「声をかけて、心掛けておきます」
清子は続けて何か言いたげだったが、かまわず猛はさっさと受話器を置いた。
置いた後、少こし何かを考えていたが、やがてぼそりと言った。
「あいつ、農家にはやりたくないなあ」
「大賛成よ」
耳聡く聞きつけたトキが、大きく頷きながら合鎚を打った。
しかしその後で、少こし後ろめたそうに言った」
「でも、豊には早くいい人に来てもらいたいんだから・・・・」
「まったくなあ」
猛は思わず顔を歪めて、ゴリゴリと頭を掻いた。
五
「昼までは保っだろう」
外に出て海を眺めていた鉄五郎は、戻ると昨夜作った延縄の仕掛けを箱に詰めて言った。
既に朝の食事は済ませている。
高志は慌てて防寒着を着て続いた。
「餌のガンガン」
鉄さんは後を見ずに言う。
今日の漁の手順は、朝食の時に説明を受けていた。ガンガンはブリキで出来た背負い箱、つまり
御用(ごよう)篭(かご)だ。
清子は続けて何か言いたげだったが、かまわず猛はさっさと受話器を置いた。
置いた後、少こし何かを考えていたが、やがてぼそりと言った。
「あいつ、農家にはやりたくないなあ」
「大賛成よ」
耳聡く聞きつけたトキが、大きく頷きながら合鎚を打った。
しかしその後で、少こし後ろめたそうに言った」
「でも、豊には早くいい人に来てもらいたいんだから・・・・」
「まったくなあ」
猛は思わず顔を歪めて、ゴリゴリと頭を掻いた。
五
「昼までは保っだろう」
外に出て海を眺めていた鉄五郎は、戻ると昨夜作った延縄の仕掛けを箱に詰めて言った。
既に朝の食事は済ませている。
高志は慌てて防寒着を着て続いた。
「餌のガンガン」
鉄さんは後を見ずに言う。
今日の漁の手順は、朝食の時に説明を受けていた。ガンガンはブリキで出来た背負い箱、つまり
御用(ごよう)篭(かご)だ。