暮らす、生きる、繋がる、持続可能な未来

人も社会も、成長と負荷を切り離して、落としどころを考える。

2級建築士ブログ受験講座 「No.20」

2018-12-13 09:55:54 | ビジネス・教育学習
◇少々、お休みしてしまいましたが、今日は、容積率を取り上げます。
◇建蔽率同様に演習結果をみると、学生が得意としている分野と推察しています。
◇既に理解済みかと思いますが、要点別に整理していきたいと思います。

◇ポイント①:言葉の違いの整理
 ・我々は、ほとんど無意識に、都市計画容積率、道路容積率という言葉を使います。
 ・でも、その表現は、正式な用語としては存在しない、建築屋の用語のようです
 ・不動産関連の情報を見ると、都市計画容積率は指定容積率というようです。
 ・また、道路容積率という概念は無く、採用する容積率を基準容積率というようです。
 ・という、表現の違いは棚上げして、今までの表現で記述していきたいと思います。

◇ポイント②:法52条2項(基準容積率=容積率計算に使う容積率)
 ・道路容積率は、前面道路の幅員が12m未満の場合、道路幅により容積率が変化します。
 ・住居系は道路幅に4/10を、それ以外の商業系などは、6/10を乗じた数値とします。
 ・また、道路が2以上ある場合、大きい方の道路幅(みなし道路幅)で計算します。
 ・都市計画で定められた容積率(都市計画容積率=指定容積率)と比較します。
 ・計算で採用する容積率は、都市計画容積率と道路容積率の厳しい方を使います。
 ・図の出題問題には、都市計画容積率の記載がありますので、道路容積率を算出して比較します。

◇ポイント③:令2条1項四号の緩和規定(容積率計算で控除される延べ面積)
 ・建築物の部分で、一定面積以下を容積率計算に算入しない規定(緩和条項)があります。
 ・それぞれの部分で緩和面積の比率が異なりますので、同3項の一号から五号を参照ください。
 ・一番メジャーなのは、自動車車庫の1/5まで延べ面積に算入しない規定です。
 ・注意事項は、法52条に基づく延べ面積であり、令2条1項四号の延べ面積ではないことです。

◇ポイント④:法52条3項の緩和規定(住宅の地階部分の取り扱い)
 ・住宅等(老人ホーム、福祉ホーム等を含む)の地階部分の容積計算の緩和規定。
 ・天井が地盤面から1m以下の部分の地階に関しては、容積計算の延べ面積から除かれている。
 ・注意点は、地階の定義(令1条二号)と混同して勘違いしないこと。
 ・また、法52条6項において緩和対象となっている部分にも注意です。
 ・共同住宅等(老人ホーム、福祉ホーム等を含む)の共用廊下、階段部分も除かれています。

◇ポイント⑤:法52条6項の緩和規定(共用廊下やエレベーターシャフトの取り扱い)
 ・共同住宅等の共用廊下、共用階段部分は、容積計算の延べ面積に算入しなくてもよい。
 ・用途に関係なく、昇降機の昇降路(エレベーターシャフト)部分も同様の扱い。
 ・注意点は、法52条の延べ面積と令2条1項四号の延べ面積の数値が異なる事です。

◇ポイント⑥:法52条9項、令135条の18(特定道路の影響による容積計算)
 ・幅員6m以上12m未満の前面道路が、幅員15m以上の道路に接続する場合の緩和条項。
 ・前面道路の容積を計算する場合に、道路幅員の割り増しを計算する規定です。
 ・割り増しする幅員を計算する式が、令135条の18に記載があります。
 ・割り増し幅が出れば、あとは従来の容積計算の手順で計算します。

◇ポイント⑦:法52条7項(面積加重平均で回答する)
 ・敷地が用途地域をまたがる場合、容積率による許容面積が異なることになります。
 ・その場合、建蔽率の時と同様に、それぞれの用地地域での計算結果を後から合算します。
 ・建蔽率で慣れている計算方法だと思いますので、特に問題はないと思っています。

2018年12月13日 by SHRS(シュルズ)「一級建築士、建築基準適合判定資格者」
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2級建築士ブログ受験講座 「No.19」

2018-12-10 09:41:49 | ビジネス・教育学習
◇今日は、建蔽率を取り上げます。
◇学生への演習結果をみますと、得意分野というより、簡単なのかもしれません。
◇半分以上が、間違いのない回答をしています(全問正答率5割超え)。
◇ポイント部分をおさえることが出来れば、図形問題でも文章問題でも容易に回答できそうです。
◇建蔽率問題は、表形式の問題もよく出ますね!

◇ポイント①:法53条3項一号の緩和規定
 ・緩和条件は、建蔽率が8/10地域以外で、耐火建築物を防火地域に建築する場合。
 ・建蔽率が1/10緩和になりますので、その分、建築面積の最大値が大きくなります

◇ポイント②:法53条3項二号の緩和規定
 ・特定行政庁による角地の指定がある敷地。
 ・建蔽率が1/10緩和になりますので、その分、建築面積の最大値が大きくなります
 ・注意点は、敷地への指定ですので、用途地域がまたがる場合でも関係ありません。
 ・敷地全部に対して、角地の緩和規定が適用になります。

◇ポイント③:法53条5項一号の緩和規定
 ・建蔽率が8/10の地域において、耐火建築物を防火地域に建築する場合。
 ・建蔽率の制限の適用はありません。100%です。
 ・注意点は、商業地域の建蔽率は「8/10」しかないので、問題には記載されません。

◇ポイント④:法53条6項(防火地域の内外に渡る場合の取り扱い)
 ・建築物の全部が耐火建築物の場合、敷地が全て防火地域内にあると見なすとしている。
 ・敷地に対しての規定適用であることに注意です。
 ・防火地域の建築規制の法67条の扱いと、考え方が少々異なります。
 
◇ポイント⑤:法53条2項(面積加重平均で回答する)
 ・敷地が用途地域をまたがる場合、建蔽率による許容面積が異なりことになります。
 ・その場合、それぞれの用地地域内での計算結果を、後から合計すればいいことになります。
 ・手順は、建蔽率を合算しても、算出した建築面積を合算しても、どちらも同じです。
 ・注意点は、敷地が接する道路に、法42条2項道路の指定がある敷地です。
 ・必ず、道路境界線をセットバックしてからの敷地で考える必要があります。

2018年12月10日 by SHRS(シュルズ)「一級建築士、建築基準適合判定資格者」
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エコ検定フォロー講座 No.1

2018-12-07 11:06:29 | ビジネス・教育学習
◇エコ検定ワンポイント受験講座は、授業終了に合わせて本年度分を終了しましたが・・・。
◇ところが、COP24に関連しての新聞記事が多彩になってきました。
◇そこで、新聞記事を、エコ検定の必要知識でフォローする追加講座を掲載したいと思います。
◇早速、今朝の新聞ですが、日本がフロン対策でJCM(二国間クレジット制度)を展開との記事。
◇「フロン」と「JCM(二国間クレジット制度)」を整理してみます。

◇ポイント①:JCM(二国間クレジット制度)とは
 ・途上国への優れた低炭素技術等の普及を通じ,地球規模での温暖化対策に貢献する制度。
 ・日本からの温室効果ガス排出削減等への貢献を評価して我が国の削減目標達成に活用する。
 ・今朝の新聞記事にある「タイ」だけでなく、既にモンゴル、エチオピアなど16カ国と締結。
 ・日本の高い技術が評価されることにより成り立つ、信用貸しみたいなものと解釈しています。

◇ポイント②:「フロン」と「地球温暖化」の関係
 ・代替フロンの地球温暖化係数は、数千倍から数万倍と言われています。
 ・地球温暖化係数とは、CO2を「1」とした地球温暖化への影響係数です。
 ・新聞記事では、代替フロンの「HFC(ハイドロフルオロカーボン)」は、1万倍以上とのことです。
 ・「HFC」というのは、冷媒、エアゾール噴射剤、発泡剤などに含まれています。

◇ポイント③:「フロン」は、地球温暖化対策というよりオゾン層保護対策として推進
 ・南極上空で観測され始めたオゾンホールが、有害な紫外線(UV-B)を吸収しなくなる。
 ・その影響は、皮膚癌や白内障の増加、感染症の免疫作用抑制、動植物の育成障害があります。
 ・地球温暖化への影響もありますが、オゾン層保護の意味合いの方が強いと思います。

◇ポイント④:オゾン層保護への国際動向
 ・1985年に「オゾン層保護のためのウィーン条約」採択。
 ・1987年に「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」採択。
 ・先進国では特定フロンのCFC生産を1996年までに全廃(途上国は2010年)を定める。
 ・また、HCFCも2020年に全廃(途上国は2030年)を定める。

◇ポイント⑤:代替フロン「HFC(ハイドロフルオロカーボン)」対策
 ・オゾン層保護対策として、塩素を含まない代替フロンが開発されたが地球温暖化係数が高い。 
 ・モントリオール議定書を改正し、先進国は2019年から削減を開始した。

◇ポイント⑥:日本におけるフロン類の規制
 ・1996年以降、日本はオゾン層破壊性の大きい「特定フロン(CFC,HCFC)」を生産全廃。
 ・ただ、既に家電製品等に含まれており、これらの回収・処理が課題となっていた。
 ・2013年のフロン排出抑制法で、ライフサイクル全体の包括的対策を導入。
 ・家電は「家電リサイクル法」でカーエアコンは「自動車リサイクル法」でフロン回収を展開。

2018年12月7日 by SHRS(シュルズ)「一級建築士、CASBEE評価員資格者、エコ検定合格」
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SDGsカードゲーム体験会に参加して思う大阪万博に馳せる期待!

2018-12-06 09:39:30 | ビジネス・教育学習
◇昨夕「SDGs」をもっと深く知ろうと思い、カードゲーム体験会に参加してきました。
◇SGDsの目指す持続可能な社会への道筋を、ゲーム形式で体験しようというものです。
◇SDGsの理解には、少々、時間を要すると思い、非常にいい機会だと思っての参加です。
◇参加者は12名で2名ずつのチームになり持続可能な社会構築をシミュレーションしていきます。
◇まずは、目標設定をガードで選択しますが、トランプのババ抜き形式での選択です。
◇次に、お金と時間と行動カードが配られ、お金と時間を使って、行動を決めるのです。
◇詳しくは、主催者である「一般社団法人イマココラボ」をご参照ください。

◇参加者のなかに「りそな銀行」の行員がいまして、全社挙げて「SDGs」推進中とのことです。
◇それはそうでしょう、関西経済同友会代表幹事でもある池田博之氏が会社の副会長ですから。
◇先だっての構造計画研究所のセミナーの挨拶において、熱くSDGsを推奨していました。
◇今朝の新聞記事にもありますが、万博をお祭りイベントとするだけでは「モッタイナイ!」
◇世界的課題事項である「SDGs17目標」に向けての科学技術による提案の場であってほしい。
◇そして何より「おもてなしの心」で日本人の感性を活かした活用技術提案の場であってほしい。
◇そんな思いを、昨夕のSDGsカードセミナーと今朝の新聞を読んで感じるところです。

2018年12月6日 by SHRS(シュルズ)「一級建築士、CASBEE評価員資格者、エコ検定合格」

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平成30年「1級建築士試験問題・建築法規」ブログ解説 「No.9」

2018-12-05 11:13:11 | ビジネス・教育学習
◇図形問題が続きますが、今回は、高さ制限と防火地域内制限の問題を取り上げます。
◇面倒ですが、原点に返り、高さ規制の手順を追って見直していこうと思います。
◇なお、試験問題は、公益財団法人 建築技術教育普及センターのH.P.をご参照ください。
◇二級建築士試験、木造建築士試験と同様に、問題文と正答肢表が公開されています。
◇参考までに、該当アドレスを下記に記載します。

〔No.17 〕図に記載のある建築物のA点における地盤面からの建築物の高さの最高限度を求める問題です。条件として、平坦な敷地で、高低差は北側隣地とだけに存在し、北側隣地より1.2m低い敷地になっていて、南側と西側の2面が道路に接しています。また、門、塀等はないものとして出題されています。

正答 2
①道路斜線制限:法56条1項一号、法別表第3、法56条2項(建物後退による緩和)
 ・(に)欄より、第二種中高層住居専用地域の斜線勾配:1.25
 ・(道路容積率)8×4/10=32/10 > 30/10(都市計画容積率)
 ・(は)欄より、第一種中高層住居専用地域(容積率20/10以下)の適用距離:25m
 ・建物後退による緩和(法56条2項):西側、南側共に2m
 ・2面道路における計算用道路幅を広い道路幅(8m)とする緩和規定(法56条6項、令132条1項)
  イ)広い道路の境界線からその道路幅員の2倍以内、かつ35m以内の部分⇒8×2=16m
  ロ)狭い道路の中心線から10mを超える部分⇒2/6+2+6+(8-6)=13m⇒広い道路幅による
 ・南側道路斜線:(2+8+2+4+4)×1.25=25m
 ・西側道路斜線:{2+8+2+6+(8-6)}×1.25=25m
②隣地斜線制限:法56条1項二号
 ・20mを超える部分からの斜線勾配:1.25、
 ・建物後退による緩和(法56条2項):東側4m
 ・東側隣地斜線:20+(4+4)×1.25=30m
③北側斜線制限:法56条1項三号
 ・隣地より低い敷地の北側斜線制限の緩和(135条の4第1項二号)
 ・地盤面は1mを減じたものの1/2だけ高い位置とする⇒(1.2-1.0)÷2=0.1m
 ・A点から真北方向の隣地境界線までの距離×1.25+10m
 ・A点の高さ:{2+(12-4)}×1.25+10+0.1=22.6m
∴北側斜線制限の「22.60m」が、A点における地盤面からの建築物の高さの最高限度となる。

講評:A点が、令132条1項の2面道路における緩和規定の範囲にあり、広い道路幅での計算となります。
 特に注意すべき点としては、1m以上低い敷地なので、令135条の4第1項二号による緩和規定が適用になり、地盤面から控除することくらいで、比較的易しい問題であったと思います。

〔No.18〕防火地域内建築物の防火規制を問う問題ですが、図解問題になっています。

正答 4
 前提条件として、法67条2項により、防火地域、準防火地域に、建築物がまたがる場合は、防火地域の規制を適用する。同じ敷地内であっても、建築位置が防火地域をまたがらない場合には、準防火地域の規制となる。
1.正しい。法61条:3階以上又は100㎡を超える建築物は耐火建築物とする。それ以外は、耐火建築物又は準耐火建築物とする。
2.正しい。法27条2項二号、令115条の3第四号、法別表第1(ろ)欄(6)項:テレビスタジオは、令115条の3第四号により、
   法別表第1(ろ)欄(6)項に該当し、3階以上をその用途に供するものは、法27条2項二号に基づき、耐火建築物としなければならないので、
   設問は正しい。
3.正しい。法27条2項、同3項、法別表第1(6)項、法61条:車庫で150㎡に満たないものは、法27条の特殊建築物としての規制は対象外だが、
   法61条により、3階以上又は100㎡を超える建築物は、耐火建築物が要求されているが、
   それ以外は、耐火建築物又は準耐火建築物としなければならないとしているので、設問は正しい。
4.誤り。法27条2項、同3項、法別表第1(6)項、法67条2項、法61条
   倉庫で1,500㎡に満たないものは、法27条の特殊建築物としての規制は対象外だが、建築物が防火地域と準防火地域を跨ぐ場合は、
   防火地域の規定が適用になり、3階以上又は100㎡を超える建築物は、耐火建築物としなければならない。準耐火建築物では不適合である。

講評: ポイントは、法67条にある規制する地域をまたがる場合の措置です。敷地に対する規制ではなく、建築物への規制となっているので、
 建築物の位置で規制内容が変わる事への注意が必要です。また、特殊建築物の場合、法27条の規制と重複してかかってくることへも注意が必要です
 し、この問題のように、テレビスタジオが法別表の(6)項の自動車車庫等に該当するというのは、正直、感覚がないです。
 きちんと令115条の3(特殊建築物の類似用途)を確認する手順が大切な事を諭してくれる問題ではないでしょうか?

学科Ⅲ「建築法規」問題集
http://www.jaeic.or.jp/shiken/1k/1k-mondai.files/1k-mondai-h30-gakka3.pdf
学科の正答肢
http://www.jaeic.or.jp/shiken/1k/1k-mondai.files/1k-gakka-gokakukijyun-h30.pdf

2018年12月5日 by SHRS(シュルズ)「1級建築士、建築基準適合判定資格者」
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