かずさんの、ふらり日々是好日の記

ふっても てっても  日々是好日  泣いてもわらっても 私の一生の中の きょうが一番いい日だから

563 年賀状とITAとWTOのパネル設置

2008-12-15 | 関税率表分類・HS
 こんばんは。
28.7%の視聴率を記録して、NHK大河ドラマ「篤姫」(宮崎あおい主演)の最終回のあった日曜日は、かずさんは年賀状作りに追われていました。

年賀状「作り」の言葉のように、近年の多くの個人年賀状は「書く」というより「作成」の言葉がマッチするように、パソコンと、プリンターのお世話になることが多いようです。

住所録のデーターベースを用意して、あいさつ文と選んだ図柄や、写真、イラストなどをうまくはめ込むまでが腕の見せ所で、あとはプリンターの性能に頼るという状態ですが、かずさんは年に一度使う筆まめ君の操作を思い出すまでに時間がかかり、時にはヘルプを見ながら試行錯誤して、無事印刷できたら「ふ~今年もできた~(^.^)」との満足感です。

考えると、日本のおじさん族のパソコン習熟を進めたのは、年賀状ソフトの貢献度大だったのではないでしょうか?メール文化が、若者の文章(といえるかどうかは??ですが・・)力向上に役立っているという一面もあるんでしょうか?

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話は変わりますが、パソコンやプリンタなどの情報技術関連機器の関税率については、世界の多くで「無税」というのが基本になっています。

つまり1996年12月WTOシンガポール閣僚会議で作成された「情報技術製品の貿易に関する閣僚宣言」(ITA::Information Technology Agreement)によって、情報技術関連機器、部分品等の関税を撤廃することを約束しましたが、これには、日米、EU27カ国を含む71カ国が参加しています。

ITAがらみの話題としては、今年の9月24日に「EUによるIT製品の関税上の取扱」に関して、WTOにパネルが設置されました。

このパネルは、日・米・台湾の要請によるもので、EUが、次の三品目についてITA対象外として高関税を課しているのはWTO協定に反すると問題にしているものです。
EUは、高度技術機器について自域内産業の保護のためか、時々、こんなことがあるように感じますが・・・。

(1)デジタル複合機

EUは、一定以上のコピー機能を有したデジタル複合機をコピー機(ITA対象外)であるとして、課税。

(2)パソコン用液晶モニター

EUは、DVI端子を有したパソコン用液晶モニターをビデオモニター(ITA対象外)に分類し、課税。
※DVI端子:パソコンのデジタル信号を受信するための端子。EU市場で販売されるパソコン用液晶モニターの9割以上に標準装備。ごく一部のDVDプレーヤーと直接接続が可能。

(3)セットトップボックス

EUは、録画機能付セットトップボックスをビデオ機器(ITA対象外)であるとして、課税。

※セットトップボックス:ケーブルテレビの放送信号や電話回線等をテレビに接続し、テレビで視聴可能な信号に変換する装置。


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今や、年賀状は、葉書とメールの併用型が多くなったようですが、読者の方は何型ですか?
葉書のみ?メールのみ?併用型?

頂く賀状には、毎年素晴らしい版画を送ってくださる方があります。恐らくずいぶん前から準備をして作品になるのでしょうが、凄いですね!立派なライフワークになりますね。
 




537 HS分類の「こっとう」って?

2008-11-08 | 関税率表分類・HS
 こんばんは。トヨタ決算予想の、超ネガテイブサプライズには驚きましたね。

話は変わりますが、奈良の国立博物館で開催されている第60回正倉院展に行ってきました。 

関西に住んでいるときは出来るだけ見せてもらうようにしているんですが、やはり大勢の観覧者の中でたっぷり3時間ぐらいは楽しませてもらいました。
それぞれに、しっかりした解説が掲示されていますので私のようなものにもよく理解できます。

1300年近く前の文物が大切に保存されていることには驚きですが、日本の歴史に誇りを持つ時間でもあります。たぶん、どの品々も国宝でしょうね。

 


展示の中に、写経の仕事に従事していた人が休暇を貰うための願い書がありましたが、「家が壊れたのでその修繕をしていたとか、体の調子が悪く今治さないと、命にかかわるとか、ずる休みをしていたけど、今後は心を入れ替えて働くので許してほしいとか(同僚の嘆願もついていました)」今読んでもサラリーマンは大変だな~を感じさせる、ほほえましいものがありました。

 そのあとは、平常展の旧館で中国や日本の仏像を満喫です。
 
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HSの第97類には「こっとう」という分類が特掲されていますが、骨董ってどれぐらい経ったものだと思いますか?
 
HS9706.00には、 こっとう(製作後100年を越えたものに限る。)とあります。
どうやら、世界の分類では、100年が分岐点のようです。

我が家には、1920年代のイギリス製のテーブルがありますが、あと10年か15年ぐらいしないと、関税分類上はこっとうにならないようです。

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さて、明日、明後日は朝から夕方までびっしりの講義を受けてきます。
寝ないように、こんばんはこの辺でおやすみ~。

 



532 税関での分析のはなし

2008-10-30 | 関税率表分類・HS
 奈良公園の鹿せんべいから、象牙やマンモス象の牙の鑑別の話になっていますが、脱線ついでにもう少し、分類というか、通関手続きと分析の話を続けます。

 HSの分類表には、分類されないのは人間と空気ぐらいといわれるように、およそありとあらゆるものがルールに従って分類されます。空気も、アルプスの空気とかの缶詰が輸入されていると聞いたことがありますが、アルプスの空気と、アンデスの空気でHS番号が違うことはありません。

 そこで分析のことに話題を戻すと、輸入品にはきちんと成分、組成、加工度合いなどを確定しないと、HSの分類を決めたり、輸入規制の該否を決定できないものが多々あります。

 例を挙げると、
1 乳製品や・水産品、米粉製品、肉は、加工度合いや種類で関税率が違いますし、輸入制限に該当することもあります。

2 濃縮ジュースは糖分量、ミルクや米粉の調製品はたんぱく質・脂肪・糖質などで関税率が違います。
 
3 肉類は、輸入禁止の鯨肉と牛肉などとを、たんぱく質やDNAの塩基配列などで鑑別します。

4 木炭と活性炭、酸化アルミニウムと人造コランダムなどは組成元素やなどが一緒でも加工度合で関税率が違います。

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このように、適切に関税率や規制を実行するため、現在全国の9つの税関には分析部門が置かれており、機器の配置の関係や習熟などの関係で中央分析所で対処すべきものは、千葉県の中央機関で分析をしています。

 では、通関の実務ではどうなっているんでしょうか?

 このような、分析をして確定することが適当な品目が輸入申告されると、逐一、通関を保留して税関の分析部門が分析し、その結果が出るまで引き取れないとなると、輸入者は困ってしまいますし、税関の分析官もたくさんが必要です。

 このため、実際には、標準的な分析法で、輸入者本人か第三者に委託して分析した結果によってHS番号を決めて通関する「当事者分析」という方法が一般的に行なわれています。

 この「当事者分析」は、あらかじめ税関の承認を受けて、輸入申告時に自分や委託して得た分析証明書を提出して通関する方法です。どの程度、この当事者分析が利用されているか分かりませんが、税関が、通関を保留して自ら行なうような分析は殆どないと想像できます。

 但し、普段は、このような当事者分析の結果で通関しているが、時々、税関自らも、通関は保留せずに検証のための参考に分析することが行なわれています。

 どうやら、このような税関の検証のための参考分析で、成分や加工度合が違うことが発見され、後で修正申告したり、更正されたりも有るようです。

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  来週の火曜日は、米国大統領選挙です。オバマ候補が有力のようですが、意識してポーズを作っているのか、発言や、挙動には、J・F ケネデイを連想させるものがあるように感じます。



 

 




531 奈良公園の鹿せんべいのHS分類

2008-10-29 | 関税率表分類・HS
  奈良公園の国立博物館で正倉院展が開催されています。

奈良といえば、大仏さんと鹿というと法隆寺や薬師寺の関係者の方に叱られそうですが、日本人の多くが修学旅行で訪れるのは奈良公園でしょう。

このブログで取り上げたことがあるかも知れませんが、今回は、HS関税分類の大原則をテーマにします。

1 どの国でも、衣・食に係わるモノの関税は、日本ではお米が典型ですが、微妙な設定がしてあります。癒しブームの中、ペットの飼育が盛んで、ドッグクッキーが輸入されたりしますが、もし、奈良公園で売っている鹿せんべいが、大きなドラム缶のバラ詰めで輸入され、国内で小売用に小分けして、奈良公園で鹿用として販売される場合、輸入時のHS関税分類のポイントは何でしょう。

2 せんべいは、一般に米を主原料に焼いて作るものですが、HSでは、第19類(穀物、穀粉、でん粉又はミルクの調製品及びベーカリ製品)の中の、19.05(パン、ケーキ、ビスケットその他のベーカリー製品)が、マッチしそうです(ちなみに、あられ、せんべいなどの食用の米菓は関税率34%と、米との絡みで高関税率です。)

一方、HSでは、この第19類には「飼料用のビスケットその他の穀粉又はでん粉の調整飼料は含まれない」こととされています。

つまり、飼料用のせんべいなら、HSの23.09(飼料用に供する種類の調製品)に分類され、その細分には、23・09.10(犬、猫用の小売用飼料)があります。

3 輸出入の手続きを確定する上で大切なことは、そのモノがどんなものかの事実の確定・・・fact finding・・・です。

分類の検討なら、成分、製法、形状などが確定すべき必須要素ですが、鹿せんべいは、奈良の鹿愛護会によれば、米ぬか、雑穀を主原料にして焼いたもののようで、炭酸せんべいのような香りがするようです。なお、鹿の主食は芝や木の実で、鹿せんべいはおやつとのことです。 

鹿せんべいは、鹿の主食ではないため、23.09の飼料用のビスケットに類似するものとして考えるべきかは微妙ですが、そもそも飼料用のせんべいと、非飼料用のせんべい(食用のせんべい)とはどう見分けるのでしょう。

 輸入後の国内での販売の仕方でしょうか。食べられるかどうかでしょうか?
 子供の時に覚えがある方もいらっしゃると思いますが、鹿せんべいは、美味しくはありませんが、口に入れる事はできます(ただし、食品衛生法の対象ではないようですのでお勧めはできません。)。

どうやら、鹿用のせんべいは、人間が食べようと思うと食べられるシロモノですが、こういうものは関税分類ではどう考えるのでしょう?また、ペットも、飽食の時代です。人間用のものと殆ど同じせんべいが、鹿の絵柄が付いた小売袋に入れて鹿用として輸入されたらどうでしょう?

4 結論から言うと、
「関税分類は、原則として、輸入時点の形状、成分、包装形態等で決定され、輸入した後の用途は斟酌されずに決まります。」

このため、
①バルクで鹿せんべいが輸入されると、飼料用かどうかがその成分や製法の実態に即して検討されますが、どうやら特別の配合や、人が食べられないような不可食処理がされているようでもありませんから、動物や鹿にしか適さないとはいえないようですので、23・09の飼料用には分類され難いと思っています。

②普通のせんべいが、鹿の絵の付いた小売袋に入れ、「奈良公園の鹿せんべい」の表示をつけて輸入されると、さてどうなるんでしょう?

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先日から、輸入時の関税やVAT・消費税などを合法的に節減できる方法はどんなものがあるか、ネットを眺めて研究しているんですが、なかなか、楽して成果をうるのは難しいですね。

ま~よく下がる株価と、よく上がる円です!今日は、久しぶりに逆行しましたが・・。
 以前のところから20m東の旧中座のビルに来年復帰する「くいだおれ太郎」なら、「え~かげんにしなはれ!あても、こまりま!」とか言うんでしょうか?







530 象牙とマンモスの牙との鑑別

2008-10-29 | 関税率表分類・HS
 昨日夜の前回に奈良公園の鹿せんべいを取上げたつもりで、今日はその続きのを書きましたが、どうやら昨日のは配信されていないようです。

 お酒の飲みすぎで間違ったのかも知れません(しょぼん)。鹿せんべいはまた日を改めて取り上げます。
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毎年10月には同公園で「鹿の角きり」が行われます。

 今年は、10月11~13日に行なわれましたが、勢子が鹿の伸びた角に縄を絡めて動けなくして、神主がのこぎりでごしごしと根本から切ってしまいます。
 角を切られた雄鹿は心なしか力を落として放されていきます(涙)!




 この角から、象牙を連想しましたが、ご承知のように象牙は1973年に採択されたワシントン条約で、輸出入取引が厳しく規制され、日本では1989年10月から事実上、輸出入取引を全面的に禁止しています。

 このため、象牙と材質的に類似して、同条約の規制を受けないマンモスの牙が注目を浴び、象牙代替品として輸入されています。また、象の密猟や象牙の密輸出入が世界各国の保護体制の目をかいくぐって行なわれており、象牙をマンモス象と偽って輸入したりすることや、大量の象牙をコンテナ貨物などに隠匿して密輸しようとする事件もあります。

 日本の税関には、千葉県柏市に、関税中央分析所というところがあって、いろんな機器を駆使して、HS分類のための定性、定量分析をしたり、他国の分析技術向上のための技術協力などをしています。ここで働いている方は、理工系の化学分野の方が多いようです。

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 前述のように、税関の分析にとって象牙とマンモス牙を鑑別することは重要な項目ですので、いろんな鑑別法が研究されています。

 象牙とマンモス牙との鑑別は、生息年代が異なるため、14Cという炭素の崩壊量を利用した年代推定法が最も有効とされていますが、この鑑別は特殊な機器と測定技術の熟練と日数を必要なことから、税関実務のような場で導入することは問題があるようです。

 このため、断面観察や、化石等の年代推定に利用されているフッ素含有量比較法などが研究されていますが、その測定方法など実務上のネックの解消策について盛んに研究されているようです。

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 今回は、公開資料を参考に、普段目に触れないHS分類の裏方の苦労を取上げてみました。
 
 輸出入規制があると、その規制に該当しないような商品を取引きしようと考えますので、規制品と非規制品とを明確に鑑別できる必要があります。麻薬やいわゆるドラッグといわれるものも、どんどん新しいものが出てきます。

 このように、税関にとって「鑑定、分析、検量」は不可欠な機能となっているようです。