映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

ボヴァリー夫人(1991年)

2015-08-03 | 【ほ】



 ボヴァリー夫人、第2弾。

 田舎の町医者シャルルと結婚した農夫の娘エマは、夢見た結婚生活と現実のギャップに耐え切れず、その欲求不満を不倫で晴らす。しかも、夫名義で借金を重ね、挙句、破産する。そして、ヒ素を飲んで自殺。

 ストーリーは、大筋でヴィンセント・ミネリ版と大差なしだけど、エマの描き方は大分違う、、、かな。こっちの方が好きだけど、長いし、眠かった!!

 
☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜


 ヴィンセント・ミネリ版では、エマをこき下ろしてしまいましたので、今回はもうそれはやめておきます。

 エマを演じたのは、あのイザベル・ユペールなんですが、正直、ミネリ版を見た時にエマをイザベル・ユペールが演じるって、あまりにも違和感のある配役のように感じたのです。私の中のユペールのイメージが強いせいもあるのだけど、なんか違うんじゃないかな、、、と。

 で、実際に見てみた感想は、同じエマでも、ミネリ版のエマとはちょっと違う気がしました。確かに、夫に不満を持って不倫に走る、ってのは同じなんですが。

 ミネリ版のエマは、自由を求めていたのですね。こんなに抑圧された女なんて!!みたいな、当時の社会に対する持って行き場のない苛立ち、焦りみたいなものを凄く強調して描いており、当然、地位や肩書、社会的な名誉に非常にこだわりを見せる女だったのです。貴族の舞踏会にも、自分も貴族社会に仲間入りしたいという気持ちが垣間見えたし、不倫相手も貴族だから、弁護士だから、ってのが現れていたのです。つまり、ひたすら上昇志向に 取り憑かれていたのです。

 しかし、ユペールのエマは、確かに華やかなおとぎ話の世界を夢見てはいるんだけど、どこかこう、、、現実感がないというか、貴族の仲間入りしたいから舞踏会に行ったというより、キレイな衣装を着て華やかな集いに参加して優雅なダンスを踊れる!!みたいな。不倫相手も、その地位や肩書なんか全然気にしていない風です。いかにそれっぽく、愛の言葉を立て板に水のごとく並べてくれるか、めくるめくセックスを提供してくれるか、ってことの方が大事、という感じ。つまり、ひたすら、夫との生活からの逃避なのです。上昇志向がほとんど感じられないんですよねぇ、、、。

 なので、同じ頭の悪い女性でも、上昇志向なんぞ持たずにひたすら恋愛ごっこを求めるユペールのエマの方が可愛げがあります。というか、まあ、こんなだから、そら仕方ないわな、と思えちゃう。ミネリ版のエマは、分不相応すぎて、見ていてイラついたけれど、本作はそういうのがまるでないのです。夫の手術の失敗に幻滅する話も、ミネリ版はエマが積極的に手術することを勧めるけど、本作は、第三者に勧められて夫は手術に踏み切るわけで、エマが夫を積極的にけし掛ける訳じゃないんです。ミネリ版のエマほどには社会的な成功を望んでいるように見えないのです。

 ミネリ版のエマはエキセントリックそのものだったけど、本作のエマは、エキセントリックというより、単なるヒスだよね、欲求不満の。でもって、むしろ、自分が男なら良かったと思うミネリ版のエマとは正反対で、あくまで自分は女として生き、男によって女としての人生を謳歌させたい! と本気で思っているっぽい。ここが、もの凄く違うと思いました。

 どっちかというと、イザベル・ユペールの方が、抑圧に反発する自由を求める強い女性、って感じがイメージとしては強いんです、私の中では。とはいえ、ユペールのエマがものすごく見ていて違和感があったかというと、それはゼンゼンないのです。ユペールもこういう女性を演じられるんだ、、、というか、彼女は何でもござれなんだな、やっぱり、と思ったのですが。いやはや、すごい役者です、、、分かってたけど。

 でも、本作は、見ていて何度も何度も睡魔に襲われました。なんでこんなに眠くなるのか、、、。面白くないわけでもなかったんですけどねぇ。不倫相手の男たちのルックスも全然ダメだし、、、そう、イイ男が一人もいなかったのもあるかな。あと、エマの心情を全部ナレーションで説明しちゃうとことか。イザベル・ユペールという役者を使いながら、何とも無粋な演出だなぁと思いました。まあ、衣装や、美術はなかなか素敵でしたけれど。

 というわけで、良い部分も良くない部分も同じくらいってことで、は少な目です。





ロドルフ(最初の不倫相手)のニヤケきった顔がダメだった、、、。




 ★★ランキング参加中★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする