「鉄道ジャーナル」の2月号の内容は必要充分であった
毎月定期購読している「鉄道ジャーナル」の2月号は「北海道を旅する」とのタイトルで、函館本線の乗車紀行記事を中心としながら。北海道の抱える鉄道の問題を考えようという内容だった。
北海道新幹線の現状から始まって函館本線の乗車記。さらに札幌近郊と他の換算地域の状況が解説され、JR北海道の特急車両の紹介、さらに経営に関する諸問題を掲げていた。
また、会計学を専門とし、JR北海道の非常勤監査役を務める北大院教授の吉見宏先生の寄稿などがあった。
会計学の専門家ながら、私のような浅学菲才なものでも理解できるように、JR北海道の決算内容を解説していただけていたのは良かった。
経営安定基金がB/Sの純資産と資産の両方に計上されている不思議さも腑に落ちた。
ただ、国の対応については私の考えとは異なり、資金援助が十分に行われているように読み取れたのは、記載された金額を含めて疑問は残った。
B/S、P/L、損益分岐点、固定費、変動費の意味も解らずにJR北海道の赤字が云々と論じる方々は、少しでも簿記と会計学の基本を学んでほしい。
正直なところ、北海道民のほとんどがJR北海道の問題には大きな関心を寄せているとは思えない。ましてや、道外の鉄道ファンにとっては、それほど関心のある問題ではない。それについて特集を組むわけだから、線区別の細かい数字を挙げたり、国や自治体の対応について細々と記述することは必要ないであろう。
かえって、木を見て森を見ないような議論になってしまう。
その意味で、今回の特集は、許容できる範囲のものであったと受け止めているし、大変に参考になった。
JR北海道問題に詳しい北海道の鉄道ファンにとっては、本誌の内容は不足で、鉄道専門誌として、さらに具体的数字を挙げるなどしてほしかったという感じも抱くが、そこまでの内容を一般の読者が求めるとは思えない。
今回の鉄道ジャーナルの記事は、読者が地方の鉄道が抱える問題に関心を持ち、自らの考えを整理する一-助とするには十分な内容であっただろう。本誌は鉄道業界紙ではない、所詮は娯楽雑誌なのである・・・。
北海道民の鉄道への意識
仕事上、札幌で各種講習のお手伝いをすることが多々あるが、先日行われた講習会では、数名の受講者が真冬の道を自家用車で旭川から来られたという事で驚いた。
ところがこれは今回だけのことではなく、多くの講習会への参加者が、北は稚内、東は釧路、網走から季節を問わずに自家用車で参加することを当たり前のように考えておられる。
吹雪いたら危ないでしょうと伺うと、バスを利用すると言う。
JRは冬はすぐに運休するし、料金が高いから使わないという事だ。
先日、函館で伯母が亡くなったが、89歳の母から「冬は危ないから無理をして葬式には行かない方が良い」と言われた。やはり母の意識にはJRは無いようだった。
まあ、これが、現在の北海道民の鉄道に対する意識なのだろう。
はっきり投げやりで言うと、JR北海道は札幌近郊の電化区間だけの電鉄会社にするのが、手っ取り早い経営改善解決策なのかもしれない。
まあ、札幌まで延伸された新幹線は東日本に移管するのが得策だろうなどという極論も出てくることも考えられる。しかし、7000人の社員の東日本や新会社に移籍するなど、不可能なことだ。
そんなことになれば北海道経済の破たんを招くことは間違いない。
こんな会社にも天下り
去る12月31日付で北海道運輸局交通政策部長の齊藤敬一郎氏が同局を辞職退任、JR北海道総合企画本部専任部長に就任した。
以前から運輸局からの天下りはあったが、このような経営状態の企業に高給の元官僚を送り込むのが理解できない。
この人事に疑問を持たない日本人は、官尊民卑の意識が抜けていないという事だろう。この間の様々な政治問題を見ても、官僚の質は明らかに下がっていると私は思うのだが。