久しぶりに読書感想を書きたくなった。
寺島氏の「世界を知る力」は、2010年1月にその第一弾が発刊された。それはそれで氏の幅広い知見と見識を示す良書であったが、今回はそのシリーズの第二弾であり、3.11の出来事を契機として発行されたものである。
あらためて氏の構想力の大きさと論理立てた主張には、敬服するばかりである。
以下に本書の序文より引用する。
人間は、日本が今直面しているような苦難な状況に置かれると、根拠のない楽観と悲観の狭間に揺れ動きがちになる。
震災後にやたらにテレビCMで流れた「日本は強い国」「ガンバレ日本」のメッセージのごとく、意味もない激励と鼓舞のなかで陶酔し、結束と団結を訴える空気が醸成される一方で、「日本は終わった」「これまでの社会のあり方全体を反省すべし」といった全否定の空気が交錯することになる。
根拠のない楽観と悲観は「思考停止」という意味において共通している。
今、日本人に問われているのは、「根拠のない自己過信」や「無原則な一億総懺悔」ではなく、筋道立った思考の再起動である。
うんー、実にするどい言説ではないか。
これまでもやもやしていた自分自身の頭をガッーンと一発やられたような、ある種爽やかさも感じる洞察ではないか。
さらに第四章の「日本再生の目指すべき方向性:真の復興構想とは何か」も、すばらしい着眼と発想だと思う。
それに続く第五章の「新しい国家エネルギー戦略の考え方」は、基本的に私の考えと同じであり、激励を受けたように感じた。
その中でも、原子力エネルギーについては、副次的と位置付けながらも、真正面から向き合っていくべきとのこと。
私も世界全体の状況から俯瞰した場合、日本人こそが、原子力から逃げるのではなく、先頭に立って取り組んでいくべき問題であると思っている。
ただし、氏の指摘するように、今のような閉鎖的・独善的な体制ではなく、もっと開かれ、かつ国家の責任が明確な形での推進が必要となることは言うまでもない。
そして、再生可能エネルギーの推進も合わせて強化すべきであり、さらには、その前提として一層の需要抑制・省エネルギーがなければならない。
資源のまったくない日本のような国に住む日本人こそが、自然の脅威と悲惨な光景に立ちつくし自らの思考を停止することなく、真のエネルギーのベストミックスの達成に向けた新しいエネルギービジョンと戦略を立案すべきである。そして、その実現に向けて極度の楽観にも悲観にも陥ることなく、腹を据え覚悟を決めて、日々悩み苦しみつつ各自の務めを果たして行く。それこそが日本人である私にも課せられた使命なのだ。
そうあらためて気付かせてくれた良書でした。
寺島氏の「世界を知る力」は、2010年1月にその第一弾が発刊された。それはそれで氏の幅広い知見と見識を示す良書であったが、今回はそのシリーズの第二弾であり、3.11の出来事を契機として発行されたものである。
あらためて氏の構想力の大きさと論理立てた主張には、敬服するばかりである。
以下に本書の序文より引用する。
人間は、日本が今直面しているような苦難な状況に置かれると、根拠のない楽観と悲観の狭間に揺れ動きがちになる。
震災後にやたらにテレビCMで流れた「日本は強い国」「ガンバレ日本」のメッセージのごとく、意味もない激励と鼓舞のなかで陶酔し、結束と団結を訴える空気が醸成される一方で、「日本は終わった」「これまでの社会のあり方全体を反省すべし」といった全否定の空気が交錯することになる。
根拠のない楽観と悲観は「思考停止」という意味において共通している。
今、日本人に問われているのは、「根拠のない自己過信」や「無原則な一億総懺悔」ではなく、筋道立った思考の再起動である。
うんー、実にするどい言説ではないか。
これまでもやもやしていた自分自身の頭をガッーンと一発やられたような、ある種爽やかさも感じる洞察ではないか。
さらに第四章の「日本再生の目指すべき方向性:真の復興構想とは何か」も、すばらしい着眼と発想だと思う。
それに続く第五章の「新しい国家エネルギー戦略の考え方」は、基本的に私の考えと同じであり、激励を受けたように感じた。
その中でも、原子力エネルギーについては、副次的と位置付けながらも、真正面から向き合っていくべきとのこと。
私も世界全体の状況から俯瞰した場合、日本人こそが、原子力から逃げるのではなく、先頭に立って取り組んでいくべき問題であると思っている。
ただし、氏の指摘するように、今のような閉鎖的・独善的な体制ではなく、もっと開かれ、かつ国家の責任が明確な形での推進が必要となることは言うまでもない。
そして、再生可能エネルギーの推進も合わせて強化すべきであり、さらには、その前提として一層の需要抑制・省エネルギーがなければならない。
資源のまったくない日本のような国に住む日本人こそが、自然の脅威と悲惨な光景に立ちつくし自らの思考を停止することなく、真のエネルギーのベストミックスの達成に向けた新しいエネルギービジョンと戦略を立案すべきである。そして、その実現に向けて極度の楽観にも悲観にも陥ることなく、腹を据え覚悟を決めて、日々悩み苦しみつつ各自の務めを果たして行く。それこそが日本人である私にも課せられた使命なのだ。
そうあらためて気付かせてくれた良書でした。
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