かずさんの、ふらり日々是好日の記

ふっても てっても  日々是好日  泣いてもわらっても 私の一生の中の きょうが一番いい日だから

764 救援物資の通関状況

2011-06-27 | 輸入
 梅雨前線が北に上がり、フェーン現象で各地でこの時期の最高気温を記録しています。
 節電とはいえ、土日はエアコンのお世話になる休日でした。

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東日本大震災の救援物資等の東京税関管内での通関状況が、同税関からかなり詳しく発表され、それぞれ、迅速に、柔軟な対応で通関されているようです。

この発表での救援物資とは、関税定率法15条1項3号に適用を受けたものですが、この三号は「・・・救じゅつのために寄贈された給与品・・・・」と規定されているものです。

基本通達では、この規定を噛み砕いて、・・・・被救じゅつ者に無償で給与する物品をいい、これらの者が直接消費又は使用するものであることを要し・・・とあります。(詳しくは関税定率法基本通達15-3をご覧ください。)

発表では、6月10日までに東京税関管内では、約9757トン(全国シェア79%)、1487件(同84%)の輸入通関があり、58の国・地域、1050者の仕出人に上っているようです。

品目別数量では、3/11~3/17の第1週には、①テント、発電機などの復旧・復興支援物品 ② 水 ③ 毛布・衣類等   4/22~4/28の第7週には ①水 ② 復旧・復興支援物品 ③ 食料品   6/3~6/10の第13週には ① 水 ② 食料 ③ 日用雑貨 となっています。

仕出国別の数量では、韓国(水、毛布衣類の順)、中国、台湾の順で、通関件数ではアメリカ(毛布衣類が1位、2位は日用雑貨)、中国、韓国の順になっているようです。

中には、粉ミルク(フィンランド等)、おもちゃ(マレーシア等)、文具(デンマーク等)等児童向けのものも通関されています。

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また、福島第1原発の事故に関連してでしょうが、放射能防護服、放射能測定器などの通関もあるようです。

これは救援物資とならないようですが、事故当初の緊急時に、輸入されて放射能測定で活躍した無人ロボットや冷却水の注入で記憶していますコンクリートポンプ車は、関税定率法第15条第1項第10号(原子力事故または放射線緊急事態の場合における援助に関する条約の規定に該当する貨物)として免税通関されているようです。

どうやら、福島原発の事故当初は、「想定外」の言葉で、ありえない事故が起こったように言われていましたが、世界的には原子力事故や放射線の緊急事態は起こりうることとして条約も整備されて、関税の免税措置まで用意されているんですね。

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もうすぐ大震災から4ヶ月ですが、被災地の皆さんによる復興の取り組みが続いていることを、決して忘れることなく見守っていきたいものです。







730 2010年度の関税法改正について

2010-02-15 | 輸入
 いよいよバンクーバーオリンピックが開幕し、昨日は女子モーグルの上村愛子さんのメダルに届かずは、さわやかな涙でした。

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 貿易、通関業務の関係者は、通関士試験の受験者に限らず毎年度の関税法改正の内容が気になるところですが、税関のホームページで、国会に上程された本年4月1日施行予定の関税法等の改正案がアップされています。

その内容は、全体像はページをご覧になるほうが正確で確実ですが、関税ほ脱罪という、いわゆる関税を脱税した際の罰則が引き上げられています。

 具体的には、
これまでは、ほ脱罪に付いては、既遂、未遂、予備それぞれ同じに「5年以下の懲役もしくは5百万円以下の罰金、又はこれらの併科」でしたが、

→ 既遂と未遂の場合は、「10年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金又はこれらの併科」
  予備の場合は変わらずで、「5年以下の懲役もしくは5百万円以下の罰金、又はこれらの併科」

となります。

 このようにこれまでは、予備と未遂とで同じ罰則でしたので「予備」と「未遂」とをあまり意識しなくても良かったのが、今回の改正でこのように変わるので、もし、このような案件を考えるときには、予備に当たるのか、未遂になるのかを意識することになりそうです。

 たとえば、特恵関税率なら、Free(無税)になるモノを輸入する場合、本当は特恵関税が適用されない国のものなのに、別の特恵適用国の原産地証明書を海外で発行してもらって、日本で輸入申告しようとしていることが、税関の事後調査で発覚したとします。

すでに輸入申告して許可を受けて引き取ったものは、「既遂」であることは明らかですが、さて次のような場合は、「既遂」、「未遂」、「予備」、「これらのいずれでもない」のどれに当たるんでしょう?

① 偽った原産地証明書により、輸入申告したが、まだ許可になっていない。
② 通関業者に偽った原産地証明書を送付して、輸入申告を指示した。
③ 輸出者から偽った原産地証明書の送付を受けて、担当者が持っている。

④ 輸出者に偽った原産地証明書の取得を指示した。
⑤ 輸出者に偽った原産地証明書の取得が可能かどうかを照会している。
⑥ 今後の輸入について、偽った原産地証明書を利用すれば輸入コストの低減になることを社内の上司にメールで報告した。

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通勤の車窓から見える、家や畑にも、紅梅や白梅が見えるようになって来ましたよ(^.^)




712 このような場合、加算税は課税されるの?

2009-10-05 | 輸入
 通関士試験が終了しましたが、今年も、大手予備校の模範解答が違うとかの話題があったようですね。
受験された方は、ともあれ、ほっ(^^♪でしょうか?

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通関業や輸入者にとって、何らかの理由で輸入申告で納めた関税や消費税が不足であった場合に、10%か15%の加算税がかかるかどうかは、大きな関心事です。

 加算税が課されない場合として、関税法第12条の2第4項で、「申告について調査があったことにより、更正があることを予知してされたものでない修正申告」については、加算税の規定が適用されないとしています。

 さて、この規定に関係するトレーニングとして、次の場合はドウでしょう?加算税は課されなくてすむでしょうか?

事例1  当社は輸入者です。税関から、1週間後に立ち入り調査をする旨の電話連絡をもらいました。それで、念のため社内で点検をしたところ、2つの申告について評価の加算要素を申告していないため、50万円の消費税が納税漏れになっていることが判明したので、調査の前日に税関にその旨連絡し修正申告することを申し出た。

事例2 当社は通関業者です。お得意の輸入者の1ヶ月前に許可を受けた申告について、税関の通関部門から電話があり、本来ユーロ建ての決済金額を、ドル建てでNACCsに入力したため50%ぐらい過小申告になっているのではとの指摘があった。
 このため、直ちに修正申告を行ったが、この場合の加算税は必要か? 

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事例1について

 加算税は課されないでしょう!

 国税についての名古屋地裁の平成12年の判決では、次のように示しています。
 
「更正があるべきことを予知してされたものでないとき」とは、税務職員が申告に係る国税についての調査に着手し、その申告が不適正であることを発見するかその端緒となる資料を発見し、これによりその後調査が進行して先の申告が不適正で申告漏れの存することが発覚し、更正に至るであろうということが客観的に相当程度の確実性をもって認められる段階に達した後に、納税者がやがて更正に至るべきことを認識したうえで修正申告を決意して修正申告書を提出したものでないことをいうと解すべきである。

そこで、税関の調査部門が、単に調査に行く旨連絡をした程度では、「更正にいたるであろうという事が客観的に相当程度確実」とは言えないように考えられます。

したがって、調査の通知を受けたら急いで内部でチェックして、調査が実際に始まる前に修正申告を申し出れば、加算税は課されないと考えていいでしょう。

事例2 

この場合は、電話で質問して指摘をうけていますね。こうなると「更正があることを予知しての修正申告」と認定されて、加算が課税されても仕方ないんじゃないでしょうか。

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国税庁の裁決事例集に次のような、ものがありました。

調査担当者の電話による質問の後に提出された修正申告書は、更正があるべきことを予知して提出されたものであると認定した事例
▼ 裁決事例集 No.63 - 37頁
 請求人は、本件修正申告書の提出が国税通則法第65条第5項に規定する「調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当する旨主張するが、原処分に係る調査担当者が請求人の申告内容を精査検討の結果、請求人の関与税理士に対して、電話により質問及び指摘しており、その後に本件修正申告書が提出されていることからすれば、本件修正申告書の提出は、調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたというべきであり、過少申告加算税の賦課決定処分は適法である。
平成14年2月25日裁決

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企業の景況はひところより改善ですが、株価がだいぶ下がって、円高で輸出企業の悲鳴が聞こえます。






696 最新の輸入手続き所要時間!

2009-07-16 | 輸入
 昔から、定期的に財務省が調査していますから、通関業界で仕事をされている方は、聞いたことがあると思いますが、16日付で最新の輸入手続きの所要時間調査結果が発表されました。

詳しくは、ホームページをご覧になるといいですので、初めての方むけに、こんな感じですと感覚を掴んでいただくためにこの調査のポイントを簡単に紹介します。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kanzei/ka210716.htm

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1 通関所要時間がどの程度かは、税関サービスのレベルを客観的に評価するために非常に大きな要素です。日本での今回のような、調査は、平成3年からおよそ三年毎に行なわれており、本年3月の調査は9回目です。

2 調査は、輸入のみで輸出については行われていません。もともとの始まりが米国製品の日本への参入に当たって通関時間のバリアが高いとの米国側の誤解があり、日米で所要時間調査をして比較しようとの発想があったと聞いたことが有りますが、今でも米国で同様の調査をしているかどうかは存じません。

3 ただ、このような通関時間の実態調査結果は、どの国でも自国の実態を把握し対応策を立案していくため重要な基礎データです。
 記憶ですが、日本のような所要時間調査を、アジアの税関でも実施できるに手法を指導しているということを聞いたことがあります。

4  日本での今回の調査結果は、海上貨物なら貿易船が入港してから、貨物が卸されて輸入申告し許可になるまでの時間を、無作為に抽出した申告3000件(航空貨物は別途に2000件)についての、実測時間です。

 申告~許可の、税関の審査・検査のための平均通関時間は、海上貨物では3.1時間、航空貨物では0.4時間となっており、輸入手続き所要時間(入港~輸入許可まで、海上貨物は62.4時間、航空貨物は16.0時間)のうち、本当の通関の手続き部分は僅少になっています。

5 また、今回の調査では、輸入のAEO事業者(特例輸入申告制度)が行なった輸入申告に付いての所要時間を調査していますが、これについての通関時間(申告~許可)は、海上・航空ともに0.1時間となっています。

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671 ブランド衣料品の原産国タッグを取ってしまうなんて(~_~;)

2009-06-11 | 輸入
 こんばんは。関西は梅雨の晴れ間というところで、部屋の温・湿度計は26度、66%を示しています。

6月9日に、公正取引委員会が、アドルフォ・ドミンゲスジャパン(株)に、景品表示法による排除命令を行なったとの報道が有りました。

「ADOLFO DOMINGUEZ」はスペインを代表するブランドということですが、公取の発表によれば、

親会社のADOLFO DOMINGUEZ S.A.から輸入した衣料品を自社店舗で一般消費者に販売するに当たり、「MADE IN CHINA」や同じくMADE IN INDIA、 MADE IN TURKYなどの原産国記載をしたタッグ又はシールをはさみできるなどして、ブランド名が記載されたタッグや下げ札を取り付けたままにすることによって、一般消費者が衣料品の原産国を判別することが困難である表示を行なっていたとのことです。

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輸入通関段階では、正しい原産国標示をしていたけれど、引き取ってから切っていたんですね。

H&MやZARAなど、そう高くないけどおしゃれという外国ブランドが人気を集めていますが、いまや、衣料品の多くは、そのブランドの企業の国で作っていないということは、日本人の常識になっているんじゃないかと思いますが、どうでしょう?

 わざわざ原産国タッグを切って販売するのは、自信がないんでしょうか、発想がチープです。逆に「日本製」と書いてあると、縫製やボタン付けはしっかりしてるんだろうとの連想は、私にも働きますが・・。

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関税法第71条は、「原産地について直接若しくは間接に偽った表示又は誤認を生じさせる表示がされている外国貨物については輸入を許可しない」と規定しています。

 そして、基本通達(71-3-3)では「偽った表示等に該当」するものとして「一般に貨物の原産地に所在しないと認められる会社の名称が表示されているとき」を規定していますので、今回の場合は正しい原産国を書いたタッグが付いてなければ、輸入時に税関で指摘されるでしょうから、後で切って店頭に並べたんでしょう。

 中国産のうなぎについての報道も昨日ありましたが、輸入品の原産国を偽ってというのはよく摘発されています。関係業界のコンプライアンスは是非守ってもらいたいものです。
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 仕事の関係で初めてニューヨークに数日滞在したのは フォーテイ・セカンド(42)ストリートというミュージカルがブロードウエイで上演されていた1983年の初春と記憶しています。(英語ダメ人間の私には、踊りは楽しめましたが、よく分かりませんでした(~_~;))

 空いた時間に、メーシーという歴史のありそうな百貨店に行ったところ、1階のバッグ売り場の製品には、MADE IN INDIAの表示があって、アメリカの百貨店では、アジアの製品が堂々と原産国タッグつきで売っていると、軽い驚きを感じました。