◇図形問題が続きますが、今回は、高さ制限と防火地域内制限の問題を取り上げます。
◇面倒ですが、原点に返り、高さ規制の手順を追って見直していこうと思います。
◇なお、試験問題は、公益財団法人 建築技術教育普及センターのH.P.をご参照ください。
◇二級建築士試験、木造建築士試験と同様に、問題文と正答肢表が公開されています。
◇参考までに、該当アドレスを下記に記載します。
〔No.17 〕図に記載のある建築物のA点における地盤面からの建築物の高さの最高限度を求める問題です。条件として、平坦な敷地で、高低差は北側隣地とだけに存在し、北側隣地より1.2m低い敷地になっていて、南側と西側の2面が道路に接しています。また、門、塀等はないものとして出題されています。
正答 2
①道路斜線制限:法56条1項一号、法別表第3、法56条2項(建物後退による緩和)
・(に)欄より、第二種中高層住居専用地域の斜線勾配:1.25
・(道路容積率)8×4/10=32/10 > 30/10(都市計画容積率)
・(は)欄より、第一種中高層住居専用地域(容積率20/10以下)の適用距離:25m
・建物後退による緩和(法56条2項):西側、南側共に2m
・2面道路における計算用道路幅を広い道路幅(8m)とする緩和規定(法56条6項、令132条1項)
イ)広い道路の境界線からその道路幅員の2倍以内、かつ35m以内の部分⇒8×2=16m
ロ)狭い道路の中心線から10mを超える部分⇒2/6+2+6+(8-6)=13m⇒広い道路幅による
・南側道路斜線:(2+8+2+4+4)×1.25=25m
・西側道路斜線:{2+8+2+6+(8-6)}×1.25=25m
②隣地斜線制限:法56条1項二号
・20mを超える部分からの斜線勾配:1.25、
・建物後退による緩和(法56条2項):東側4m
・東側隣地斜線:20+(4+4)×1.25=30m
③北側斜線制限:法56条1項三号
・隣地より低い敷地の北側斜線制限の緩和(135条の4第1項二号)
・地盤面は1mを減じたものの1/2だけ高い位置とする⇒(1.2-1.0)÷2=0.1m
・A点から真北方向の隣地境界線までの距離×1.25+10m
・A点の高さ:{2+(12-4)}×1.25+10+0.1=22.6m
∴北側斜線制限の「22.60m」が、A点における地盤面からの建築物の高さの最高限度となる。
講評:A点が、令132条1項の2面道路における緩和規定の範囲にあり、広い道路幅での計算となります。
特に注意すべき点としては、1m以上低い敷地なので、令135条の4第1項二号による緩和規定が適用になり、地盤面から控除することくらいで、比較的易しい問題であったと思います。
〔No.18〕防火地域内建築物の防火規制を問う問題ですが、図解問題になっています。
正答 4
前提条件として、法67条2項により、防火地域、準防火地域に、建築物がまたがる場合は、防火地域の規制を適用する。同じ敷地内であっても、建築位置が防火地域をまたがらない場合には、準防火地域の規制となる。
1.正しい。法61条:3階以上又は100㎡を超える建築物は耐火建築物とする。それ以外は、耐火建築物又は準耐火建築物とする。
2.正しい。法27条2項二号、令115条の3第四号、法別表第1(ろ)欄(6)項:テレビスタジオは、令115条の3第四号により、
法別表第1(ろ)欄(6)項に該当し、3階以上をその用途に供するものは、法27条2項二号に基づき、耐火建築物としなければならないので、
設問は正しい。
3.正しい。法27条2項、同3項、法別表第1(6)項、法61条:車庫で150㎡に満たないものは、法27条の特殊建築物としての規制は対象外だが、
法61条により、3階以上又は100㎡を超える建築物は、耐火建築物が要求されているが、
それ以外は、耐火建築物又は準耐火建築物としなければならないとしているので、設問は正しい。
4.誤り。法27条2項、同3項、法別表第1(6)項、法67条2項、法61条
倉庫で1,500㎡に満たないものは、法27条の特殊建築物としての規制は対象外だが、建築物が防火地域と準防火地域を跨ぐ場合は、
防火地域の規定が適用になり、3階以上又は100㎡を超える建築物は、耐火建築物としなければならない。準耐火建築物では不適合である。
講評: ポイントは、法67条にある規制する地域をまたがる場合の措置です。敷地に対する規制ではなく、建築物への規制となっているので、
建築物の位置で規制内容が変わる事への注意が必要です。また、特殊建築物の場合、法27条の規制と重複してかかってくることへも注意が必要です
し、この問題のように、テレビスタジオが法別表の(6)項の自動車車庫等に該当するというのは、正直、感覚がないです。
きちんと令115条の3(特殊建築物の類似用途)を確認する手順が大切な事を諭してくれる問題ではないでしょうか?
学科Ⅲ「建築法規」問題集
http://www.jaeic.or.jp/shiken/1k/1k-mondai.files/1k-mondai-h30-gakka3.pdf
学科の正答肢
http://www.jaeic.or.jp/shiken/1k/1k-mondai.files/1k-gakka-gokakukijyun-h30.pdf
2018年12月5日 by SHRS(シュルズ)「1級建築士、建築基準適合判定資格者」
◇面倒ですが、原点に返り、高さ規制の手順を追って見直していこうと思います。
◇なお、試験問題は、公益財団法人 建築技術教育普及センターのH.P.をご参照ください。
◇二級建築士試験、木造建築士試験と同様に、問題文と正答肢表が公開されています。
◇参考までに、該当アドレスを下記に記載します。
〔No.17 〕図に記載のある建築物のA点における地盤面からの建築物の高さの最高限度を求める問題です。条件として、平坦な敷地で、高低差は北側隣地とだけに存在し、北側隣地より1.2m低い敷地になっていて、南側と西側の2面が道路に接しています。また、門、塀等はないものとして出題されています。
正答 2
①道路斜線制限:法56条1項一号、法別表第3、法56条2項(建物後退による緩和)
・(に)欄より、第二種中高層住居専用地域の斜線勾配:1.25
・(道路容積率)8×4/10=32/10 > 30/10(都市計画容積率)
・(は)欄より、第一種中高層住居専用地域(容積率20/10以下)の適用距離:25m
・建物後退による緩和(法56条2項):西側、南側共に2m
・2面道路における計算用道路幅を広い道路幅(8m)とする緩和規定(法56条6項、令132条1項)
イ)広い道路の境界線からその道路幅員の2倍以内、かつ35m以内の部分⇒8×2=16m
ロ)狭い道路の中心線から10mを超える部分⇒2/6+2+6+(8-6)=13m⇒広い道路幅による
・南側道路斜線:(2+8+2+4+4)×1.25=25m
・西側道路斜線:{2+8+2+6+(8-6)}×1.25=25m
②隣地斜線制限:法56条1項二号
・20mを超える部分からの斜線勾配:1.25、
・建物後退による緩和(法56条2項):東側4m
・東側隣地斜線:20+(4+4)×1.25=30m
③北側斜線制限:法56条1項三号
・隣地より低い敷地の北側斜線制限の緩和(135条の4第1項二号)
・地盤面は1mを減じたものの1/2だけ高い位置とする⇒(1.2-1.0)÷2=0.1m
・A点から真北方向の隣地境界線までの距離×1.25+10m
・A点の高さ:{2+(12-4)}×1.25+10+0.1=22.6m
∴北側斜線制限の「22.60m」が、A点における地盤面からの建築物の高さの最高限度となる。
講評:A点が、令132条1項の2面道路における緩和規定の範囲にあり、広い道路幅での計算となります。
特に注意すべき点としては、1m以上低い敷地なので、令135条の4第1項二号による緩和規定が適用になり、地盤面から控除することくらいで、比較的易しい問題であったと思います。
〔No.18〕防火地域内建築物の防火規制を問う問題ですが、図解問題になっています。
正答 4
前提条件として、法67条2項により、防火地域、準防火地域に、建築物がまたがる場合は、防火地域の規制を適用する。同じ敷地内であっても、建築位置が防火地域をまたがらない場合には、準防火地域の規制となる。
1.正しい。法61条:3階以上又は100㎡を超える建築物は耐火建築物とする。それ以外は、耐火建築物又は準耐火建築物とする。
2.正しい。法27条2項二号、令115条の3第四号、法別表第1(ろ)欄(6)項:テレビスタジオは、令115条の3第四号により、
法別表第1(ろ)欄(6)項に該当し、3階以上をその用途に供するものは、法27条2項二号に基づき、耐火建築物としなければならないので、
設問は正しい。
3.正しい。法27条2項、同3項、法別表第1(6)項、法61条:車庫で150㎡に満たないものは、法27条の特殊建築物としての規制は対象外だが、
法61条により、3階以上又は100㎡を超える建築物は、耐火建築物が要求されているが、
それ以外は、耐火建築物又は準耐火建築物としなければならないとしているので、設問は正しい。
4.誤り。法27条2項、同3項、法別表第1(6)項、法67条2項、法61条
倉庫で1,500㎡に満たないものは、法27条の特殊建築物としての規制は対象外だが、建築物が防火地域と準防火地域を跨ぐ場合は、
防火地域の規定が適用になり、3階以上又は100㎡を超える建築物は、耐火建築物としなければならない。準耐火建築物では不適合である。
講評: ポイントは、法67条にある規制する地域をまたがる場合の措置です。敷地に対する規制ではなく、建築物への規制となっているので、
建築物の位置で規制内容が変わる事への注意が必要です。また、特殊建築物の場合、法27条の規制と重複してかかってくることへも注意が必要です
し、この問題のように、テレビスタジオが法別表の(6)項の自動車車庫等に該当するというのは、正直、感覚がないです。
きちんと令115条の3(特殊建築物の類似用途)を確認する手順が大切な事を諭してくれる問題ではないでしょうか?
学科Ⅲ「建築法規」問題集
http://www.jaeic.or.jp/shiken/1k/1k-mondai.files/1k-mondai-h30-gakka3.pdf
学科の正答肢
http://www.jaeic.or.jp/shiken/1k/1k-mondai.files/1k-gakka-gokakukijyun-h30.pdf
2018年12月5日 by SHRS(シュルズ)「1級建築士、建築基準適合判定資格者」