◇今日は、高さ制限(斜線制限)の図形問題について順を追って整理していきます。
◇問題としては、図に「A点」があり、地盤面からの建築物の最高高さを求める問題です。
◇始めは条文に従って進め、図形問題を解く「コツ」を会得することだと思います。
◇慣れてくれば、ある程度勘が働き、効率良く進められるようになると思います。
◇ポイント①:法56条1項一号(道路斜線制限)
・法別表第3に、用途地域別の容積率に基づく適用距離、斜線勾配の記載があります。
・容積率は既に慣れていると思いますが、道路容積率と都市計画容積率の厳しい値を採用します。
・適用距離とは、道路斜線制限が適用になる範囲のことです。
・この範囲を超えた場合には、その道路斜線制限の規定の適用は無くなるということなのです。
・斜線勾配は「道路幅、みなし道路幅(水平距離)」に乗じて、高さを算出します。
・また「い欄」の用途地域の中に、改正法で「1項」に「田園住居地域」が加わります。
・手順1:採用する容積率を計算し、適用距離を求め、A点が適用範囲内であるかを確認する。
・手順2:建物後退による緩和距離(法56条2項)を求める。
その時、物置、ポーチ、門塀がある場合は、令130条の12に該当するかを確認する。
該当すれば無視して道路斜線を計算し、該当しなければ、その道路面を境界線とする。
・手順3:道路が2面以上ある場合には、令132条1項の基づく、適用道路幅を確認する。
「A点」が広い道路境界線から、その道路幅の2倍以内にあるか。
「A点」が広い道路境界線から35m以内にあるか、確認する。
この両方を満足する場合「A点」は狭い道路面でも、広い道路幅に斜線勾配を乗ずる。
・手順4:「手順3」を満足しない場合、「A点」が狭い道路の中心線から10m以内か確認する。
10mを超えていれば、「A点」は狭い道路面でも広い道路幅に斜線勾配を乗ずる。
10m以内であれば、「A点」は狭い道路幅に斜線勾配を乗ずることになります。
・手順5:道路の反対側に、公園、水面、線路敷がある場合は、道路幅に加える(令134条)。
・手順6:敷地が、道路面より「1m」を超える高さがある場合には、高さの緩和がある。
1mを超えた分の1/2を道路が高い位置にあるとして計算できる(令135条の2)。
・手順7:以上確認した数値を基に計算します。
建物後退緩和+道路幅(もしくはみなし道路幅)+建物後退距離+A点までの距離
これらの合計が、適用距離範囲内であるかを確認する。
適用距離範囲内であれば、これに斜線勾配を乗じて、最高高さを求めます。
◇ポイント②:法56条1項二号(隣地斜線制限)
・法令集で用途地域を「イ」「ロ」「ハ」に分けて、斜線勾配の記載があります。
・隣地斜線制限の場合、一定の高さを超える部分から斜線勾配が適用されます。
・その高さについて、勾配「1.25」の地域は20m、勾配「2.5」の地域は31mとしています。
・手順1:対象用途地域の斜線勾配を法令集で確認する(法56条1項2号)。
・手順2:斜線勾配を適用する高さを法令集で確認する(法56条1項2号)。
・手順3:一定高さを超える部分の建物後退緩和の距離を求める(法56条1項二号)。
・手順4:隣地に公園、水面、線路敷がある場合、その幅の1/2を加える(令135条の3)。
・手順5:敷地が隣地より「1m」を超える高さがある場合には、高さの緩和がある。
1mを超えた分の1/2を敷地が高い位置にあるとして計算できる(令135条の3)。
・手順6:以上確認した数値を基に計算します。
建物後退距離+隣地に水面等がある場合の緩和+建物隔離距離+A点までの距離
◇ポイント③:法55条(絶対高さ制限)
・第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域には絶対高さ制限があります。
・10m又は12mで都市計画で定められた数値ですので、試験問題では数値が指定されます。
◇ポイント④:法56条1項三号(北側斜線制限)
・対象用途地域が決められています。
第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域
第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域
・一定の高さを超える部分から斜線勾配(1.25)で高さ制限を制限してきます。
第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域は5m
第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域は10mとしています。
・北側斜線に関しては、道路面や隣地に対してではなく、真北方向に対して制限します。
(試験問題では、真北方向に対する隔離距離が明示されます。)
・手順1:道路、水面、線路敷等に接する場合、その幅の1/2の線を境界線とする。
・手順2:注意事項として、公園は緩和対象にならないので、境界線はそのままで計算する。
・手順3:該当敷地が隣地より「1m」を超える高さがある場合には、高さの緩和がある。
1mを超えた分の1/2を敷地を低くして計算できる(令135条の4)。
・手順4:以上確認した数値を基に計算します。
「A点」から真北方向の水平距離に1.25を乗じて最高高さを求める。
◇ポイント⑤:「A点」の最高高さは、求める敷地の地盤面からの高さである。
・上記の道路斜線、隣地斜線、北側斜線の一番厳しい数値を取ります。
・建築物の高さは、令2条1項六号において、地盤面からの高さと規定しています。
・道路斜線制限の場合、道路の中心線から斜線制限を計算しています。
・敷地に高低差がある場合には、緩和規定に従い計算値の置き換えが必要です。
・最後に、「A点」の敷地が道路面や計算した敷地より高い場合には、その分減算します。
2018年12月18日 by SHRS(シュルズ)「一級建築士、建築基準適合判定資格者」
◇問題としては、図に「A点」があり、地盤面からの建築物の最高高さを求める問題です。
◇始めは条文に従って進め、図形問題を解く「コツ」を会得することだと思います。
◇慣れてくれば、ある程度勘が働き、効率良く進められるようになると思います。
◇ポイント①:法56条1項一号(道路斜線制限)
・法別表第3に、用途地域別の容積率に基づく適用距離、斜線勾配の記載があります。
・容積率は既に慣れていると思いますが、道路容積率と都市計画容積率の厳しい値を採用します。
・適用距離とは、道路斜線制限が適用になる範囲のことです。
・この範囲を超えた場合には、その道路斜線制限の規定の適用は無くなるということなのです。
・斜線勾配は「道路幅、みなし道路幅(水平距離)」に乗じて、高さを算出します。
・また「い欄」の用途地域の中に、改正法で「1項」に「田園住居地域」が加わります。
・手順1:採用する容積率を計算し、適用距離を求め、A点が適用範囲内であるかを確認する。
・手順2:建物後退による緩和距離(法56条2項)を求める。
その時、物置、ポーチ、門塀がある場合は、令130条の12に該当するかを確認する。
該当すれば無視して道路斜線を計算し、該当しなければ、その道路面を境界線とする。
・手順3:道路が2面以上ある場合には、令132条1項の基づく、適用道路幅を確認する。
「A点」が広い道路境界線から、その道路幅の2倍以内にあるか。
「A点」が広い道路境界線から35m以内にあるか、確認する。
この両方を満足する場合「A点」は狭い道路面でも、広い道路幅に斜線勾配を乗ずる。
・手順4:「手順3」を満足しない場合、「A点」が狭い道路の中心線から10m以内か確認する。
10mを超えていれば、「A点」は狭い道路面でも広い道路幅に斜線勾配を乗ずる。
10m以内であれば、「A点」は狭い道路幅に斜線勾配を乗ずることになります。
・手順5:道路の反対側に、公園、水面、線路敷がある場合は、道路幅に加える(令134条)。
・手順6:敷地が、道路面より「1m」を超える高さがある場合には、高さの緩和がある。
1mを超えた分の1/2を道路が高い位置にあるとして計算できる(令135条の2)。
・手順7:以上確認した数値を基に計算します。
建物後退緩和+道路幅(もしくはみなし道路幅)+建物後退距離+A点までの距離
これらの合計が、適用距離範囲内であるかを確認する。
適用距離範囲内であれば、これに斜線勾配を乗じて、最高高さを求めます。
◇ポイント②:法56条1項二号(隣地斜線制限)
・法令集で用途地域を「イ」「ロ」「ハ」に分けて、斜線勾配の記載があります。
・隣地斜線制限の場合、一定の高さを超える部分から斜線勾配が適用されます。
・その高さについて、勾配「1.25」の地域は20m、勾配「2.5」の地域は31mとしています。
・手順1:対象用途地域の斜線勾配を法令集で確認する(法56条1項2号)。
・手順2:斜線勾配を適用する高さを法令集で確認する(法56条1項2号)。
・手順3:一定高さを超える部分の建物後退緩和の距離を求める(法56条1項二号)。
・手順4:隣地に公園、水面、線路敷がある場合、その幅の1/2を加える(令135条の3)。
・手順5:敷地が隣地より「1m」を超える高さがある場合には、高さの緩和がある。
1mを超えた分の1/2を敷地が高い位置にあるとして計算できる(令135条の3)。
・手順6:以上確認した数値を基に計算します。
建物後退距離+隣地に水面等がある場合の緩和+建物隔離距離+A点までの距離
◇ポイント③:法55条(絶対高さ制限)
・第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域には絶対高さ制限があります。
・10m又は12mで都市計画で定められた数値ですので、試験問題では数値が指定されます。
◇ポイント④:法56条1項三号(北側斜線制限)
・対象用途地域が決められています。
第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域
第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域
・一定の高さを超える部分から斜線勾配(1.25)で高さ制限を制限してきます。
第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域は5m
第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域は10mとしています。
・北側斜線に関しては、道路面や隣地に対してではなく、真北方向に対して制限します。
(試験問題では、真北方向に対する隔離距離が明示されます。)
・手順1:道路、水面、線路敷等に接する場合、その幅の1/2の線を境界線とする。
・手順2:注意事項として、公園は緩和対象にならないので、境界線はそのままで計算する。
・手順3:該当敷地が隣地より「1m」を超える高さがある場合には、高さの緩和がある。
1mを超えた分の1/2を敷地を低くして計算できる(令135条の4)。
・手順4:以上確認した数値を基に計算します。
「A点」から真北方向の水平距離に1.25を乗じて最高高さを求める。
◇ポイント⑤:「A点」の最高高さは、求める敷地の地盤面からの高さである。
・上記の道路斜線、隣地斜線、北側斜線の一番厳しい数値を取ります。
・建築物の高さは、令2条1項六号において、地盤面からの高さと規定しています。
・道路斜線制限の場合、道路の中心線から斜線制限を計算しています。
・敷地に高低差がある場合には、緩和規定に従い計算値の置き換えが必要です。
・最後に、「A点」の敷地が道路面や計算した敷地より高い場合には、その分減算します。
2018年12月18日 by SHRS(シュルズ)「一級建築士、建築基準適合判定資格者」