かずさんの、ふらり日々是好日の記

ふっても てっても  日々是好日  泣いてもわらっても 私の一生の中の きょうが一番いい日だから

831 異業種交流はやっぱり、刺激が一杯!(NACCSの業務)

2012-02-23 | NACCS
 昨夜は、ちょっとしたことの節目でしたので、関係した方と駅前の縄のれんで軽く一杯でした。

 前から、話せるような機会があればいいなと思っていた、女性を含む気鋭の現役通関士グループと普段の仕事仲間の面子ですが、あれこれの話題の中で、やっぱり仕事の話が出てきます。
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 今のNACCSは、海も空も、輸入なら港から引取りまで、輸出なら船積指図から輸出港までをシームレスにつないで、たくさんのNACCS業務を、多くの関係者がデータ入力しながら上流から下流に向かってつないでいます。

このため、NACCSで入力する業務は、①企業が関税法による手続きをするもの(民が官へ対してする業務:民業務)②税関や他の官庁が法律によって企業に向けてする業務(官が民に向けての業務:官業務)③企業間の連絡等のためにする業務(民民業務)が入り混じっています。

①の民業務の典型は輸出入申告業務 ②の官業務の典型は輸出入許可通知 ③の民→民業務の典型は輸出入許可情報を保税地域に発信する業務です。

このため、日々、忙しく目先の実務を処理している企業の担当者は、今入力しているNACCS業務や、NACCSが持っている多くの業務がこのどれにあたるかなんてことは、あまり考える余裕がないのも無理ないことです。
ただ、どれかのNACCS業務が関税法で必要かどうかなどについて疑問が出たときは、関税法にまで戻って、そのNACCS業務が関税法で求められている申告や承認のための手続きや記帳などに該当するものか考えれば自ずと答えが出るんでしょうね。

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でも、官民共通で利用するNACCSの業務は、一見しただけではどれが先ほどの3つの業務のどれにあたるのか、識別が難しいですね。

 NACCSを開発・運用する総経費は、国の予算と利用する民間企業の利用料とで分担していますが、分担方法については過去にいろんな検討がされているようで、今は、大まかには①は官と民との受益割合で負担 ②は官の負担 ③は民間が業種毎の受益割合で負担というふうに、なっていると聞いたことがあります。

なかなか、NACCSも奥深いです。

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 やはり、貿易に携わっていても、いろんな立場や仕事の人たちと、ざっくばらんにしゃべれる機会は、ふと気づくことも多く刺激的でした。異業種交流は良きかな!
 帰り道は、JRの事故で、普通列車でちんたら帰ってきました。

  少し暖かい日になって、遅れていた梅がほころびだしそうですが、もしかしたら今年は、梅と桜が一緒に見れるんでしょうか?どなたかが、寒い年の桜は見事と仰っていました。







776 日本のNACCSがベトナムへ(^。^)

2011-07-26 | NACCS
 中国の高速鉄道事故で事故車両を埋めたり、掘り返したり、わけがわかんないですね。
 財務省のページで、「ベトナムへのNACCS導入について日越税関当局間で基本的な合意に達しました」との発表記事が出ていました。

 日本のNACCSは、1978年に成田の航空貨物についての官民共同利用システムとして運用されたのが始めです。
イギリスのヒースロー空港で稼動していた、LACESというシステムをお手本に開発されました。

 現在は、多くの国の通関は電子計算機システムで処理するIT化が図られており、税関や他の官庁関係の諸手続きを受付けて処理する行政側のシステムと、通関業や運送業などのシステムは別に構築され、この官側と民側のシステムをつなぐ部分は、共同利用のゲートウエイのシステムでつなぐというような仕組みが割りと多かったと記憶していますが、NACCSは、開発段階から官民共同で、対象業務の範囲や業務処理方法などのすり合わせをしながら開発を進めるという方式です。
 
 一時期、NACCSの開発にタッチしたかずさんには、ベトナムでの導入では、どういうスキームになるのか興味がありますが、ベトナムのような国にはNACCS方式は上手く合うような気がします。

 発表にもありますが、貿易関連手続きで日本企業にとって親和性のあるシステムが導入されることは、日本経済にもプラスに働くことが期待できます。明るい話題ですね。





748 NACCSのヒューマンエラー防止プログラム

2011-06-02 | NACCS
 通勤の新快速電車の車中で、後ろの席の男性が私の落としていた携帯電話をひらって教えてくれました。 ありがたいことです。
 だいぶ、以前に携帯電話を落としてから、ズボンの左ポケットが定位置の携帯電話には両端にチャックと金具が付いている伸縮するプラスチックチェーンをつけて、一端をポケットに固定しています。 このお陰で、5年ぐらいで20回ぐらいは、座席に置き忘れたり、シートから床に落としていても、このチェーンが伸びて、「置き忘れてるよ!」を知らしてくれます。

 読書や、ウオークマンに聞き入っていて、あわてて駅で降りたりするときにあることですが、1メートル近く延びたチェーンの先に携帯電話が付いているのを見ると、周りの乗客は押しなべて、このおじさんアホやな~とのほのぼのした笑いがこぼれます、でも笑いを取るためにやっているのではないんですが・・(汗)。

 税関の手続きも含め、ヒューマンエラーはいろんな事務作業で生じますが、その対策のポイントは、システム的にエラーが生じないようにするとか、機械的にロックするとか、正しく作業が済んだことを検証できる仕組みを作って確認するとかが大切です。

 税関手続きで活用されるNACCSは、プログラムでいくつもヒューマンエラー防止のための機能を持っていますし、今でも、通関業の方の要請などで増えているようです。

 NACCSの機能で入力ミスを防ぐプログラムの一つとして、チェックデジットの利用があります。
 チェックデジットとは、通常データの最後に、データを一定の式で計算した値を付加して入力し、システムが読み取るときにも同じように計算して、入力データが正しいかチェックするための文字です。

 NACCSでのチェックデジット利用の典型は、輸出入統計番号です。この番号は本来は9桁の数字ですが、NACCS入力時は、決められたNACCS用の数字をつけて10桁を入力します。この10桁目のチェックデジットは、原則としてHSコードを数字にしたものを7で割った「余り」にしています。このため、7や8のような7より大きなデジットはありません。
たとえば、スパークリングワインの輸入統計番号2204.10 000 なら、22041000÷7=31487142 余り6
チェックデジットは6です。

 NACCSは、このようなチェックデジットの利用以外にも、入力された数量と申告価格から単価を計算して、その統計番号の全国の通関実績と大きく上下に離れた単価なら入力画面で注意喚起する機能などを持っています。システムにビルトインされているヒューマンエラー防止の対策の一つでした。
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 写真は、先日錦市場で買って帰った百合の花と、愛用の携帯電話です。次の買い替えのときはスマートフォンでしょうか、それともタブレットかな? さて、不信任案はどうなるんでしょう?








745 ECR→BIC→EDA/EDC→BOC 

2011-05-30 | NACCS
こんばんは。台風の風雨がすごかったですが、被害はなかったですか?

 この表題をご覧になって、何の話題がすぐに分かる人は税関の輸出手続き実務をされている方です。
 もし、関税法の学習をされていて、関税法の諸手続きもある程度マスターしていると自負されている人が、なんだろうと思われたら、実務家ではない方です。たぶんこの識別は、通関士試験を合格されたけど実務はタッチしていない方と、実務にタッチされている方との間にも通じます。

 表題のECRなどの記号は、NACCSの業務コードで、ECR(輸出貨物情報登録)、BIC(搬入確認登録)、EDA(輸出申告事項登録)、EDC(輸出申告)、BOC(搬出確認登録)のことです。
 例示の業務は、輸出貨物の典型的なNACCS処理における上流から下流への業務の順番です。通関業界での実務のほとんどは、このNACCSの各種業務の利用と、関連の社内システムの利用とで進められます。

 したがって、通関士試験に合格しても、すぐに仕事ができるわけではなく、こういうシステムを使いこなすということが必須で、通関業務従事者の会話ではNACCSコードが飛び交っています。

 輸出関係のNACCS業務としては、先ほどの業務以外に、SIR(船積指図書情報登録)、VAN/VAE(バンニング情報登録)、ACL(船積確認事項登録)などが代表的なものですが、荷主からの船積指図から、船会社のB/L発給までを、EDIでペーパーレス化して事務効率とスピードを高めるNACCSの優れた思想を具体化したものです。
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台風で、外出できない日曜日に、2010年秋公開の映画「オカンの嫁入り」をレンタルしました。
大竹しのぶと宮崎あおいの親娘の交流は、京阪電鉄とたぶん京都の古い家を舞台に見ごたえがあります。私は、上手く伝えられませんので、ぴあ映画生活から次のレビューを引用させてもらいます。

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  母親は母親である前に女性であること、娘にはそれを受け入れる過程が必要なこと。母は厳しいことをいいながらも本当は、かたい殻のなかにやさしい心を隠している娘のことが心配でかわいくて、たまらないのだろう。「今当たり前だと思っていることが明日はそうじゃない」と心に刻みながら、自分の人生をしっかりと自分の足で生きることの大切さ。ときには取っ組み合いのケンカをしながら、母から娘へとメッセージが手渡される瞬間が、この映画には描かれている。






736 UCR(Unique Consignment Reference)Numberについて 

2010-04-02 | NACCS
こんばんは!
 東京証券取引所に上場の2310社のうち、70%の1613社が、4月1日に新年度を迎えたとのこと。
 多くの会社で、経理処理の仕上げの時期でしょうか?

 経理というと、3月18日の報道で日本IBMが4000億円の巨額の申告漏れを国税当局から指摘されたとの記事が出ていました。
 手法は、専門家の間では良く知られたもので、今年10月のグループ納税制度の実施後は利用できないようです。租税回避行為の一形態なのかもしれませんが、税務行政における予見可能性を高めるべきとの議論が出てきそうですね。

関税分野では、当局からも関税評価の文書回答制度の利用促進が薦められていますので、輸入者はどんどん利用したいものです。

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 SCM(サプライチェーンマネジメント)は、物流関係では周知の言葉ですが、いまやグローバルSCMといって地球規模でのマネジメントが求められています。

 日本の輸出製造業をイメージすれば、日本の複数の事業場から複数の港、海貨業者、フォワーダ、船会社、航空会社を経由して、複数の外国の港と、物流会社の手を経て、複数の納入先に届けられますが、その過程では、複数の税関での手続きが行われます。そして、その過程で、いくつもの電算機システムによるデータ処理が行われます。

 このような、多くの内外の関係者間での貿易データのEDI(電子的データ交換)を、上流から下流にスムーズに行うため、インボイスや、積荷目録などのデータの標準化作業結果は、国連のUN/EDIFACTメーッセージとして公開され、NACCSでも一部は、このEDIFACTによる送信が行えるようになっています。
 また、WCO(世界税関機構)では税関申告データモデルの採択が行われ、税関手続きのためのデータの統一も進んでいます。

 このように、システム間でデータを流していくときには、貨物について、絶対同じものが二個とない、固有の識別記号や番号が必要です。
 現在のNACCSは、たとえば輸出には「輸出管理番号」というものを最上流でシステムが払い出して、この番号で、最終の船のところまでつながっていきます。
この、この固有の識別番号がなければ、システムはどのデータがどの貨物のものか分からず、システムとして成り立ちません。このため世界的に統一して、個々の貨物に固有の識別を行うための番号を振ろうとするのがUCRナンバーです。

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 また、UCR ナンバーは、システム処理をし、目的の貨物のトレースをし、セキュリテイなどの観点から必要なら即座に貨物の動きを制限し、グローバルSCMで必要な物流の可視化を進める上で、不可欠なものです。

 このUCRの発給は、ちょうどわれわれが日常使っているメールアドレスが世界で同じものが一つもないのと同じように、世界で完全にユニークであることが保たれる必要があります。

 そこで、WCOでは、UCRの発番の基本構造についての指針を示していますが、これによれば、最大35桁の英数字で構成するとされています。
 最初の一桁の数字で使用の「年」を、続く2桁は売主の国を示す英字を、続く32桁は企業の識別、企業の付した番号ということらしいです。
 NACCSでは、既に、このUCRをにらんだ35桁のフィールドが用意されているとのことで、今は、B/L番号の20桁だけが使われているようです。
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 やや、専門的になりましたが、グローバルSCMを進化させるためには、このような縁の下の力持ち的な作業や検討に支えられることを紹介しました。

日本では、部課などの識別できる輸出入者符号を税関で出すことが行われていますが、EUでは2009年11月に、欧州共通企業コード :EORI(Economic operators‘ Registration & Identification number)の実施が始まったようです。

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 本格的なお花見シーズン到来(^。^) さて、どこまで足を延ばしますか?