母さんに責任取れとか、食べさせないからとか、脅かされながら渋々よ。本当後のこと忘れて採
ってしまうからね。
もち、食べるのは好き。おいしいもの」
千恵は一気にしゃべり始める。
「それで今回は行者ニンニクでいけますか」
「鉄さん情報によるとタイミングはオーケーよ。蕗も蕨もいいみたい。多分タランポもいけると
思う。あそこは何でもあるから。
それに人が入っていないから採り放題だと思う。場所はしっかり頭に入っているし、鉄さんから
最新情報も仕入れているし」
「楽しみだわ。でも何んと言っても本命は行者ニンニクでしょう。何せ運んでくるのも楽でしょ
う」
「お前は楽することばかり考えているね」
「お言葉ですがねお姉様、蕗や蕨がどんなに重たいか忘れてはいませんか」
「はいはい分かりました。この際全面的に千恵の意見に賛成します」
「という方針で日にちを決めましょう」
二人の話しを聞いているうちに、あやもだんだんと昔の山菜採りの楽しかったことを思い出して、
気分がふわふわとしてきた。
日は既に入江の岩の上にかかっている。
目指す場所はさして離れていない。
正午かそれよりも大して遅くならない内に帰れるだろう。
昼食は戻ってから摂ることにして、各自がリックの中に駄菓子類と水筒だけを持った。