伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

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ジヤコシカ171

2020-12-17 19:26:01 | ジャコシカ・・・小説

 この人を威圧するような美しさが、彼女そのものなのだ。

 

 「艶ごとの始末は着いたのかしら」

 

 あやは質問には応えずに、遠慮のない言葉をぶつけた。

 

 「もちろん彼とは切れたわ。ただし仕事は別よ。彼は志乃を取り私を棄てた。その選択の結果が

 

出るのはこれからね。

 

 私達は「フローラ」を失った。代わりに私は青山の店とブランド「優」を完全に自分のものにで

 

きた。

 

 「フローラ」では引き続き「優」を扱うし、他の彼の店でも扱う。ついでに青山に手頃な工房も

 

手に入れた。

 

 次はあや、貴方の番よ。札幌にブテックの良い出物があるの。よければそこの店をまかせたい、

 

責任者になって欲しいの」

 

 「またあの女たらしの紐付きでですか」

 

 あやの眼は冷ややかだ。

 

 その眼の奥の表情を追って、優美は声を落とした。

 

 「私を信用できなくなった」

 

 「優美さんをと言うより女が分からないの。貴方も志乃さんも私には解らないの」

 

 優美は視線をあやの瞳から外し、白磁のカツプを両手で包むようにして持ち上げた。

 

 コーヒーを一口、二口飲み終わっても、彼女はカップを手放さない。

 

 静かな沈黙が流れた。

 

 やがて音をたててカップを置いた優美は、優しくあやを見て言った。

 

 「でも貴方はこの仕事が好きでしょう。今までの時間はそのためにあった。ならば簡単に諦めら

 

れないでしょう。


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