ヤマムスメ(Urocissa caerulea) Taiwan Magpie
八仙山の朝。
涼しい空気を浴びながら部屋を出ると、タイワンオナガがロッジのすぐ隣の木で騒がしく遊んでいた。
トイレに寄ろうと建物の角を曲がった時、信じられない光景が目に飛び込んできた。なんと、ヤマムスメがトイレの前にある洗面台の上にとまっているではないか!
あまりにも突然、そして近すぎたため、うろたえるばかりでどうしたら良いのか分からない私達。そんな気を知ってか知らずか、ヤマムスメは堂々と虫をついばんでいる。どうやら夜の間にトイレの灯りに寄ってきた虫を狙って来ていたようだ。
さらにもう2羽ほどが舞い降りてきて、ヤマムスメ朝食会の開催である。
よく動く鳥で、あれよあれよという間にその小群は餌をとりながら山の方へ移動していった。
ヤマムスメを見た後に少し歩いて、崖から谷を流れる渓流を見ると、カワガラスとカワビタキが動いていた。けれど道が途中で崩れており、崖に囲まれた川には近づけなくなっていた。
朝食をとった後、また歩いてみるも、どうも鳥が少ない。朝だというのに鳥の混群は通過しないし、鳴き声だって明らかに少ない。タイワンコジュケイやタイワンガビチョウと思しき声が聞こえるばかりである。
やはりそのような時期なのだろうか。
その後、崖に面した見晴らしの良い林道を歩いてみることにした。
ベニサンショウクイが、雄が2羽と雌が1羽、飛んでいった。空を見上げるとハチクマが飛んでいた。ヒメアマツバメと....そしてタイワンショウドウツバメも飛んでいる!
随分と弱ったオキナワルリチラシがよぼよぼと歩いていた。何気に初見である。
昼も近くなった頃、やっと、激しく込み合った潅木を移動する混群にめぐり遭った。
ヒメオウチュウ、ベニサンショウクイ雌、ズアカチメドリ、アオチメドリ、メジロチメドリ、ヒメマルハシで形成されている。
昼食をとった後、親切な宿の方が谷関のバス停まで車で送ってくれた。「こんなとこ(八仙山)どこのガイドブックに載ってるの?」と聞かれた。日本人が訪れることは稀らしい。
バス停の壁にはタケトラカミキリがいた。また、付近の料理屋では、ヒガイとオイカワの間の子のような姿の魚が水槽で飼われていた。これは日本で言うアユのような位置づけの食材なのだろう。
私達は次に、バス、新幹線等を乗り継いで嘉義の阿里山へと向った。
台湾のタクシーはとても安いのでよく利用するのだけれど、阿里山へ向う途中のタクシーで、一度降りたタクシーにもう一度乗ろうとした際、濃霧のなかでタクシーの車体にはらりと、巨大で美しいハグルマヤママユがたった1秒だけとまったものだから、眠気も覚めた。
バンコロヒキガエル(Bufo bankorensis)
阿里山の夜は霧深く、また私一人でナイトハイクをしていると、どこか別世界へ行ってしまいそうな気がしてきた。このガマの出現は、そんな私に少し安心感を与えてくれる。
しばらくすると雨が降り出してきたので、おとなしく大飯店に戻って床に着いた。
外灯に結構虫が寄っているから、明日は鳥が期待出来そうだ。
【2010/09/23/台湾、台中・嘉義 Taichung and Chia-i,Taiwan】