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12/20の新聞報道によれば札沼線の北海道医療大学―新十津川間の廃止についてJRと自治体が覚書に調印したという事だ。JRが22日にも国交省に届け出る見込みとの報道もある。
以下は新聞報道より引用・・・・・
「JR札沼線の北海道医療大学―新十津川間(47・6キロ)の沿線4町長とJRの島田修社長は20日、空知管内月形町で、JRが廃止に伴って各町に行う支援内容を明記した覚書に調印。
「2020年5月7日廃止」とする同意書に署名して島田社長に手渡した。JRは4町への支援額を、廃止後20年間で総額18億1600万円とする。 覚書には、JRが4町と個別に行ってきた協議で合意していた内容が盛り込まれた。代替交通の確保策関連の支援額は14億8600万円で、
《1》月形町―当別町―浦臼町のバス路線新設に伴うバス購入、停留所設置などの費用
《2》滝川市―浦臼町間の既存のバス路線運行経費の町負担分の交付―
などが明記された。
廃止後のまちづくりへの支援額は計3億3千万円。駅周辺整備に向けた施設建設費などが盛り込まれた。同意書には20年5月7日付で廃止すること明記されている。
・・・・・・・・・・・引用終わり
札沼線は、昭和初期に石狩川西側の公共交通網整備のため、桑園―石狩沼田間に全線開通。第2次大戦中は樺太の鉄道敷設への転用ためにレールが撤去され、戦後間もなく再開通したが72年に利用者減少などから石狩沼田―新十津川間が廃止された。
2016年の線区別収支では、北海道医療大学―新十津川間の1キロ当たりの1日平均輸送人員(輸送密度)は66人で北海道内全線区で最少。
JRがバス転換を提案し、数年前から4町とJRが協議し、結局、4町長は今年10月に廃止受け入れを表明しいてた。
北海道内の鉄道の多くが石炭と貨物輸送のために敷設されたのに対して、同線は開通当初から貨物は滝川経由の函館本線が主体であるばかりか、沿線人口も、元々多くはない地域だったが、地元選出の代議士が政治力で予算を獲得し「我田引鉄」そのものの鉄道としてスタートしている。
近年は、沿線の過疎化が進む中でも、並行する国道の拡幅などの改良もなされていた。さらに沿線住民の生活導線が南北ではなく、岩見沢、美唄、滝川方面を向いた東西の導線となり、南方の札幌を向く札沼線は公共交通機関としての存在価値は無くなっていた。
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一方で、札幌市北区のあいの里の大規模宅地開発で地区の人口が5万人を超え、当別町も札幌のベッドタウンとして人口増加、さらに北海道医療大学、北海道教育大学の移転開学などで、石狩当別町までの区間はは利用客が年々増加し、朝夕の通勤通学の利便性の向上が求められるようになっていた。
JRもオハフ51型客車を改造し、キハ150とほぼ同形式の車台を装着したキハ141気動車を開発、キハ48や40のロングシート化、キハ201の投入などて゛対処した。しかし、エンジンの無いキサハ144などが連結された編成では、新川・新琴似間の高速道路を跨ぐ高架橋の勾配で停止寸前まで速度低下が発生するなど、定時運行も危うい状態となっていた。
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そのような中、2000年年には桑園-八軒間を除くあいの里教育大駅までが複線化、さらに北海道医療大学までは沿線自治体の支援により国の助成制度を利用して電化を実現し、輸送力の増強が行われ、現在に至っている。
要する、もはや「札沼線」ではなくに愛称名である「学園都市線」が実態に似合った名称となった路線なのである。
函館本線という幹線も近い北海道医療大学以北の3町にとっては公共交通としては役割を果たしていないと考えざるを得なくなったという事だろう。
一鉄道ファンとしては寂しいものがあるが、鉄道の存在自体が疑問視される現状を鑑みると、鉄道よりバスを整備しながら町村内を循環しつつ、滝川、美唄などと結ぶ路線バスを細やかなダイヤで走らせた方が、住民にとってはより良いサービスとなると考える。
これから、廃止までの1年半で、どこまで利便性の高い公共交通を整備できるかが、沿線自治体の行政に問われている。
それにしても、来年5月で任期の切れる高橋知事のリーダーシップは、ここでも見ることはできなかった。
北海道大学の岸准教授に丸投げした成果というところかな。各自治体を歩いて説得したという岸先生は、これからが真価が問われる場面なのだという事を自覚してほしい。
それにしても、いまだに知事の人気が高いと言うのが、私には不思議である。
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