かずさんの、ふらり日々是好日の記

ふっても てっても  日々是好日  泣いてもわらっても 私の一生の中の きょうが一番いい日だから

310 事後調査実績の発表

2007-11-29 | 事後調査
 先週の22日に、財務省から「平成18事務年度における関税等の適正課税に関する調査実績について」の発表が、次のURLでありました。

http://www.mof.go.jp/jouhou/kanzei/ka191122.htm

全国における一年間の5548社への調査結果で、申告漏れがあった課税価格は1554億円で、関税と消費税の追徴税額は111億円で、これは過去最高額とのことです。

 発表のあった内容は、ホームページでご覧頂くとして、かずさんのこのブログでは、いくつかの変化のある切り口や視点で、見所をながめましょう。

① どんな税金の追徴?
 現在、税関では国の総税収の約1割を徴収していますが、実は消費税が中心です。
2006年の全輸入額は67兆円ですから、5%をかければ消費税収入が3兆円ぐらいということは分かりますね。
 このため、111億円の追徴税額のうち、関税は27億円、消費税が84億円となっています。

② どんな品目について?
 111億円の不足税額を、品目別に見ると、HS85類、84類の電気機器、機械が約1/ 3を占めています。これらの品目は、大体は関税が無税ですから、消費税の追徴が多いことがこれからも想像できます。
 この上位二品目は近年不動で、ついで、織物衣類や編物衣類・・これは関税もあります、となっています。

③ 税関の税務調査の頻度は?
 実調率(じっちょうりつ)といいますが、このような税関の調査は、輸入者のうち何パーセントぐらいに対して行われるのでしょう。

 10月に国税庁が発表した法人税の課税実績資料によれば、法人数は300万5千法人となっています。これに対し、税務署の調査は14万7千社に行われたようです。単純に割り算をすれば、実調率は5%です。

 実は輸入者の数というのは、把握がとても難しいです。
 国際郵便や宅配便を使って個人が輸入することも、今日では日常的に行われていますから、輸入者自体は膨大な数と想像できます。一応「業」として輸入をしている企業は絞られますが、うん十万社ぐらいか、100万社を超えるのか、詳しい数字は発表されていません。

 このため、税関の実調率は明らかではありませんが、ならすと何年かに一度ぐらいというところなんでしょうね???
 どうして選ぶのか、規模で輪切りにしているのか等々は、税関のノウハウです。

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 昨日は、ウイークデイとしては珍しくブログをお休みしました。あれこれ忙しく、そして風邪で、グロッキー気味です。さて、元気で参りましょう。










260 税関との国税との連携実態は?

2007-09-13 | 事後調査
昨日の午後は、安倍首相辞任のニュースが駆けめぐり、当面、日本の政治動向に目が話せない状況です。

税関の動きの記事を見ていましたら、平成19年9月7日(金曜日)において、次の記録がありました。::::::::::::::::

神戸税関は、広島国税局及び高松国税局との調査事務連絡協議会を開催した。同協議会では、税関と国税局との相互協力について再確認するとともに、海外取引事案に関する調査事例の紹介や情報提供の要望等につき、意見交換が行われた。

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好奇心旺盛のかずさんとしては、「税関と国税局の連絡会」という、余り見ない記述から、税関と国税局の関係を調べてみようと思い立ちました。

1 国が徴収する税金は、財務省に属する国税局か税関のどちらかが徴収しています。

  2005年度の、国の総税収は49兆円ですが、うち10%の4兆9千億円は税関での徴収です。
 国税局(税務署含む。)の職員は5万人、税関は8千人といわれていますから、単純に頭数と、税収の比率で、コストをはじくと、国税は1万人あたり9兆円弱、税関は12兆円強と、税関のほうが効率が良いことになります。
(税関は、税機能と、関機能があり、外から見ていると、麻薬の密輸のほうのウエイトが目立ちますが、一応、半々に按分しました。)

 なお、税関の、約5兆円の税収のうち関税は9千億円ぐらいで、3兆円が消費税です。

2 さて、日本経済の国際化で、多くの国内企業は外国で生産したり、販売したりの海外取引が、収益に大きく影響します。

 また、移転価格税制(注)のように、輸出入価格如何が、国税の課税標準である収益と密接に関係する場面も見られます。

(注)通常行われる取引の価格とは異なる価格をもって関連会社間の取引が行われた場合において、その取引の価格を正常な価格に引きなおして課税を行う制度である。英語では、Transfer pricing。

したがって、税関と国税が、相互協力するということはいわば自然なことで、国民からは、税務当局が効率的に連携して公平・公正な課税を実現して貰いというのは、あたり前ですね。

3 税関と国税との連携については、公刊されている関税関係個別通達集の中に、「内国消費税事務に関する国税当局との連絡体制等について」という通達が掲載されています。

 昭和47年に制定ですが、何度か改正され、最終改正は平成8年ですから、やはりこの税務当局の連携は有効に動いているようです。

::::::::::::さて、かずさんは、明日の午後から連休を利用して、しばしの休暇です。
赤道近くの楽園で充電してきます。 See you next week!



144 初期の事後調査の思い出話

2007-03-28 | 事後調査
 今日のお昼は、昭和47年~48年、ちょうど35年前になりますが、私がぺいぺいのころ、ある職場で課長をされていた上司の偲ぶ会に出席します。

 その職場は、今で言う事後(立入)調査部門でした。確か関税の申告納税制度が昭和42年に始まり、それと期を一にして税関による立ち入り調査制度が始まったと記憶しています。

 今では、調査部門は、税関の中でも有数の主要業務になっていますが、創生期は5人ぐらいの少人数でした。どの会社が何をどのように、どこの港で輸入しているか、そういう輸入者の実態もぜんぜんわからず、輸入実績のデーターベースがない状態でした。

 このため、輸入申告書に添付される進行管理のためのスリップを集めてきて、カルタのようにして名寄せをして、大体の輸入状況を把握するということを、やっていました。

 それに、それまでの税関は、物の知識や、検査のノウハウはありましたが、経理帳簿の読み方や、取引の往復文書(当時はテレックスや、手紙でした。コレポンと言っていますが・。)の略号など、税関にノウハウがない時期でしたので、国税局の指導を受けるためにベテランに付きっ切りで教えてもらった時代でした。

 かずさんの第一線の仕事時代で、もっとも勉強した時期でしたね。今日はそんな昔話をしてきます。
その後は、従兄弟の誘いにのって、京都で軽くです。




60 平成17事務年度の事後調査実績の公表

2006-11-30 | 事後調査
 今日は~! 大分気温が下がってきましたね。 私は、今日からコートを着ての通勤です。
 
 通関業の社員は、余り立ち会うことがありませんが、大規模の輸入者にとって税関との定期的な接点は「事後調査部門による立ち入り調査」です。

 ご承知のように、日本の輸入品への課税は、一義的には納税者の申告でその額が決まる制度が基本ですので、税関職員が随時、その納税申告が正しかったかを調査する制度が「事後調査制度」です。

 年間に何億円かを超える輸入をしていれば、定期的に調査があると考えていいでしょう。
 この調査は、強制力を伴わず、任意のものですが、質問に答えなかったり、偽りを説明したりしたら罰金を科されるような規定があります(関税法第114条第5号)。

 最近では、豚肉の関税の脱税で、税関長の告発を受けて検察庁が摘発した事件がテレビや新聞で報道されていましたが、やはり、手続きは正直に、正しくしておくことが企業の社会的な責任です。

 11月27日に、財務省関税局が、平成17事務年度(17年7月~18年6月)に全国の税関で行なった調査結果を報道発表しています。
 
その内容を、少しご紹介しますと、1年間に、全国で

①5,401者の調査をし
②何らかの誤りがあった者は67%の3,640者で、その申告漏れ課税価格は1616億円でした。

③この結果、関税及び消費税の追徴額108億円(関税22億円、消費税86億円)となっています。
④納付不足税額が多い品目としては、電気機器、機械類、織物衣類、光学機器等及び編物衣類の順番です。

⑤主な申告漏れの内容は、海外生産のために輸入者が輸出者に無償で提供した原材料費用の申告漏れ、インボイス上の決済金額以外の貨物代金の申告漏れ、ロイヤルテイの申告漏れとなっています。

(注)この「事後調査」は、豚肉の脱税調査のような、「犯則調査」とは別物です。
「犯則調査」は、故意に関税を免れた者に対して刑事責任を追及するため、犯罪捜査に準ずる方法で行なう調査で、17事務年度では、7件、ほ脱額10億円のものについて、税関長から検察庁に告発が行なわれています。

なお、必要があれば、裁判官の出す許可状によって、臨検、捜査、差押といった強制捜査が行なわれます。
  



10税関から事後調査に行きますって電話があったんですが!

2006-10-06 | 事後調査
初めての調査なんで心配されているんですね。特別の問題があったと受け止めなくていいと思いますよ。
この1-2年で輸入を始めて、相当の実績があるんでしょうか?

税関の事後調査は、40年ぐらいの歴史があるんですが、いわば輸入品についての税務署の調査と受け止めて良いでしょう。輸入時には関税や消費税を納めていますが、その時の税金が正しかったかを調べるものです。

 インボイス金額以外に決済がないかとか、特恵関税を適用して輸入してるなら本当に特恵が使えるものだったかどうかとか、輸入時の税金に関係する事項を、経理帳簿や契約関係の書類などで確認するものです。

 相応の輸入が有る輸入者には2-3年に一回ぐらいで訪問するみたいですよ。

 税関が属する財務省の発表では、16年7月から17年6月の1年間で、全国で5,223者の輸入者を調査して、申告漏れが1161億円発見されて、108億円の追徴があったようです。
詳しくは、財務省のホームページを見ればのっています。http://www.mof.go.jp/jouhou/kanzei/ka171206.htm

 数億円規模の輸入実績の輸入者なら、2人ぐらいで1-3日ぐらいですかね?一人での調査は余りないようですね。
マー後ろめたくないなら、能率よく書類を見てもらって早く終わってもらいましょう

今夜は中秋の名月なんだけど、見えないな~グスングスン。
 
 (注)この絵はさっき財務省に行ったついでに貰った、千葉県柏市にある税関の研修所玄関らしい。