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二級建築士試験2022ブログ講座⑧(2021年試験問題解説)

2022-03-15 10:21:11 | ビジネス・教育学習
2021年(令和3年)の試験問題解説を軸に、過去の出題傾向を踏まえて、重点事項と出題予測推論を加えて解説していきます。
 試験問題については、「公益財団法人 建築技術教育普及センター」のホームページで公開されていますので、そちらを参照してください。直接アクセスできるように、アドレスを記載します。 2k-2021-1st-gakka1_2.pdf (jaeic.or.jp)
 なお、アクセスできない場合には、「公益財団法人 建築技術教育普及センター」ホームページから、次の手順で入ってください。
 ①資格試験⇒②二級建築士⇒③(1-6)過去の試験問題等⇒④学科の試験
  すると、マトリックスの表が表示されますので、「令和3年 学科Ⅰ及び学科Ⅱ」と「合格基準点⇒正答肢等」を参照してください。

〔No.9〕防火区画等に関する、誤っている記述を問う問題です。
1.正しい。令112条12項、令126条の2第1項五号:令112条12項に定める「通称:準竪穴区画」の規定に準拠して、準耐火構造まで要求していない間仕切り壁と、防火設備(スプ
 リンクラー設置の場合には10分防火設備でよい)で区画すればよく、設問は正しい。
  R1法改正で、法27条の特殊建築物の規制対象から除外された、3階建て200㎡未満の小規模建築物(令110条の5に定める警報設備が条件)に関して、令112条11項(通称:竪穴区
 画)の規定適用ではなく、同12項(設問の患者の収容施設がある診療所等)の規定適用(通称:準竪穴区画)となる。従って、原則、竪穴区画での準耐火構造、防火設備での区画は
 要求されていない。
  なお留意点として、令126条の2第1項に規定する、排煙設備設置規定から除かれる建築物の部分を定める、ただし書き規定五号の技術基準が問題文に入っていることは、今
 後、何らかの問題文関連事項として挿入されてくる可能性を示唆している気がする。
2.正しい。令112条16項:防火区画に関して、それに接する外壁、外壁面から50㎝以上突出した、ひさし、床、袖壁その他これらに類するもので防火上有効に遮られている場
 合における、ただし書き規定での緩和条項。
3.誤り。令112条19項二号ロ:竪穴区画等に用いる法2条九号の二ロに規定する防火設備、同12項ただし書き、同13項に規定する準竪穴区画に用いる10分間防火設備は、令112
 条19項二号ロにおいて、「避難上及び防火上支障のない遮煙性能を有し」と規定しており、「有するものでなくてもよい。」という記述は、誤り。
4.正しい。法26条ただし書き一号:準耐火建築物の場合、法26条に規定する、1,000㎡以内の防火壁による区画から除かれている。
5.正しい。令114条1項:共同住宅の各戸の界壁(自動スプリンクラー設備等設置部分その他防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める部分の界壁を除く。)は、準耐
 火構造とし、第112条第4項各号のいずれかに該当する部分(一号で強化天井を定義)を除き、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならないとしている。

【蚯蚓の戯言(防火区画等)】
◇法改正事項の「準竪穴区画」が、ようやくR3年問題に入ってきました。
◇本問では、正答ではない肢問としての出題ですが、今年は正答としての出題の可能性は否定できません。
◇防火区画等の防火関連規定の重要事項を、「準防火区画」を加えて「出題率の高いもの」を整理すると。
 ①竪穴区画(令112条11項):原則、3階以上の居室部分と階段などの縦方向に貫通する空間との区画。
  ・ただし書き一号、二号で、竪穴区画が不要の場合を規定していることに注意!
  ・最近、設備規定との複合出題傾向にあり、「令112条20項」「令129条2の4第七号イ」に注意!
 ②準竪穴区画:令112条12項、同13項:R1改正で、小規模建築物の簡易的な竪穴区画の規定を新設。
  ・今年は、本格的に正答の肢問として出題が予測できます。
  ・今回解説のR3年「No.9・肢問1〕の十分な理解が必要だと推察しています。
  ・対面講座では、オリジナル問題演習を用意し、習得促進を図る予定の最重点事項の一つです。
 ③異種用途区画(令112条18項):1時間準耐火構造と特定防火設備での区画が要求されている。
  ・出題間隔は飛び飛びですが、正答出題が多く、最重点事項の一つです。
  ・特にR2年法改正で挿入された、令112条18項ただし書き規定に注意です。
  ・具体例としてホテル内の店舗があり、技術基準が政令ではなく告示なので、出題想定は謎です。
 ④防火壁の技術基準(令113条、告示197号)
  ・旧法では、令113条に記載があった基準の一部が、令元告示197号に移項していることに注意!
  ・法26条に規定する、防火壁と改正法で新設された防火床とは、同じ性能である。
 ⑤防火間仕切り壁の規定(令114条)
  ・令114条1項の界壁、同2項の防火上の主要な間仕切壁は、法改正で同等の扱いとなっている。
  ・原則、小屋裏、天井裏に達せしめる必要があるが、緩和されている事項に注意!
  ・強化天井(令112条4項一号)、スプリンクラー設置による緩和(かっこ書き規定)への注意が必要!
  ・出題率が高くて、比較的解釈が容易な部分ですので、日頃の演習で習得できると思います。

2022年3月15日 by SHRS(シュルズ) 建築基準適合判定資格者、一級建築士

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ミヤコシ)
2022-03-15 16:54:22
ありがとうございました。これ…難しいです。
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R3年No.9肢問1への疑問に (shrs(シュルズ))
2022-03-15 16:38:24
問題文のかっこ書きに、令112条11項(竪穴区画の規定)に規定する建築物ではないと記述されており、その根拠は、R1法改正で、法27条の規制から除かれた小規模建築物(3階建て200㎡未満のもの)を対象に、竪穴区画に準ずる規制を新設しており、それが12項と13項です。この問題では、患者の収容施設がある診療所ですから、12項の規定が適用になります。竪穴部分とは、11項の条文に詳しく記述されていますが、例えば階段室であり、その他の部分とは、それに接する居室です。したがって階段室部分との間を、準耐火構造まで要求しない間仕切り壁、防火設備(原則20分遮炎防火設備)で区画し、スプリンクラー設置による緩和(10分遮炎防火設備)もある。結果、肢問1は、正しい記述ということになります。
返信する
Unknown (ミヤコシ)
2022-03-15 14:27:28
R3年のNo.9の1番の問題が正当なのがわかりません。教えてください。竪穴「以外」の部分とその他の部分は、竪穴部分と捉えるのでしょう?
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