利益率が5%程度の企業が、売上が7~8%近くも減れば巨額の赤字になるのは当然ですが、いま、有力メーカでは、製品そのものの性能を高めるための努力をするだけでは、デジタル技術による製品のコモディティ化や需要の低迷への打開策にならないと考えられています。

 乗用車ならば、スローライフや環境生活、あるいは団塊世代の本格的リタイアによる行動などの生活研究、それに呼応するマーケテイング、開発、生産、販売、アフターサービス、リサイクルまでを含めたトータルのサプライチェーン全体で、自動車という価値を高めるかという、広い視点が求められているようです。

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 そこで、通関業あるいは通関業が属する世界はどうでしょうか?

 通関業といっても、通関業専業という会社は極めて少なく、殆どは、港湾運送業、貨物利用運送業、貨物自動車運送事業、倉庫業などの国際運送事業が中心の会社です。

 このような兼業企業は、中心事業分野での、早く運送する効率性や高い運送品質というような、モノ作り企業で言えば製品にあたる部分の性能が、顧客向けの主要な売りでした。つまり、安く、早く、きちんと運ぶというのが売りでした。

 しかし、これからは、物流のセキュリテイの維持や、輸出入者のコンプライアインス体制の一翼を担うなどの新しい要素が必要ではないでしょうか?このような、通関業務における役割の量的、質的変化が求められるということを誰かから伺った記憶があります。

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 まとまりのない独白になってしまいましたが、NACCSという誰でもが使えるシステムが普及し、規制緩和や、行政の透明化等によって、通関業務のコモディティ化が進む中で、今後の通関業は、どういう視点でどのようなサービスを充実していくべきなのかが、問題意識の原点です。

 このブログをご覧になっている通関業の方のご意見を待っています。