◇今回は、用途規制、建蔽率、容積率関連の問題を取り上げます。
◇用途規制については、今年改正された「田園住居地域」が気になります。
◇今年の問題には挿入されていませんが、来年は挿入が予測できます。
◇その予測問題についても、取り上げていきます。
◇なお、試験問題は、公益財団法人 建築技術教育普及センターのH.P.をご参照ください。
◇二級建築士試験、木造建築士試験と同様に、問題文と正答肢表が公開されています。
◇参考までに、該当アドレスを下記に記載します。
〔No.15 〕建築物の用途制限に関して、誤っている記述を選択する問題です。
正答 2
1.正しい。法別表第2(ろ)項一号、同(い)項九号、令130条の4第二号:600㎡以内であれば建築できる。
2.誤り。法別表第2(ほ)項四号:ホテルは、同表(は)項に掲げる建築物以外の用途のものなので、
3,000㎡を超えるものは建築できないが、3,000㎡以内であれば、建築できる。
3.正しい。法別表第2(ち)項:建築できないものに該当する事項はなく、面積、階数に関係なく、建築できる。
4.正しい。法別表第2の全て:保育所が建築できない用途地域はない。
講評:保育所を規制している用途地域はないが、「幼保連携型認定こども園」というのがあり、学校の規制をしている用途地域(例:工業地域等)に
おいて、「幼保連携型認定こども園」を除いている。これも、保育園と幼稚園兼ねあわせた用途ということで、規制緩和されている。
ここで、「田園住居地域」に関しての問題を想定するとすれば、「田園住居地域内の平家建、延べ面積250㎡の併用住宅で、田園住居地域
及びその周辺の地域で生産された農産物を原材料とする自家製食品製造販売の店舗を兼ね、その作業場の床面積が60㎡のもの。」という設問が
想定できます。新しい法別表第2(ち)項五号、新しい令130条の9の4第三号を参照すれば、法別表第2(ち)項五号において、店舗部分が150㎡以内で
あれば建築できるとしているが、政令(令130条の9の4第三号)で、作業場の床面積が50㎡以内のものに限るとしており、それが50㎡を超えるもの
は、新築できないということになります。
また、田園住居地域内に2階建、延べ面積300㎡の保健所は建築できるかという問いかけに、
新しい別表第2(ち)項、同(は)項七号、令130条の5の4第一号により、田園住居地域は、都市計画法において、
「農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」としており、
近隣農業の利便性以外の用途規制等は、第二種低層住居専用地域に準じており、別表第2(は)項七号、令130条の5の4第一号に該当する「保健所」
は、第一種中高層住居専用地域では建築できるが、第二種低層住居専用地域内並びに田園住居地域内には、新築できないということになります。
基本は、形態制限の項目を含めて、第二種低層住居専用地域と同じで、
加えて「道の駅」想定の地産地消促進のために規制緩和策が追加されているとの解釈です。
〔No.16〕建蔽率と容積率の両方を、一つの図形から計算させる図形問題です。
正答 4
◇建蔽率(法53条5項、同6項、同3項一号、二号)
耐火建築物を防火地域で建築する場合、商業地域で建蔽率制限はない。また、法53条6項で、準住居地域は防火地域内にあると見なされ、
耐火建築物を防火地域で建築する場合の緩和1/10と、角地指定による1/10の両方が適用になる。
・商業地域の建蔽率:10/10
・準住居地域の建蔽率:6/10+1/10+1/10=8/10
・敷地の建蔽率は面積加重平均で算定(法53条2項)
・敷地面積は同じなので、(10/10+8/10)÷2=9/10(敷地の建蔽率)
◇容積率(法52条)
・特定道路に接する敷地の容積率算定用道路幅員の緩和(法52条9項、令135条の18)
Wa=(12-10)×(70-35)÷70=1m・・・西側道路を10+1=11mと仮定する。
・道路容積率と都市計画容積率の比較(法52条2項)
商業地域:11×6/10=66/10 < 80/10 道路容積率で算定する。
準住居地域:11×4/10=44/10 > 30/10 都市計画容積率で算定する。
・敷地の容積率は面積加重平均算定(法52条7項)
・敷地面積は同じなので、(66/10+30/10)÷2=48/10(敷地の容積率)
講評: 内容的には難しい要素はないと思います。建蔽率と容積率の両方の要素がある事に惑わされないことだと思います。
特に一級と二級の違いは、このような複合的な問題構成になっていることと算数的な計算をしなくてもよいようになっていることだと思います。
この問題でも、建蔽率と容積率を要求しているだけで、建築面積、延べ面積の最高限度は計算しなくてもいいのです。
学科Ⅲ「建築法規」問題集
http://www.jaeic.or.jp/shiken/1k/1k-mondai.files/1k-mondai-h30-gakka3.pdf
学科の正答肢
http://www.jaeic.or.jp/shiken/1k/1k-mondai.files/1k-gakka-gokakukijyun-h30.pdf
2018年12月4日 by SHRS(シュルズ)「1級建築士、建築基準適合判定資格者」
◇用途規制については、今年改正された「田園住居地域」が気になります。
◇今年の問題には挿入されていませんが、来年は挿入が予測できます。
◇その予測問題についても、取り上げていきます。
◇なお、試験問題は、公益財団法人 建築技術教育普及センターのH.P.をご参照ください。
◇二級建築士試験、木造建築士試験と同様に、問題文と正答肢表が公開されています。
◇参考までに、該当アドレスを下記に記載します。
〔No.15 〕建築物の用途制限に関して、誤っている記述を選択する問題です。
正答 2
1.正しい。法別表第2(ろ)項一号、同(い)項九号、令130条の4第二号:600㎡以内であれば建築できる。
2.誤り。法別表第2(ほ)項四号:ホテルは、同表(は)項に掲げる建築物以外の用途のものなので、
3,000㎡を超えるものは建築できないが、3,000㎡以内であれば、建築できる。
3.正しい。法別表第2(ち)項:建築できないものに該当する事項はなく、面積、階数に関係なく、建築できる。
4.正しい。法別表第2の全て:保育所が建築できない用途地域はない。
講評:保育所を規制している用途地域はないが、「幼保連携型認定こども園」というのがあり、学校の規制をしている用途地域(例:工業地域等)に
おいて、「幼保連携型認定こども園」を除いている。これも、保育園と幼稚園兼ねあわせた用途ということで、規制緩和されている。
ここで、「田園住居地域」に関しての問題を想定するとすれば、「田園住居地域内の平家建、延べ面積250㎡の併用住宅で、田園住居地域
及びその周辺の地域で生産された農産物を原材料とする自家製食品製造販売の店舗を兼ね、その作業場の床面積が60㎡のもの。」という設問が
想定できます。新しい法別表第2(ち)項五号、新しい令130条の9の4第三号を参照すれば、法別表第2(ち)項五号において、店舗部分が150㎡以内で
あれば建築できるとしているが、政令(令130条の9の4第三号)で、作業場の床面積が50㎡以内のものに限るとしており、それが50㎡を超えるもの
は、新築できないということになります。
また、田園住居地域内に2階建、延べ面積300㎡の保健所は建築できるかという問いかけに、
新しい別表第2(ち)項、同(は)項七号、令130条の5の4第一号により、田園住居地域は、都市計画法において、
「農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」としており、
近隣農業の利便性以外の用途規制等は、第二種低層住居専用地域に準じており、別表第2(は)項七号、令130条の5の4第一号に該当する「保健所」
は、第一種中高層住居専用地域では建築できるが、第二種低層住居専用地域内並びに田園住居地域内には、新築できないということになります。
基本は、形態制限の項目を含めて、第二種低層住居専用地域と同じで、
加えて「道の駅」想定の地産地消促進のために規制緩和策が追加されているとの解釈です。
〔No.16〕建蔽率と容積率の両方を、一つの図形から計算させる図形問題です。
正答 4
◇建蔽率(法53条5項、同6項、同3項一号、二号)
耐火建築物を防火地域で建築する場合、商業地域で建蔽率制限はない。また、法53条6項で、準住居地域は防火地域内にあると見なされ、
耐火建築物を防火地域で建築する場合の緩和1/10と、角地指定による1/10の両方が適用になる。
・商業地域の建蔽率:10/10
・準住居地域の建蔽率:6/10+1/10+1/10=8/10
・敷地の建蔽率は面積加重平均で算定(法53条2項)
・敷地面積は同じなので、(10/10+8/10)÷2=9/10(敷地の建蔽率)
◇容積率(法52条)
・特定道路に接する敷地の容積率算定用道路幅員の緩和(法52条9項、令135条の18)
Wa=(12-10)×(70-35)÷70=1m・・・西側道路を10+1=11mと仮定する。
・道路容積率と都市計画容積率の比較(法52条2項)
商業地域:11×6/10=66/10 < 80/10 道路容積率で算定する。
準住居地域:11×4/10=44/10 > 30/10 都市計画容積率で算定する。
・敷地の容積率は面積加重平均算定(法52条7項)
・敷地面積は同じなので、(66/10+30/10)÷2=48/10(敷地の容積率)
講評: 内容的には難しい要素はないと思います。建蔽率と容積率の両方の要素がある事に惑わされないことだと思います。
特に一級と二級の違いは、このような複合的な問題構成になっていることと算数的な計算をしなくてもよいようになっていることだと思います。
この問題でも、建蔽率と容積率を要求しているだけで、建築面積、延べ面積の最高限度は計算しなくてもいいのです。
学科Ⅲ「建築法規」問題集
http://www.jaeic.or.jp/shiken/1k/1k-mondai.files/1k-mondai-h30-gakka3.pdf
学科の正答肢
http://www.jaeic.or.jp/shiken/1k/1k-mondai.files/1k-gakka-gokakukijyun-h30.pdf
2018年12月4日 by SHRS(シュルズ)「1級建築士、建築基準適合判定資格者」