かずさんの、ふらり日々是好日の記

ふっても てっても  日々是好日  泣いてもわらっても 私の一生の中の きょうが一番いい日だから

644 多機能機械、複合機械、機能ユニットのHS分類の頭のたいそう(^。^)

2009-04-24 | 関税率表分類・HS
 HS分類は、ありとあらゆる輸出入貨物を10000ぐらいに分類するものです。
通関士試験の受験勉強では、てこずられている方も多いようですが、身近に学習材料がごろごろしている分野でもあります。そこで、読者の方に頭の体操がてらの質問です。

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例1 ビールの美味い時期になりました。ビール工場の見学をされた方も多いと思いますが、アルミ缶がコンベアで流れているうちに、ビールの充填、シール、缶への印刷、随処の検査、箱詰め、梱包が全て幾つもの機械で行なわれます。

 自動車工場では、同じく台車が流れていくうちに、溶接、塗装などの各工程をそれぞれの機械が行なって行きます。

もしこのような、色んな機械がばらばらで、ただし全て同じ輸入で一挙に輸入されてきて、組み立てると一連のビール製造工程や自動車製造工程のほとんどが完成するという場合、これは、複合機械として分類されるでしょうか?もし分類されないなら、HSでの「複合機械」とどこが違うんでしょう?

例2  携帯電話を想像してください。電話、メール、カメラ、テレビ受信機、万歩計、録画・録音、音楽データーの再生など、いろんな機能を、一つの機械が持っています。

 このような、機械はいまや身近に一杯あります。プリンターは、FAX、印刷、スキャナー、コピーなどの複合機がありますし、パソコンもテレビ受信機能があるものも多くなりました。
 このHS分類は、「主たる機能」によって所属が決定されますが、その主たる機能はどう見分けるんでしょう。
        

ソフトバンクのi-フォンは、i-pod タッチに 電話機能が付いたものとも思えますが、それぞれあなたならどう分類しますか?

例3 エアコンの多くは、ガスの冷媒を冷却したりする冷却ユニットと、部屋や車の中に設置する部分とがパイプや電線でつながるようになっています。

薄型テレビが普及してきましたが、通信技術の進歩を利用して、近頃は超薄型のモニター部分とチューナ部分を別にしてその間を無線でつなぐというテレビジョンが出ています。
 
このように、無線で繋がるような機械で、トータルで一つの機能を分担するようなものの分類はどう考えるのでしょう?

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 頭の体操ですから、関連しそうな規定を紹介しておきます。

① 関税定率法 関税率表の解釈に関する通則 2(a)
②    同    関税率表 第16部 (注)3及び4
③ 関税率表解説(基本通達)の 上記の部分の解説記事    

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くさなぎくんの、裸事件は驚きましたが、今朝のテレビを見ていると、インタビューされた一般のおばさんも、女性も全然非難しないですね(^。^)

 酒を飲むと、やたら抱きつくヒト、おしゃべりになる人、からむ人、笑うヒト、う~ん自戒自戒。いろんな失敗をして大人になっていくというのは、懲りないやつの自己弁護でしょうか?




613 「ハンドバック」の分類

2009-03-10 | 関税率表分類・HS
  私の住む町は朝から青空。と言っても霧が出て電車が遅れるなどでしたが、4月中ごろの陽気でした。
 このブログの読者の皆さんは、ぼちぼちコートを脱いで春のファッションに衣替えでしょうか?
 ターミナルでは、振袖やはかま姿の若い女性や、フェミニンなスカートや明るいセーターが目に付く時期でもありますが、この頃には、「ハンドバッグ」に視線がいくことも多くなるようです。
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  ハンドバッグのような容器(味気ない言葉ですが・・)は、HSの第42類ですが、その42.02は、次のように色んな名称が並んでいます。

旅行用バッグ、断熱加工された飲食料用バッグ、化粧用バッグ、リュックサック、ハンドバッグ、買物袋、財布、マップケース、シガレットケース、たばこ入れ、工具袋、スポーツバッグ、瓶用ケース、宝石入れ、おしろい入れ、刃物用ケースその他これらに類する容器(革、コンポジションレザー、プラスチックシート、紡織用繊維、バルカナイズドファイバー若しくは板紙から製造し又は全部若しくは大部分をこれらの材料若しくは紙で被覆したものに限る。)及びトランク、スーツケース、携帯用化粧道具入れ、エグゼクティブケース、書類かばん、通学用かばん、眼鏡用ケース、双眼鏡用ケース、写真機用ケース、楽器用ケース、銃用ケース、けん銃用のホルスターその他これらに類する容器

 ざっと読んでみて、私には「エグゼクテイブケース」とはどんなものだろうとか、何かの入れ物を渡されて「これは何か?」と言われると目をぱちくりになりそうです。

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 そして、この4202.21、4202.22、4202.29には、「ハンドバッグ」が分類され、金メッキを使用していることの有無や、外面の材質(革、レザー、プラスチック、繊維など)で先ほどの6桁が適用されます。

この42.02の容器には、先ほどの品名や、金メッキなどの有無や材質で、WTO協定税率が16%~2.7%の大きな幅があるので、HS分類がどこになるかは、関税率に大きく関わってきます。

 このように、4202.2X は「ハンドバッグが全て分類される」ので、実際の輸入分類では、ハンドバッグかどうかが、まず分かれ道です。
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HSの本文(関税定率法の別表)では、「ハンドバック(取手が付いていないものを含むものとし、肩ひもが付いているかいないかを問わない)と有りますが、これでは識別できません。

HSには、E-NOTEと言う解説(Explanatory Note)が用意されており、日本では「関税率表解説」として財務省の通達になって公開されています。

また、実際の、WCO(世界税関機構)と日本での分類事例の参考になるものが「分類例規」として同じく財務省から通達として公開されています。

(注)解説と例規は、次のページで見ることができます。
    http://www.customs.go.jp/tariff/kaisetu/index.htm

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本題に戻って、「ハンドバッグ」に分類するかどうかの判断基準として、先ほどの「分類例規の日本の事例」には次のように示しています。

認定基準
第42.02 項に掲げるハンドバッグとは、女性が通常化粧品、ハンカチ、紙等の身辺用品を入れて使用する携帯用具で、留金、ファスナー、ふた、締めひも等により閉じられる型式のものをいう。

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なるほど、女性が持つもので閉じられるものですね。と言うことは、男性が持つもので閉じられないものはハンドバッグじゃないんですね。

でも未だ不十分ですね、そこで、同じ例規には、次のような基準が規定されています。
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ただし、ハンドバッグに該当するかしないかの認定が困難なものについては、次に掲げる基準
による。

(1)長幅が15 センチメートル以上30 センチメートル以下のものは、ハンドバッグとして取り
扱う。
(2)外形が装飾的なもの又はソフトな感じのものであり、折り畳む等変形のできないものは、
ハンドバッグとして取り扱う。ただし、形状が明らかに箱状のもの及び通常かばん等に入れ
て携行するものは含まない。
(3)通常内部に仕切り又はポケットを有するものは、ハンドバッグとして取り扱う

 分類基準として、だいぶ実用的になってきました。でも、デザインで一部がいつも折れ曲がっているようなものの長さは、どう考えるのでしょう? それに革がとても柔らかく曲げて小さくすることが容易なものはどう考えるのでしょう?ポケットはあるけれど装飾用で、およそ実用的でないものもポケットでしょうか?

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 このような疑問に答えるために、昨日9日に、関税局から 先ほどの認定困難ものの判定基準について、更に次のような明確化の基準が出されています。

1 「長幅」とは、「物品を入れて肩や腕に掛ける」という実際に使用する際の形状に基づくものである。
2 「折り畳む等変形」とは、不使用時に小さく折り畳み収納できるような性状のことであり、バッグそのものの革の種類の違いによる柔らかさ等、デザインとしての柔軟性によるものはこれに該当しない。
3 「仕切り又はポケット」とは、身辺用品を入れて整理できるものであり、それらを有することにより身辺用品を入れて使用するというハンドバッグの特性が確認できるものをいう。

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ハンドバッグかどうかを識別するために、多くの基準が作られてきたことが分かると思います。
そんなに労力をかけて、モノを入れるもの(容器)の中からハンドバッグを識別する必要があるのか?との疑問も聞こえそうですが、そういう分類が必要との国際判断の集まりが今のHSになっていると言えそうです。

 身近に、女性が持ついろんな大きさ、材質、デザインの容器が有りますが、その中からHSのハンドバックを的確に見分けることの苦労は続きそうです。
 



607 雛祭りのお酒

2009-03-02 | 関税率表分類・HS
ぶるぶる、東京では気温一桁の寒い一日だったようです。

明日は、3月3日の雛祭りですね。そういうと、あの白酒は、HS分類や、酒税法ではお酒でしょうか?
勿論YESです。アルコール分が10%ぐらいで、酒税法上ではリキュールに該当します。

脱線しますと、HSでは、アルコール飲料と非アルコール飲料の区分は、アルコール分が0.5%超かどうかですが、酒税法での「酒類」とは、同じく1%以上となっており、国際標準とはねじれています。
また、溶かして1%以上になる粉末は、日本では酒類として酒税法の対象ですが、HS分類では、インスタントコーヒーなどと同じ、「調整食料品」になります。

更に脱線ついでに、「白酒」を、しろざけと読まれた方が多いと思いますが、パイチュウと読んで強い匂いを連想されたのは中国通、しろきと読まれたら日本文化通でしょう(笑)。

この画は、九州柳川の北島家のさげもん飾りです。

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今晩は!
ごく、プライベートなことで意気消沈しています。今夜は、これにて!!





604 杜仲茶、びわ茶、甜茶等いわゆる健康茶の「茶」の検出

2009-02-25 | 関税率表分類・HS
こんばんは!
この標題をご覧になって、ハハン と感ずかれた方は相当な輸入事情通です。実は、私もこれを見た時には「なにかな?」と思ったものです。

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 今回は、千葉県柏市に所在する財務省の関税中央分析所が発行している「関税中央分析所報]掲載の報告のうち、私たちになじみがあるものを紹介します。これら以外に、無機、有機物資の定量、定性分析や麻薬類の鑑定など多岐のものが掲載されています。

 いろんな輸出入規制や、関税率差がある品目については、その貨物が何かを正確に鑑定することが不可欠です。途上国への日本税関のODAの重要アイテムにこうした分析技術の指導があるようですし、WCO(世界税関機構)には分析結果で二国間に争いがある場合は第三国の税関に分析を依頼する制度があり日本にも時々依頼があるようです。

1 健康茶中の「茶」の検出

近年の健康食品ブームに伴い、杜仲茶、びわ茶、甜茶等いわゆる健康茶の需要が伸びています。これらの健康茶は「茶」と名付けられているが、関税分類上、09・02(茶)には分類されず、その原料植物の種類によって第7類(食用の野菜・・)、第12類(採油用の種及び果実・・・)等に分類される。しかし、その健康茶に、09・02の茶を混合したものは、第21類(各種の調整食料品)に分類され関税率も異なるため、健康茶中の「茶」の検出は重要です。

2 韓国焼酎に含まれるステビア甘味料の分析 

輸入される焼酎は韓国からのものが圧倒的に多く・・。日本の酒税法では、焼酎の添加物として、砂糖、酒石酸、クエン酸及び一部の合成着色料のみが認められており、これ以外の添加物が加えられたものは微量であっても、酒税法上、焼酎甲類ではなくスピリッツ類として高税率の酒税が課されています。韓国国内で市販されている焼酎にはステビア甘味料、アスパルテーム等の添加物が使われているものがあるので、成分分析が大切です。



3 象牙の鑑別

有名なことですからご存知と思いますが、象牙及び象牙製品は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)により輸出入が規制されています。具体的には、インド象は付属書Ⅰ、アフリカ象は同Ⅱによって厳重な規制を受けています。

このため、類似物品(象と同じ長鼻目のマンモスや、らくだ、セイウチ、いっかく等大型動物の骨もしくは歯牙)との鑑別が重要です。
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 私事ですが、若い時の上司に酒に関係して博士号を取られた方がおられました。鹿児島県出身で連れて行って貰った神戸・三宮の酒場の定番は焼酎の「白波」で、当時の白波は今よりも数倍強烈な香りでしたので、できるだけお供しないよう逃げ回っていたものでしたが、今では、好んで芋を頂いています(笑)。

  そこで、先日「甕雫(かめのしずく)」を頂きました。20度の芋焼酎ですがロックで極上の美味しさ!!
  大切に大切に頂いていますが、焼酎らしからぬ余り日持ちがしないようです。もし手に入れば絶対にお薦めです。
 
 なお、普段は、価格と味のバランス、入手しやすさから「黒霧」か「明るい農村」のお湯割りを頂いています。


591 恵方巻きの関税分類

2009-02-03 | 関税率表分類・HS
 子供の頃は、節分の豆が翌年の大掃除の時にたんすを動かすと出てきたりしていましたが、今は豆まきの行事も形式化されているようです。

 昨年は、曜日に恵まれ京都・壬生寺の狂言「節分」を拝見する機会がありましたが、今年はテレビで豆まきの風景を見るぐらいです。
明日は立春、通勤道ではプランターの水仙が咲いています。


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 大阪に育ったものには、太巻きの寿司は珍しくありませんが、大阪・船場での風習に由来する恵方巻きが、戦後廃れたが海苔の販促行事等を契機に復活し近年全国的に普及してきたことには驚きです。日本版バレンタインデーでしょうか。

 さて本日は、身近なところから関税法を学ぶという立場から、恵方巻はHS分類ではどこに入るのかを見てみます。
恵方巻きは、色んなものがあるでしょうが、基本は、炊いた米(ごはん)とともに、乾燥させたのりを表に、中に高野豆腐や、かんぴょうや、色んな食品が巻いてある、ご飯が中心になっている食品です。

 米は、HSでは第10類の穀物で、10.06に「米」があります。その6桁の細分では、「もみ」、「玄米」、「精米」、「砕米」と分かれています。第10類の注には「この類の各項の物品は、穀粒があるものに限るとあり、ご飯は粒があるといえそうですが、HSの10.06の解説では、「穀粒の構成組織がかなり変化するような処理がされた米はこの項には含まれない・・」とされています。
 どうやらご飯は、この項の穀類というよりHS第4部の調整食料品にいきそうです。 

第4部の調整食料品は、魚の調製品(16類)、17類(砂糖菓子)、18類(ココア)、19類(穀物の調製品)、20類(野菜の調製品)のように、モノ別になっていますが、色んな食材を使って一つの食品になっているのは、いたるところにあります。一つの食材でしか出来ていないというのがむしろ例外かもしれません。
ではこのモノ別は素材がいろいろなものをどういう基準で所属を判断するのでしょう。

 このような、素材や機能が幾つもあって、分類候補が複数ある場合のルールとしては、HSの通則は、① 特殊限定記載が優先  次いで② 重要な特性を与えているもの に分類という原則を規定しています。
半導体という分類と、DVDレコーダーの部分品という分類なら、半導体がより限定された記載ということは分かりますね。

 次に重要な特性で分類するというのは、HS分類のルールとしてとても広く使われますが、HSでは、数値基準による分類も随所に見られます。

 第4部(調整食料品、飲料、アルコール、食酢、たばこ及び製造たばこ代用品)の第16類魚・・・の調製品に関する注の規定を見ると「・・・・・・の一以上を含有する調整食料品で、これら物品の含有量の合計が全重量の20%を超えるものはこの類に属する。」と、数値で線引きをしています。

 脱線しますが、冷凍の握りすしの輸入では、ネタのマグロや、たこなどの重量が20%超かどうかで魚の調製品か、米の調製品かに変わります。

 本題に戻って、恵方巻きです。
 
第19類(穀物・・の調製品)の規定を見ると、肉や魚を含有する調製品でこれらのものが20%を超えるものはそちらに分類すると書いていますが、恵方巻きは肉でも魚でもありません。また、野菜の調製品(20類)の規定には、肉や魚に有ったような重量の20%ルールが無いようです。
そうすると、恵方巻きの重要な特性は、その具になっている高野豆腐やかんぴょうではなく、米を水煮してご飯化したものに有ると認められますので、HS19.048穀物調整食品に分類されることが適当です。

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 本日は、節分の日の恵方巻きを取上げて、HS分類の初歩を見てみました。全ての分類を、数値で線引きできれば単純明快ですが、実際には重要な特性は何か?など悩むことが多いのが分類です。

 さて、皆さんは、作法どおり(恵方の方角(今年は東北東やや右)、切らずに、無言で)に頂きましたか?