映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

ドリーム ホーム 99%を操る男たち(2014年)

2016-09-02 | 【と】



 以下、amazonよりストーリーのコピペです。

=====ここから。

 フロリダ州に暮らすデニスは、日雇いで働きながら、母親と息子を養う平凡な男。だが、住宅ローンを滞納したために、自宅からの立ち退きを迫られてしまう。デニスは自宅を取り戻したい一心で、なんと住宅差し押さえビジネスに加担する。だがその非情なビジネスは彼の価値観を少しずつ狂わせていく…。

====コピペ終わり。

 住むところがなくなるなんて、、、。


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 昨年、劇場に見に行きたかったんだけど、気がついたら終映してしまっていたのでした。、、、ごーん。……というわけで、やっとこさDVDで見ました。


◆鍵で現金、、、、って何?

 私、ローンとか、金融商品とか、全く、ホントに全くの無知でして、そもそもローンなんて組んだ経験がないのです、イイ歳して。なので、イマイチ、本作内での「鍵で現金」(明け渡し期日までに鍵を返すと3,500ドルの現金が受け取れる制度)とか、理屈は何となく分からなくもないけど、ピンときませんでした。

 とにかく、本作はのっけからコワい。いきなり主人公のデニス・ナッシュ(アンドリュー・ガーフィールド)が自分の家を追い出されるんですからね、、、。まあ、ローン滞納してりゃ、いつかこういう日は来ると本人たちは分かってはいただろうけど、ここまで容赦ないとは、、、。今住んでいる家を取り上げられたら……、なんて考えたら、もうそれだけでドキドキします。生きて行けないじゃん!

 ただまあ、大昔に仕事上で必要に迫られて仕入れた知識では、日本の場合、現居住者は割と保護されているような印象がありまして(記憶が薄れているので違っていたらすみません)、本作のように、いきなり不動産屋が保安官(日本なら警察官なのかなぁ)連れて来て、法律用語まくし立てて追い出す、っていう手荒な手法は多くはないような気がしますが、、、、。大体、差し押さえになる前に、売っちゃうんじゃないですかね、、、。詳しいサイトとか調べれば分かるんでしょうかね。あんまし興味ありませんが、、、。


◆金<愛情、って図式は陳腐すぎ

 デニスが、糞尿塗れになった空き家を、たった一人で清掃しようと名乗り出るところで、「そんな根性があるのなら、なぜ定職に就かないのさ?」と、ちょこっと思いました。その後の展開でも、デニスは頭も良いし、腕も良い、若いのにとっても“使える”職人なのです。まあ、そんな彼でさえ、こういう窮地に立たされる、というところを描きたかったのかしらん。

 その後、自分たちを愛着ある家から追い出した張本人の不動産ブローカー・リック・カーバー(マイケル・シャノン)にどんどんと取り込まれていく過程が見応えあります。大金を手にして、その感触に味をしめたデニスが、法の網をかい潜りヤバいことをして、さらなる大金を手にして、、、。金の魔力、恐るべし。

 カーバーは、やっていることはえげつないけれど、見るからに血も涙もない冷血人間、という感じには私には見えませんでした。デニスが使えるヤツだと分かってからは、利用するためにあれこれニンジンをぶらさげてくるんだけれど、そのやり方は割とスマートで、この男は意外に情にもろいところがあるのでは? という風にも思えました。案の定、自分の過去を語るシーンで、なるほど、と思わせる背景がありました。

 デニスは、金の魔力に魅入られたけれど、最終的には、カーバーにはなれなかった。というより、ならなかったのだけど、なんか、私はこういう展開、あんまし好きじゃないですね。デニスは良心までは捨てきれなかった、、、。もちろん、それには、家族に去られて、金を手にしても愛する人を失っては意味がない、ということなんだけれども、そんな当たり前のことを大真面目に描かれてもなぁ、、、。ものすごい予定調和な展開で、ガックシでした。

 私が脚本家なら、デニスには、カーバーを超えるブローカーに成長してもらって、見事1%の側に立ち、そのうま味を味わったところで、思わぬ失敗(もちろん仕事で)をして、奈落の底へ、、、みたいなハナシにするなー。家族(というか人情)と天秤に掛けるなんて、なんか普通過ぎ。

 1%の人々を悪人みたいに言う風潮があるけれども、“金があっても愛がなければ幸せとは限らない”的な紋切り型の批判は、もういい加減やめたら? と思う。幸せか否かなんて、本人以外分からない。

 カーバーも、本作では転落を予想させる終わり方だったけれども、彼が作中で幸せじゃないとは言い切れない。彼なりの価値観で、楽しそうに日々を送っていたわけだし。


◆家とは何か。

 邦題の、“ドリームホーム”ですけれど。日本でも、“夢のマイホーム”なんていいますけれど、欧米でも、借り物じゃない自前の家、って、やっぱり手に入れたいものの一つなんですかね。

 カーバーが言っていました。「家なんてただの箱だ」って。

 私は、そこまで極端じゃないけれど、デニスみたいに家への拘りはないし、どっちかというと、家は“生活する場”であって、持ち物的な感覚はほとんどないです、、、。だって、自分が死んだら、今住んでいるところなんてどうなるか分からないわけで、、、。未来永劫存在するものじゃないし。

 子どもがいて、子どもに遺してやる、っていう人もいるけど、子どもだって相続税払わなきゃいけないし、払えなくて土地が切り刻まれ、そこに所狭しと日もろくに当たらなそうな配置で3階建てがにょきにょき立って行くのは、我が家の周囲でもあちこちに見られます。ああいう光景は、ちょっと好きじゃないですね。何でこんな隣の家と1メートルも離れていないような日当たりの悪い家のために、一生ローンで縛られにゃならんのだ、と思っちゃいます。ま、余計なお世話ですが。ご本人にしてみれば、それこそ、夢のマイホームを手に入れた、ってことなんですよね、きっと。

 でもそうやって手に入れたその家は、こないだ見た映画『残穢―住んではいけない部屋―』みたいに、因縁付きの土地に建っているかもしれないし。、、、なーんて、私、ちょっとネガティブ過ぎですかね?

 私みたいに、ヤドカリ&野垂れ死に、が理想の人間にとっては、デニスにも、ガーバーにも、また、デニスに家を追い出された人たちにも、誰にも共感できないオハナシでした。


◆その他もろもろ
 
 アンドリュー・ガーフィールド、シングルファーザーの設定ですが、父親役にはちょっと若いような。まだ少年っぽい。イケメンだけど、あんまし好きな顔じゃないかな、、、。マイケル・シャノンはハマリ役。良い人なのか悪人なのかイマイチ分からない感じで、淡々と自分の利になることに敏いハイエナみたいなブローカー、ピッタリでした。

 あと、アメリカの家がいっぱい見られたのも楽しかった。日本じゃ豪邸の部類に入る家も、あちらでは、そこそこ、、、って感じ。あちらの豪邸は、ホント、もうスゴイ。我が家から歩いて行ける距離に都内有数の高級住宅街があるんですけど、そこでも、あちらの豪邸の部類に匹敵するお宅は、、、、まあ皆無ですね。とにかく、スケールのデカい豪邸の数々をチラッとでも色々見られたのは面白かったですね。成金趣味みたいなセンスのない家(『クィーン・オブ・ベルサイユ 大富豪の華麗なる転落』みたいのとか)はほとんど出てこなかったのが良かったです。

 住んでみたいとは思わないけど、2~3日滞在経験くらいはしてみたいかな。広すぎて落ち着かないだろうな、多分。
 







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