ラトウチハヤセガエル(Rana latouchi)
台湾2日目。
この日は台中の鞍馬山へと向った。
山の麓は果樹園になっており、標高を上げるにつれて辺りの植生が変わっていった。
山の中腹辺りを散策してみると、トラツグミが暗い場所で採餌していた。ミミジロチメドリは3羽で針葉樹の中をよく動いている。いきなり飛んできたのは30~40羽のベニサンショウクイの群れだった!雄が真紅、雌が黄色をしているものだからもの凄まじい見た目である。逆光でトケンが飛んだが、大きさからして明らかにオオジュウイチだろう。「ピピーハ」の声は出してくれず。
―この場所に早春に訪れたのなら、きっと赤い桐の実にタイワンツグミやチャバラオオルリが来るのであろう...。
もう少し標高を上げた場所では、「ヒリリリ...」と尻上がりにタカサゴミソサザイが鳴いていたけれど、藪から出てきてはくれなかった。その代わりカンムリチメドリの群れと、ゴシキドリが通過していった。
さらに標高を上げると、周りは針葉樹のみとなった。ホシガラスの「ガァガァ」という声がしたり、腹が橙色のゴジュウカラがちょこまかと動き回っていたけれど、結局目的の鳥2種には出遭えなかった。そもそも計画の段階で破綻していたのである。鞍馬山日帰りなど、移動に殆ど時間を割かれて下見くらいしか出来ないことくらい目に見えていた。
いいのだ。老後の楽しみにとっておくものだと考えれば問題無い。
暗くなる頃、八仙山に到着した。台風の影響で宿のスタッフは2名でもちろん他の客などおらず、とても静かだった。
夕食後、友人は寝ると言ったけれど、私は昼間の物足りなさを埋めるために一人で夜の森を歩くことにした。
沢水が流れ込む池では、沢山のラトウチハヤセガエルが鳴いていた。
バンコロヒキガエル(Bufo bankorensis)
明かりもない林内を歩いていると、まだ小さなバンコロがいた。苔むした崖にはタイワンサソリモドキがいたり、アシヒダナメクジが這っていたりした。また、林道上のアフリカマイマイを危うく踏み潰すところだった。
羽化直後のセミの翅。透き通った白い翅は、まるで妖精の羽のよう。
【2010/09/22/台湾、台中 Taichung,Taiwan】