若くして企業再生コンサルタントや企業再建を任された経営トップを経験し、その後、株式会社ミスミ(東証一部)という上場企業の経営を創業者より託された「三枝匡(ただし)」氏の実践的経営書・三部作を手にしました。
それらは、すでに新刊本として20から10年以上前に発刊されたものであり、それぞれに文庫本化がされている。結構有名な書籍らしい(不明を恥じる)。
1991年3月初版の「戦略プロフェッショナル」(ダイヤモンド社)
1994年9月初版の「経営パワーの危機」(日本経済新聞社)
2001年9月初版の「V字回復の経営」(日本経済新聞社)
それぞれに文庫本は、日系ビジネス人文庫より、2002年から2003年、2006年と第一刷が発行されています。
おそらく新刊本が出された頃に、それらを手にしておれば、著者の意図の半分も理解できなかったのではないか。20年前の自分は、「経営」や「経営者」がなんたるか、考え及びもつかない世界で生きていた。
それが今この時期に出会ったきっかけは、本から本へのつながりであり、現在の自分自身の抱えている問題意識や取組んでいる課題によるところが大きい。
著者の主張している「日本のビジネス界での40代における経営プロフェッショナルの育成が急務」という熱いメッセージは、今もまったく色あせることはなく私の心に浸み込んできた。
すでに50代も半ば近くの自分自身を冷静に見つめるとき、著者のような有能かつ経験豊富なビジネスマンとのとてつもない大きな格差を感じつつも、なんとか10年遅れぐらいではその後を追いかけていきたいものだ。
コンサルタントのような第三者的立場ではなく、実際に企業経営を経験した人間にしか掴めない智慧に溢れた良書であり、物語的な構成が時を忘れさせ、同時に興奮と感動を覚えることができる。
つい夢中に字句を追いながら、ふと気付くと今の自分自身の身近な課題と置き換えて考えたりしている。このような経営シミュレーションは、経営に携わる者やこれから経営者を目指すビジネスマンには、極めて有効なトレーニングの一つではないかと思う次第である。
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