カワビタキ(Rhyacornis fuliginosa) Plumbeous Water-Redstart
台湾に到着した飛行機から降り立つと、既に暗い建物の外はとんでもない豪雨だった。
なぜなら、この台湾には台風が直撃した直後の渡航だったからだ。日本を発つ前に見たタイワンリスの特集をした自然番組の中で、台湾では台風が過ぎ去っても悪天が続く、などと述べていたため、桃園国際空港から台北市内へと向う安いバスの中でも不安で頭が一杯の私だった。
土砂崩れ等の影響により、いくつもの森林遊楽区が閉鎖状態となっている事がこの晩にホテルのフロントで知らされた。開通の見通しがつかない場所もあったため、移動疲れでボーっとした頭を叩き起こしながらその場で一から日程を組みなおす羽目になってしまった。
翌日、夜明けと共に起きだした私達は、便利なMRTや安いタクシーを駆使して市内の陽明山へ向った。
天候は、昨晩の豪雨が嘘の様に快晴である。
初めての場所、初めての風の匂い。けれど、初めてではないのはこの胸の高鳴り。
台湾へは今年の3月にも来ているけれど、陽明山には来た事が無かった。海外に来て、はじめに踏み出すフィールドほど期待に胸膨らむことはない!
はじめに姿を見せたのはこのカワビタキ。
沢沿いをちょこまかと飛び回っていて、腰から尾羽にかけて赤い雄が、「ヒッヒッヒッ....」というジョウビタキのような声で鳴いては、腰の白い雌を追いかけていた。
渓流の水の灰青色をそのまま映したような蒼は、光の当たり具合により灰色にも青色にも見える時がある。
【2010/09/21/台湾、台北 Taipei,Taiwan】