かずさんの、ふらり日々是好日の記

ふっても てっても  日々是好日  泣いてもわらっても 私の一生の中の きょうが一番いい日だから

599 国際郵便物の通関方式の改革がスタート

2009-02-16 | 郵便物・国際エキスプレス貨物
こんばんは。
このブログで何回か取上げていますが、本日2月16日から国際郵便物の通関方式の改革がスタートしました。

ただし、輸出入申告が新しく必要になる20万円超の郵便物は、1%以下のごく少数ですから、郵便サービスの実際の使い勝手はそう変わらないでしょうし、一方で、郵便事業サイドとしては、制度改革で土・日、休日の通関サービスを受けることができ、また臨時開庁手数料が全廃されていますから、国に支払う費用面の負担増は基本的にはないという構図でしょうね。
フェデックスやDHLなどの国際宅配便との同じ土俵での競争条件が整ってきたとも言えます。
  
このたび、財務省の基本通達で、国際郵便物の通関を行なう全国の郵便局内に設置している税関官署の開庁時間(平たく言えば職員が常駐して仕事をする時間)が発表されました。

船便の郵便物を扱う、神奈川県・川崎の税関は、平日は08:30~17:15 土曜は08:30~13:00 で、日曜や休日は開庁しないとのことです。 また、同じく船便を扱う神戸の外郵税関では従来と同様に平日8:30~17:00のみで、土日などは開庁しないようです。

このように、船便についてはどうやら通関処理の体制は余り変わらないようですが、航空便は流石に多くの税関官署で、以下のように土日・休日も早朝から深夜まで開庁するようです。

成田空港の郵便を扱う東京外郵は、全日04:00~23:00
中部空港の郵便を扱うところは、  全日08:30~17:30
関西空港の郵便を扱うところは、  全日04:00~24:00
福岡空港の郵便を扱うところは、  全日03:30~22:00  

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こうしてみると、やはり航空便はEMSのように、速さが命で国際宅配便と競争しているサービスであるというのがJ-POSTの力の入れ方からも分かりますが、関西空港は24時間空港の関係からか深夜の貨物専用便の活用も考えられ、深夜一番遅くまで通関できる体制がとられるようです。

ただ、税関の開庁時間は、税関だけの判断で決めるものではなく、通関サービスへのニーズやJ-POSTの対応状況が重要なファクターと考えられますから、今後も随時変更されていく事柄と考えられます。

 なお、早朝・深夜の対応は、シフト体制が不可欠ですから、税関の人員が円滑に確保されて、港や不開港での麻薬などの取り締まりや、生活安全確保などに支障が出ないように願いたいものです。
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 前の土曜日は、ネットで席を予約して、「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」を見てきました。

 ブラッド・ピット主演、共演がケイト・ブランシェットですが、年とともに若返る人生というのは・・・・・辛いものですね。
三時間弱の大河ドラマ、映画らしい映画でお薦めです。


 




589 J-POSTが通関業の許可を取得と郵便物の通関体制!

2009-01-29 | 郵便物・国際エキスプレス貨物
 昨1月28日の郵便事業(株)によるプレスリリースによれば、同日、全国8箇所の通関交換支店を、通関業法の営業所として許可を受けました。

 私のブログでも取上げていますが、2月16日から国際郵便物の利便性の維持向上のため20万円超の輸出入郵便物は関税法による輸出入申告が必要になりますが、今回の通関業許可は、郵便事業会社が差出人又は受取人に代わって通関手続きの代理・代行を行なうためのものです。

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良い機会ですから、国際郵便物の税関手続ではなく、そもそもどこで通関しているのかのような仕組みを概観します。

1 日本から出て行く、入っていく国際郵便物のうち、船便は郵便事業会社の川崎港支店と神戸港支店に集約して税関検査が行われます。要は、横浜港と神戸港の2箇所に全国の船便が集められて処理されています。

2 同じく、航空便は、東京国際支店、成田国際空港支店、中部国際支店、大阪国際支店、新福岡支店、那覇支店の6支店に集約して税関検査が行なわれます。航空便は船便ほど集約されていないのは、やはりスピード重視なんでしょうか?

3 これら合計8つの支店は、通関交換支店と呼ばれ、今回通関業の営業所となったのはこれらの支店です。

 税関は、この各通関交換支店に出張所を設置(ただし、成田国際空港支店だけは、近くの出張所の部門として)して、常駐職員に検査や課税通知等の事務を行なっています。

 今般の郵便物通関方式の変更により、臨時開庁制度が適用になって、税関も適宜、夜間や土日にも仕事をするように変わります、これは国際郵便にとってサービス向上に繋がるものですが、恐らく税関も交代勤務をしたり勤務状態が変わるんだろうと思われます。

4 それから、ご承知のように現在の通関はNACCSを利用して行われますが、当面、郵便事業会社の通関交換支店にはSEA-NACCSが導入されます。

 これまで、郵便物の通関は、輸出は検査だけでしたし、輸入も金額に関わらず賦課課税で、税関が賦課決定通知書を作成するためにCOMTISというシステムを使っていただけでした。

 20万円以下の輸入郵便物は引続き賦課課税のため税関がCOMTISを使いますが、20万円超はNACCSによる申告になりますがNACCSのプログラム変更を要するため、昨年10月に新しくなったSea-NACCSは対応していますが、Air-NACCSは来年2月の更改まで対応していないようです。

5 大切なことを忘れていました。
20万円超郵便物の通関手続きを郵便事業会社が代理して行なう費用(通関手数料)は、当分の間、無料とのことです。

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 通関料金収入は、取扱件数に正比例する関係ですから、世界同時不況による輸出入減は、通関業者の関係部門にも深刻な影響があるようです。ある企業の方から、その会社の通関士の方が、郵便事業会社に転職されたとのことをうかがいました。地道にキャリアを積重ねて実力をつけておくことは、どの時代でも大切なようです。



549 お薦めの、政府広報を見つけました!

2008-11-26 | 郵便物・国際エキスプレス貨物
 今晩は~。
 今頃の時期は、政府による来年度の法律改正作業がたけなわですが、一般にその内容が見えるまではもう少し時間が必要です。

このため、来年に向けた関税法改正へのフォローはまだまだ時期尚早のように思います。財務省や、税関の動きを時々チェックしておくぐらいでしょう。

また、EPA協定の動きは、12月11日に日・フィリピン経済連携協定が発効しますが、時間のあるときにじっくりと、EPAの関税法令の規定振りとその原産地規則のことを学んでおかれると、この土地勘はどこかの場面で役立つように思います。

そういう中で、ネットを見ていましたら、来年2月からの郵便物の通関手続きについて政府広報の動画がアップされているのを見つけました。10分間と短いですし、郵便物の業務処理の仕方など普段見れない現場の画像がたくさんありますから、お薦めです。ご覧になっていると、ややもすると余り楽しくない法律の勉強に実感がわいてきますよ(笑)。

http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg2256.html

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 昨夜は、アップしたつもりが出来てなくって、ブログを尋ねていただいた方には失礼しました。
 


546 郵便物の通関方式の変更が近まりました。

2008-11-20 | 郵便物・国際エキスプレス貨物
 こんばんは!
 来年2月16日から、郵便物の通関方式の大改革が行なわれます。

このことは、私のブログでも何度かとりあげ、読者は良くご存知と思いますが、11月18日付には、財務省関税局長の通達が出されたり、いよいよ実施のカウントダウンに入ってきました。

 郵便事業(株)による通関業免許の取得が予定されていますが、このブログを書いている時点では許可が下りたとの報は入っていませんが、恐らく時間の問題でしょう。

通関方式の大改革のポイントは、平成21年2月16日(月)から、価格が20万円を超える郵便物を輸出入する際には、原則として、税関へ輸出入申告を行い、許可を受けることが必要になることです。

これまで、金額に係わらず申告は要らなかったものが、20万円超とはいえ手続きが要るようになるのは、私たちにとって手間ですし、追加費用もいるのかなと心配されますが、財務省の発表では、輸入郵便物で見た場合、課税価格が20万円を超える郵便物の割合は、輸入郵便物件数の約0.06%(平成19年)とのことです。

とすると、殆ど関係ないようなことになるかもしれませんが、商業ベースで郵便路線を使って輸出入している企業は、対応が必要ですね。

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今年の、合格発表が未だの時期に早いですが、これから受けようとされる受験者にとっては、この郵便物の通関手続きの改正は試験問題に高率で取上げられるでしょうから要チェックです。

受験学校やスクールに通われるかたは先生が要領よくまとめて教えてもらえるでしょう。

独学で勉強の方は、税関が出している改正についての広報(http://www.customs.go.jp/tsukan/yubin/yubin210216.htm)や、これから郵便事業会社が出してくる利用者案内(想像ですが、通関業の免許を取ってサービス体制ができてからでしょうね!)を収集して手続き改正のアウトラインをマスターしたうえで、それぞれについての関税法の規定を実際に確認して行かれることをお薦めします。

関税法の条文を見ると、特定郵便物とか簡易手続とか、郵便物特有の概念がありますので
① 郵便物について、「要手続き」と 「従来と変わらないもの」の範囲
② 関税法の一般貨物と同様の手続きが必要なものについて「どの手続きが必要か?」
③ 納税の仕方と事業会社の役割

 など、これまでの関税法の勉強ではカバーできないものが多々あります。頑張って学んでください。



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ブログを書いていて嬉しいのは、読者の方からのコメントです。時々はいたずらの品のない書き込みもありますが、殆どはきちんと読んでいただいてのご意見や感想、質問などです。

このブログをお読みいただいている方は、年代、お仕事、関心事などいろいろでしょうし、このブログのテーマは通関士試験ですが、試験とはかけ離れた物流の話や、港湾や関連業界のことにも話題が及んでいます。
テーマの選び方は、その時々に関心を持ったこと、見聞きした事例、税関やその他の動きなどから選んでいますが、できれば読者諸氏から随時に反応を頂けると、皆さんの関心の所在が分かったり、少しは役に立ってると思えて嬉しいものです。

読者の中には、面識のある方もいらっしゃるかも知れませんが、ブログの世界のお名前でも結構ですよ。 

                                                かずさん





525 J-ポスト・国際物流・Arm’s-Lengths(その2)

2008-10-21 | 郵便物・国際エキスプレス貨物
J ポストによる、国際物流事業への進出、山九、日本通運との提携について、総務省が認可をする過程で、Fedexなど外国系エクスプレス会社(いろんな呼び方がありますが今後、エクスプレス会社と言います。)はどんな意見を言っているのかが今回のテーマです。
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関係者の意見は、全員が同じではありませんが、概ね次に集約されます。

① 郵便事業とエクスプレス会社のサービスとの間で「対等な競争条件を確保すべき」
② 郵便事業会社と 山九などとの共同出資会社間との取引きはアームス・レングス(注)が保たれるべき

 (注)アームス・レングス:腕が届くという意味から転じて「互いに対等な立場」とか「客観的な第三者間の公正な関係」という意味で使用される。「独立企業間取引き・価格」と訳される。
 
また、具体的には、ほぼ次の3点に集約されます。

1 EMSはユニバーサルサービスの一部として扱わない。

今後の郵便会社の扱う貨物は ① 一般の国内・国際小包郵便 ②EMS(国際スピード郵便) ③新しく進出する国際物流事業の3つに大別されます。

 一方、郵便事業は、国民生活に不可欠なサービスで全国で誰もが利用可能な料金で提供されるべき「ユニバーサル・サービス」として、不採算部門を黒字部門が補填する内部補助方式が採用されます。

 郵便会社の前記三つの貨物のうち①と②はユニバーサルサービスの対象と位置づけられていますので、EMS事業に他の事業から補助を出すことが可能となります。

 そこで、エキスプレス会社は、自分たちのサービスが競合しているのは郵便会社のEMSですので、ユニバーサルサービスの名目で、他事業からの補助で不公正な低価格でEMSが提供されるのではないかとしています。

2 新規業務と、Jポストとの係わりはアームス・レングスの原則によるべき

 Jポストなどが共同出資する新規国際貨物業務については、国内での集荷・輸、配送や営業活動については、Jポストへの業務委託が予定されています。

 このことは、ユニバーサルサービスとしての郵便事業の業務と設備、資産、ITインフラなどを共用することになりますが、このような独占サービスである郵便事業と、Jポストが提供するその他のサービス(新規事業)との間の取引きは、アームス・レングスの原則によって行なわれるべきというものです。

3 郵便事業のネットワークを全ての関係者が市場相場で利用可能とすべき
 
 Jポストの共同出資会社は郵便事業のネットワークを利用するとしているが、同ネットワークは130年かけて国と国民が作り上げた社会インフラであり、その他の民間事業者にもネットワークを市場相場で利用できるようにすべきである。

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ちょっと、ざっぱくなまとめ方ですので、詳しくは郵政民営化委員会の議事録の40回~ぐらいのところを検索してご覧下さい。

郵政民営化の議論は、まだ記憶に新しいところですが、その中ではこのようなやり取りも有ったことを少しお分かりいただけたら、取上げた意味があります。

 来年の通関士試験では、来年2月の郵便物の通関方式の変更も対象になりますが、このような背後にあるあれこれを知っていると興味が深まるのではないでしょうか?