かずさんの、ふらり日々是好日の記

ふっても てっても  日々是好日  泣いてもわらっても 私の一生の中の きょうが一番いい日だから

760 移民税関捜査局(ICE)による不法移民取締りの強化

2011-06-17 | 外国・国際事情
 本日付のウオール・ストリート・ジャーナル日本版に「米不法移民取締りで企業監査拡大」との記事が出ています。
 内容は、米オバマ政権が不法移民取締りを強化するため、6月15日までに新たに全米50州の企業100社に対し雇用記録を調査すると通知したようで、この監査は移民税関捜査局(ICE:Immigaration and Customs Enforcement)が行います。

記事によれば、米国には約1100万人の不法移民がおり、その三分の二が労働に従事しているようです。さまざまな事業分野が不法移民に依存するようになってきており、衣料品メーカーのアメリカンアパレルは2009年の監査後、工場労働者の25%にあたる1500人を一時解雇して。生産性が落ち倒産寸前までいったとされています。 
また、15日の監査通知に対し、米国商工会議所と移民擁護団体などが批判しているとのことです。



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ICEという組織は、2001年の同時テロ後の組織改編でできたようで、積極的に犯罪の嫌疑のある外国人を逮捕しているようです。米国の税関は、テロ後従来の財務省所属から、新しく編成された国土安全保障省の最大の構成組織として所属替えとなって,港で貨物や携帯品の通関などをするCBPと、取り締まり・調査をするICEに再編されたようです。

 今回の監査強化は、最近の対テロ戦略の進展が背景にあることは容易に想像できそうです。
 次のように、CBPのホームページでは、最大のミッションは、テロリストとその攻撃から米国の安全を確保することと書いてありますよ。

http://www.cbp.gov/xp/cgov/about/

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ICEの話題をもう一つ。

今年の初秋に日本で公開される映画「正義のゆくえ I.C.E特別捜査官」(原題:Crossing Over)は、ハリソン・フォード主演最新作です。
ICE(移民税関捜査局)の捜査官マックスは、ある殺人事件をきっかけに不法滞在者ビジネスの調査を始め・・・・いま現在のアメリカを舞台にした、国境をめぐるリアルで衝撃的なドラマとのことです。





735 炭素リーケージ&モーダルシフト

2010-03-29 | 外国・国際事情
 今晩は!少しご無沙汰でした。

 炭素リーケージ(Carbon Leakage)という、あまり聴きなれない言葉ですが、今年の3月5日から財務省で始まった「環境と関税政策に関する研究会」で、その国際的な議論の動向が紹介されています。

 炭素リーケージとは、CO2が典型ですが、地球温暖化対策の気候変動政策が世界各国で共通して行われ、炭素排出規制のためのコストが同じならば、生産地の違いによる産品の価格差はありませんが、A国が厳しい削減目標で、他のB国が緩やかな削減目標となって、AB国間の排出コストに相違が生じた場合、規制水準の低い国B国への生産がシフトしてしまい、B国の温室効果ガス排出量が増加(炭素リーケージ)することを言っています。

 日本では、25%のCO2削減目標を打ち出していますが、セメントや、製鉄、電力のようなエネルギー多消費産業では、削減目標を達成するためには大きなコスト増となり、国によって規制水準に大きな差がある場合、そのコスト負担の違いから、

1 規制水準の低い国への生産のシフト(海外移転)が生じたり、
2 低規制国輸入品への需要シフト(輸入品による代替)

が生じる可能性がかねて指摘されています。
 このため、EU、米国においては、規制水準の低い国からの特定産品の輸入については、排出枠の償却義務を課すことや、排出枠を輸入国の政府から購入することを義務つけたり、特別の関税を新たに課したりすることが議論されています。

また、厳しい規制水準国の特定産業に対しては、排出枠を無償供与したり、製品の輸出時には排出枠の償却費用や内国税を還付するということも議論されています。

詳細は、次のページの資料編を見ると、外務、環境、経済産業、財務の各省のものがアップされています。

http://www.mof.go.jp/singikai/kankyo_kanzei/gijiyoushi.htm

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また、今週の30日には「モーダルシフト等推進官民協議会」が開催されるとのことです。
地球温暖化対策に資するモーダルシフトに向けた必要な取り組みを検討するとされていますが、メンバーを見ると、国際運送というより国内運送におけるモーダルシフトに主眼がありそうです。

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今週は、気温が上がり足踏みのソメイヨシノが満開になるところも多そうです。日本の春を楽しみましょう。

かずさんは、前の土曜日に、京都・醍醐寺のしだれ桜を楽しんできました。ネットの情報では少し早いかなと思って行きましたが、三宝院のしだれも含め今がほぼ満開で、夕方からは3~5分咲きの祇園白川を巡って、錦市場に近いお店で夕食と、関西ならこその遊びを満喫です。




727 いよいよ10+2ルールが本格実施

2010-01-22 | 外国・国際事情
 前号で紹介した米国税関(CBP)の施策である、「10+2ルール」が、1年間の試行を経て、来週1月26日から本格実施されます。
このルールは、このブログでも何回か取り上げたように、輸入貨物海上コンテナ貨物について、既に実施の「船積み24時間前の貨物情報提出規則」を補完するため、新たに米国の輸入者に10項目、海運会社に2項目の情報提出を求めるものです。

 10データを申告すべき輸入者(ISF(Importer Security Filing)輸入者といいます。)が、期限内にデータを提出しなかったり、誤ったデータを提出すると、輸入貨物の移動が停止させられたりなどの措置が取られるほか、1件当たり最大$5000未満の損害賠償金が米国税関から請求されうる規定になっていますの。

米国税関のルール違反に対する罰則は、かねてから日本などと比べて重たいとの評価があります。
日本から米国への大規模輸出者は、この1年ぐらい、10+2ルールに対応するための輸出側でのデータ収集と米国への送信について、あれこれ社内検討を繰り返して来られたのではと思います。

違反への一件当たり最大$5000の損害賠償金は、所定額の金銭を支払えば賠償金は取り消されます。
この、取り消しを受けるための金額は、初めてか、繰り返しの違反か、C-TPATに参加してTier2又は3かどうかなどの要素によって軽減又は加重されるようです。

どちらにしても、米国税関によるテロ対策のため、ハイリスクの貨物を事前にスクリーニングできるように輸入者、輸出、船会社などが事前データ送信の形で協力しなければ、米国での輸入が止められるという状況が一段と進むことになりました。

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寒さが戻りましたが、TVでは福寿草が顔を覗かせたとの報道がありました。




726 米国税関のミッションを再認識する機会

2010-01-20 | 外国・国際事情
 こんばんは!通常国会が始まり政界は慌しい動きのようです。
 前号で、新年のおみくじは「大吉」と申しましたが、先週、毎年厄除けに詣でる八幡様でくじを引くと、身の引き締まる言葉が並ぶものでした。ここのおみくじは毎年、浮かれ気分を引き締めるもので、持ち帰ってシステム手帳の1ページに貼って今年の戒めにしています。

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勤め先の社員対象の勉強会で3時間ぐらい話すことをおおせつかり、貿易担当の方だけでもないので、肩の凝らない出来るだけ貿易や税関業務に興味が湧いて、多少は役に立つようなものにしたいと、パワーポイントを活用して、しこしこ作業しています。

 その中で、2001・9・11のアメリカ同時多発テロ以降の米国税関の変わりようを紹介しようと、ホームページをのぞきました。
 ご承知のように、世界の税関の多くは、日本で言う財務省に所属しています。
米国も同じで、テロまでは財務省に属しており、その頃の税関のホームページを見ると、「米国税関は関税の徴収を通じアメリカ独立戦争の戦費の多くをまかなう働きをした」との記述が誇らしげにありました。

関税は、税関がCUSTOMSと英語で言うように、アダムスミスが国富論の中で「関税は、CUSTOM(習慣)と言われる様に大昔から存在していた」というように、きわめてクラシカルな税です。現在の法人税、所得税、消費税のような税は、経済活動が秩序たって行われ、会計基準がしっかりし、国民の納税規範も相応の水準にあることが前提で、その点関税は、密輸の問題はあるものの比較的徴税がしやすく、歴史的には国家財政を支えてきた税でした。今でも、アジアの国では、国家収入の20~30%が関税という国もあります。

元に戻って、米国の税関は、テロ以降新設された「Department of Homeland Security」(国土安全保障省)の最大部局として、CBP(U.S. Customs and Border Protection:税関・国境取締局)という名称です。

注目すべきは、その最大のミッションは、以下のホームページの記載から分かるように、テロリストとその兵器からアメリカを守ることとされていることです。

CBPis one of the Department of Homeland Security’s largest and most complex components, with a priority mission of keeping terrorists and their weapons out of the U.S. It also has a responsibility for securing and facilitating trade and travel while enforcing hundreds of U.S. regulations, including immigration and drug laws.


ご承知のように、以前の戦争は、国対国の争いで、宣戦布告をして戦いを始めるというものが常道でしたが、いまや、テロリストとの戦いが、戦争の類型になっています。

日本で生活していると実感の湧かないことですが、AEO制度をはじめ、貨物情報の事前通知、C-TPATなど、最近のいくつもの世界的施策の根源を、思い出させるような事柄です。

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昨日、今日と関西は、陽射しが強く感じられる一日でした。淡路島の水仙郷は、例年より早く見ごろとか、まだまだ寒さが襲いますが、少しは春の息吹を感じます。





711 日中韓の税関協力についての行動計画 

2009-09-29 | 外国・国際事情
 民主党政権が船出して、霞ヶ関の官庁街にはあれこれの波が立っているとの報道がされていますが、こと税関行政については着々と進展があるようです。

 昨28日の報道発表で、北京で第三回日中韓3カ国関税局長・長官会議が開催され「日中韓3カ国税関の協力に係る行動計画」が合意されたとの記事がありました。

 このような政府当局間の会合は、直ぐには具体的な成果や手続きの改善に直結することは少ないようですが、大きな政策的な流れとして、実はうねりになっていくというものです。そういう意味から、この行動計画がどのような事項を含むかを、概観しておくのは意義のあることです。

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 原文は、財務省のページに出ていますから詳しくはそれを見るとして、次の行動計画の目次を見ると、これら3か国税関の問題意識が、透けて見えてきます。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kanzei/ka210928.htm

1 組織   2 知的財産権(IPR)の保護  3 税関取締り及び密輸情報  4 AEO相互承認  5 貿易円滑化  6 人材育成の強化  7 国際フォーラムにおける協力

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 日本の輸出入者、あるいは貿易関係者にとって関心が高い事項の一つとして、貿易相手国として重要な地位を占めている中国のAEO制度と 相互承認があると思います。

 行動計画では、AEO相互承認における協力を促進するとうたい、AEO作業部会を設置して、「難易度を増しつつ段階的に」の原則の下に、互いの仕組みについて、二国間ベースによって

① プログラムの比較
② 合同実地確認プログラム実施のための職員相互派遣
③ 包括的評価

の3ステップを経て評価して、その評価結果に応じて、さらに相互承認のための作業を進めるとしています。

 いわば、相互承認にいたる作業手順を、この行動計画で示したものですが、段取りについて合意されたのは大きな進展でしょう。

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いよいよ、国際オリンピック委員会(IOC)総会がコペンハーゲンで開催されます。

2016年の夏季五輪の招致を目指す日本は鳩山首相が出席し、米国はオバマ大統領が出るとか、明るい話題が欲しいところですね。