日々雑感

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浮き世と桜6-38

2014年05月02日 | Weblog

浮き世と桜


桜の花は白ではない、ピンクでもない、淡泊なピンク色に、かすかに紅の混ざった白い花である
日本人が最も愛でる花に桜がある。冬から春へ気節の変わり目であり、新年度の始まり、若人が期待に胸をふくらまして人生の新しい旅立ちをする季節の花でもある。

今年は急に暖かくなった。3月だというのに、関東でも5月上旬の 陽気らしい。
ここ一週間は関西も同じで桜の花は温かさに合わせているかのように急に開花しだした。
観光客つまりは花をあてこんでいた花見ツアー客は予定通り行うと花は散ってしまっているというので、旅行会社はあわてて日を早めているとテレビは報じた。
 通例桜前線は南から始まって北上し、東北、北海道で終わるのが通例だが、今年は少なくとも関東以西は同じような暖かい気候が続いたから、関西関東の地域差はなく、いっぺんに咲いた。これではきっと関東人は面くらったことだろう。
今年の桜は予定よりも一週間も早く咲いた。そして花見客が面食らった。早咲きに加えて春1番の嵐が吹いたからだ。満開の桜に向かって‐台風なみの強風が吹いた。関東地方では28メーターも吹いたくらしい。関西でも20メーターをこした。

日本人は国民性として淡泊なものが好きで、濃いものよりは薄いものに好感を寄せる。またこの花の散り方、パットさいてパット散る、往生際の良さは、潔い良いものの代表格であるが、その往生際の良さに日本人は共感する。昔からはかなく散る桜を日本人はこよなく愛した。それは歴史的な事情として、武士道の精神に沿うと言う事情もあるのだろう。

散ればこそいとど桜はめでたけれ
うきよになにかひさしかるべし      伊勢物語

ひっさかたの光のどけけきはるのひに
しづこころ無く花のちるらむ       百人一首
古くから詠まれたた歌によると、桜の花ははかないものである。そのうちにと思っていると夜の嵐が来て朝にはきれいに散ってしまうから。というのがある。この歌は人生すべてに通じるものがある。
ものには皆タイミングというものがあって、これを外すと結果はよくない。できることは何でも早く済ましておかないと何が起こるか知れたものじゃないのが人生である。
今は何事にも限らずその場その場で次のことなどを考えず、飲めよ、謡えよ
一寸先は闇として、その日その日をおもしろおかしく暮らすのが浮き世である。(浮き世物語)
というのは享楽が全面に出て抵抗感がないわけではないが、人生の一面をついている。
こういう現世享楽的な考え方も、桜花の散りようをを人生になぞらえるならば一つの賢い生き方かも知れない。