映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

リトル・ダンサー デジタルリマスター版(2024年)

2024-10-14 | ★10個の作品

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv31905/


 1984年、イギリス北部、炭鉱の町ダーラムで暮らす11歳の少年ビリー・エリオット(ジェイミー・ベル)。

 大好きな母を病気で亡くし、炭鉱夫の父と兄、認知症気味の祖母と4人で暮らすが、男所帯で家の中は殺伐としている。炭鉱閉鎖の危機に組合が決行したストライキは長期化しており、父と兄は仕事ができず収入が絶たれ、家計は火の車だ。

 ある日、ボクシング教室に行ったビリーは、隣のバレエ教室のウィルキンソン先生に部屋の鍵を返しに行ったことがきっかけで、バレエに興味を持つ。

 以来、ボクシング教室に通う振りをして、父親に内緒でバレエ教室に通い始めるビリー。けれど、あっけなく父親に見つかってしまう。

 「男がバレエなんて!!」と激怒する父親と衝突したビリーは、ウィルキンソン先生の自宅にバレエ教室を辞めると伝えに行くのだが、、、。


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 私にとっての大切な大切な映画。大好きなベスト5、、、いや、大好きな映画はいくつもあるけど、本作はちょっとそれらとも違う、、、最愛の1本です。奇跡のような映画とはこの映画のこと。映画としてもだし、ここまで愛せる映画に出会えたことも。

 今年、本邦公開以来、23年ぶりにデジタルリマスターされて、劇場リバイバル公開となりました。

 DVDもBlu-rayも持っているけど、Blu-rayで見たのは購入直後、以来10年ずっと見るのは封印して来たし、スクリーンで見るのは公開時以来なので、23年ぶりにスクリーンの中のジェイミー演ずるビリーに会ってきました。嗚呼、ビリー、、、!!!

~~以下、本作への愛を垂れ流しているだけで、お読みいただければ嬉しいですが、すごくウザいと思いますので悪しからず、、、。また、盛大にネタバレしておりますので、よろしくお願いします。~~


◆改めて本作の素晴らしさを実感

 23年ぶりに会ったスクリーンの中のジェイミー演じるビリーは、記憶の中のビリーよりも100倍くらいカワイくて、愛しかった。オープニングのシーンから、もう涙目、、、。 

 01年の公開当時、劇場に5回見に行き、その後、DVDを何回も見たのだけど、今回、改めて素晴らしいと感じたことは3つ。①シナリオ、②演出、③主演のジェイミー、、、一見当たり前なことだけど、過去の名作と言われる数々の映画でも、この当たり前を全て兼ね備えている映画は、そんなに多くはないだろう。

 ①のシナリオについては、とにかく過不足がない。すべてのセリフ、シーン、映像の全部に意味がある。これ、すごいことだと思う。ビリーはもちろん、家族、友人、バレエの先生、、、等々、主要キャラの描写が一面的でなく、実に短いセリフとやり取りなのに、人物描写の奥行きがある。セリフで説明するところは全くない。本当にこれは奇跡的に素晴らしい。登場人物はみんな基本的にはイイ人たちだが、ただのイイ人ではない。そこをきちんとこの尺で描いている。圧巻である。

 ②の演出について、私は演出の方法論や技術的なことを学んでいないから、専門的なことは分からないが、ジェイミーやマイケル、デビーら子供たちの表情や動きがとても生き生きとしているのがとにかく魅力的。炭鉱の町らしく坂の多い場所を活かした画や、本作のキモであるダンスの振付と音楽の選曲、シーンの的確な切り替え等々、、、挙げればイロイロあるけど、ヘンに小細工していないのに、工夫があちこちに感じられるのが良い。何より、役者たちの演技が皆素晴らしい。これは、監督の演出力の為せる業だろう。長編初監督とは思えない凄技である。

 ③のジェイミーは、、、もうね、全部イイ!! 表情、仕草、セリフ、ダンス、ぜ~~んぶ素晴らしい。必死でピルエットの練習をしているときに、どうしてもできなくて頭を抱えるビリーの、自分へのいら立ちを表すかのように髪の毛をぐしゃぐしゃに掴むのとか、もう、、、カワイすぎるだろ、ジェイミー!と、スクリーンに向かって叫びそうになる。もう幼い子供ではない、でも大人でもない、大人になる前の声変わりしていないほんの一瞬の少年の輝きで目が眩みそう。嗚呼、、、もうサイコー!!!

 ……あとね、本作の魅力は、人を不快にさせない映画であること、、、なんだよね。嫌味がない。何かを伝えるために何かを貶めるようなシナリオになっていない。メッセージはもの凄く素直でストレート。でも深く奥行きがある。

 それと普遍性があることも名作の必要条件。本作の時代設定は、84年だけど、社会背景はその時代を映すものであっても、描かれている人間ドラマは普遍的そのものである。


◆好きなシーン6選

① こっそりバレエ教室に通っていたのがお父さんにバレるシーン……チュチュを着た女子たちに交じって、ランニングに紺の短パンをはいたビリーが一生懸命踊っているところへ、ボクシング教室に来ていないと知らされたお父さんが様子を見にやって来る。ターンしてビリーが顔を上げた瞬間、そこに怒りで赤鬼みたいになったお父さんがっ!!! ビリー、、、どうする?!

……って、この後、父と息子の取っ組み合いの喧嘩になるんだけど、お父さんに「お父さんはクソ野郎だ!!」というビリーの顔がめっちゃ憎たらしくてカワイイ。

② キッチンでミルクを飲むビリーが亡きお母さんの幻を見るシーン……ストが続いてフラストレーションの溜まるお兄ちゃんをお父さんが殴り付けて、家の空気は最悪な中、ビリーは練習不足をウィルキンソン先生に見抜かれる。でも、素直になれずに反抗し、先生に暴言を吐いてしまう、、、というなかなかシビアなシーン等が続いた後、ふと夜中にビリーがお母さんの幻を見る。お母さんに会えて嬉しそうなビリー、「ミルク瓶を冷蔵庫に戻して」とお母さんに言われて、戻して冷蔵庫を閉め、再び振り向くと、、、幻のお母さんは消えている。

……お母さんの不在を改めて実感したときのビリーの表情の切なさ、、、。息子を持つお母さんが見たら、これは号泣必至のシーンなのでは。私には子はいないが、号泣。

③ クリスマスの夜に初めてお父さんの前でビリーがダンスを披露するシーン……これは、本作の白眉だけど、何が好きって、ビリーのエネルギーほとばしる渾身のダンスである。怒り、フラストレーション、、、などがない交ぜになって爆発する。いかにもバレエっぽくないダンスがまた生命力を感じさせて素晴らしい。あんなダンスを見せられて、お父さんが心動かされない訳はないわな、、、と、誰もが納得させられる圧巻のシーン。

……DVDを購入した直後、このシーンを何度も繰り返し見たっけ、、、。ホールの暗めの照明といい、外からの雪に反射された白い光といい、映像がまたとても美しい。

④ オーディション結果を待つビリーの家族たちのシーン……結果の知らせがエリオット家に郵便で届く。おばあちゃんが、配達人が届けに来たのを家族に知らせ、お父さんが封書を郵便受けから取り「来た!」と、ダイニングテーブルの目立つところに立てかける。そこへ、ビリーが帰宅。一斉にダイニングテーブルに集まる父・兄・祖母。テーブルに置かれた封書にすぐに気づいたビリーが、一瞬ためらった後に、隣のおばあちゃんの部屋に一人籠って封書を開ける、、、。なかなか部屋から出て来ないビリーを待つ3人だが、諦めて吹っ切ったようにお父さんが立ち上がってドアを開けると、、、「受かった」と涙目のビリー。

……この、家族たちの一つ一つの反応がね、、、家族愛を感じさせる実に巧い描写になっていて、しかもユーモアもあり、劇場で必ず笑いが起きるシーン。初めて見たときは、すごくドキドキしたよなぁ。もしかしたら、不合格かも、、、などと思ってしまった。

⑤ 故郷からビリーが旅立つシーン……いよいよバレエ学校へ入学するため、自宅を離れるビリー。出発前にバレエ教室に行ってウィルキンソン先生に挨拶。「これからあなたの人生が始まる」とサラリとしたお別れ。自宅に戻り、おばあちゃんと固くハグをし、近所のマイケルにもお別れのキスをして、いざバスターミナルへ。お父さんが吹っ切る様にビリーをバスに乗せる。バスの中のビリーに、外にいるお兄ちゃんが“I'll miss you.”と言う。それまで強面だったお兄ちゃんの言葉が、しかしビリーには聞こえない。バスは無情に発車して遠ざかる。

……思い出すだけで涙目になりそうなシーン。ウィルキンソン先生のベタベタしない感じが実に良い。あと、お兄ちゃんがね、、、それまでずっと強面だったので、ここへきての“I'll miss you.”は破壊力抜群、見ている者の心を一気に鷲掴み。この声がビリーには聞こえない、、、ってのがまたイイ。この後、父と兄は再び炭鉱夫として坑道へと降りて行き、ウィルキンソン先生は一人バレエ教室に佇む、、、というワンショットが挟まれるのだが、たったそれだけの画で、現実のシビアさを描いてしまうところも良い。

⑥ ラストシーン……主演を務める大人になったビリーが、舞台へ飛び出して行って高く舞う!

……アダム・クーパーの鍛えられた背中の筋肉が印象的で、しかも高くジャンプしてフェイドアウト、、、エンドマークという鮮やかなエンディングは、余計な描写がない分、感動的。大人になったマイケルも出て来て、ココでも劇場がざわつくのがお約束。

 他にもいっぱいあるけど、キリがないので厳選しました。


◆デジタルリマスター版劇場公開

 このリバイバル上映を知ったのは7月で、前売りのムビチケを買うと、4種類のポスカのうちランダムで購入枚数分がもらえる!ってことで、発売日に映画友の分と2枚買ったら、4種類のうち、私が是非とも欲しかった絵柄の2枚のポスカが送られて来ました。ヤッター!!

チラシは2種類

 

 公開されたのは10月4日。この連休中、映画友と恵比寿ガーデンシネマに見に行ってまいりました。12:45の回は何と満席、、、。

 行ったら、前売りでもらったのとは別の特典ポスカをもらい、ラッキー! カワイイ。

 リバイバル上映なのに、パンフも作成されて、もちろんゲット。また、Tabioとのコラボでビリーの刺しゅう入りソックスが発売されたというので、こちらはネットで予約販売されており、購入。色違いで2足。ちなみに、注文したのが2日、届くまで2週間とのことで、まだ手元には届いておりません。待ち遠しい。

 パンフは、画像がいっぱいで嬉しい。23年前の公開時にももちろんパンフはゲットしたけど。

 終映未定とのこと。終映までにもう一度見に行くかどうか、、、悩み中です。今度いつスクリーンで見られるか分からないので、多分、行くと思う、、、。

 

 

 

 

 

 

ビリー、抱きしめたいっ!!

 

 

 

 

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3 コメント

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Unknown (Lunta)
2024-10-15 10:47:48
愛にあふれたレビュー、いいですね。
この映画、もうずいぶん昔に一度見たことがあって印象に残っているけれど、すねこすりさんの熱量に影響されて思わずチケット買っちゃいました。
明日見に行ってきます!
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やっぱり🎶 (フキン)
2024-10-15 14:17:47
絶対に観に行かれるんだろうなー♬って思ってました!(^.^)
リバイバル上映、めちゃ嬉しいですよね!
私もこの映画好きなんですよー。(すねこすりさんの足元にも及ばないけど)
ほんっとに、ビリー可愛いですよね!!
キュンキュンしに私も行こうかなー♪( *´艸`)
何はともあれ、おめでとうございます!!(なんかわからんけど、言いたくなりました!)笑
返信する
Unknown (すねこすり)
2024-10-15 18:47:47
Luntaさん、こんばんは!
わぁ〜〜、嬉しい!!
熱苦しい感想文をお読みいただいただけで嬉しいのに、
明日劇場まで見に行かれるなんて!!
感激です☆☆
是非、ご感想もお聞かせ願いたいです♪

フキンさん、こんばんは!
ありがとうございます♪
私にとって、リバイバル上映はめでたい以外の何でもないですっ!!
フキンさんも、可愛いビリーに会って来てくださいな。
さすが、デジタルリマスター、映像も凄くキレイで、音も良かったです。
スクリーンで是非是非!!
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