映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

うんこと死体の復権(2024年)

2024-08-17 | 【う】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv86062/


以下、公式HPからあらすじのコピペです。

=====ここから。

 「グレートジャーニー」で知られる探検家で医師でもある関野吉晴はアマゾン奥地の狩猟採集民との暮らしを通して、自然とヒトとの関係について考え続けてきた。そして、2015年から『地球永住計画』というプロジェクトを始める。この地球で私たちが生き続けていくためにはどうしたらいい かを考える場だ。関野はそこで3人の賢人に出会う。​

 野糞をすることに頑なにこだわり、半世紀に渡る野糞人生を送っている伊沢正名。
 うんこから生き物と自然のリンクを考察する生態学者の高槻成紀。
 そして、死体喰いの生き物たちを執拗に観察する絵本作家の舘野鴻 。

 3人の活動を通して、現代生活において不潔なものとされるうんこ、無きモノにされがちな死体を見つめると、そこには無数の生き物たちが織りなす、世の中の常識を覆す「持続可能な未来」のヒントが隠されていた...。

=====ここまで。

 ドキュメンタリー映画。


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 ド直球なタイトルにドン引きしそうなところですが、いたって真面目な、ドキュメンタリー映画です。某全国紙に評が載っていて面白そうだったので見に行ってまいりました。


◆“汚い”はエラい!

 オープニングから、いきなり男性の脱糞しているシーンである。もちろん、引きで何となくそれと分かるように撮影されているだけだが、人のうんちing姿を見ることってほぼないので、驚きである。それに、その後、その出たてホヤホヤの糞がモロに映るので、さらにビックリ。

 作品内で「ノグソ」という言葉がこんだけ頻繁に発せられる映画って、多分、映画史上でも類を見ないのではないか。それくらい、連呼され、自然界において野糞をすることの意味を見せつけられる。

 この野糞を日課としている伊沢さんという男性は、野糞用に山を購入して「プープランド」と名付け、いかにして糞が自然に還っていくかを研究されているお方。自身のことを“糞土師”と称し、自身の住む家には“糞土庵”と看板を掲げている、、、という徹底ぶり。野糞をすると、そこに名前と日付を記入した木札を立てて、経過観察をするのである。

 驚いたのは、伊沢さんが野糞をし始めた50年ほど前よりも、現在は糞を分解するスピードがめちゃくちゃ速くなっているという話。分解する虫やら微生物が増えたってことらしい。菌類学者がその土を採集して調べると、非常に珍しい菌が見つかって、学者さん、“これぞ究極のSDGsではないか!”と大興奮。そのほか、野糞が分解された後の土を試食してその味を確かめる、利き酒ならぬ“利き土”みたいなことをして「うわ~、甘~い!」と感激している女性もいる。ちなみに、彼女も野糞をしていらした。

 伊沢さんは元はカメラマンだったのだが、野糞にとりつかれてカメラマンの仕事は副業になり、離婚。「家庭より、妻より、、、うんこ」だったそう。

 お尻を拭くのに適した葉っぱを自宅庭で栽培し、何万回と野糞をし、、、、。そこまで究められることに、ある意味、感動する。

 考えてみれば、一昔前までは肥溜めなんてのが田舎にはあったし(実際に見たことはないけど)、もっと時代を遡れば、排泄物は肥料として売られてもいた。土に埋めたり撒かれたりすることで、汚物から有益な肥料になるという不思議。

 そして、そのうんこを餌にしている生物たちも実に多彩。彼らにとっては、動物の糞が生きる糧であり、その生物(主に虫)を餌にする鳥がいて、鳥が植物の種の紛れた糞をあちこちでしながら種を撒くことで自然の多様性が保たれている、、、というのは、頭では分かっていたが、映像で見せられると、へぇ~~~であった。林や森を破壊することの深刻さがよく分かる。


◆その他もろもろ

 本作は、都内ではポレポレ東中野と、もう1館、青梅でも上映しているみたいだが、ポレポレに行ったのなんて何年振りだろう、、、。

 こんなニッチな映画、どんな人が監督?と思えば、医師であり冒険家の関野氏。この方、私は、NHK・BSの「ダークサイド・ミステリー」で「謎の無人島 鳥島サバイバル〜人の生命を試す島〜」の回で出演されていたので知っていた。というのも、番組内で“アマゾンでの潜入生活が長い、、、”というような紹介をされていて、へぇー、と記憶に残ったのだった。

 うんこにしろ死体にしろ、一般的には忌み嫌われるモノでも、自然界に放たれれば、それは見事に分解されて循環するのである。今の日本では、野糞をすることは、軽犯罪法違反になる。けれど、上記の伊沢さんは、1日1回の排便とすれば、人間1人の必要な広さは、「1年間で約10メートル四方の林があれば良」く、「日本人1億2千万人全員が野糞をするには、110k㎡の林が要りますが、じつは日本にはその20倍もの林があるのです」と言っている。

 ……まあ、だからと言って現実的ではないよなぁ。今も、インドの田舎や、アフリカでは外で排便する生活をしているらしいが、特に女性はそれで性犯罪の被害に遭ったりもしているらしい。日本だって、公衆トイレでの性犯罪は普通にあるもんね。

 ちょっと前に、大阪湾でクジラが死んで、その処理がどうのこうので揉めていたみたいだけど、ああいう死体は基本的には地中に埋めて何年か放置するのが普通。放置している間に分解されて、キレイな骨の標本が出来上がるという、、、。生き物の分解力、恐るべし。大阪のクジラはどーなったんだろう?、、、と思ってググったら、「沖に埋めた」って書いてある、、、。揉めたのは、その処理費用のことらしい。

 パンフレットが充実の内容で、さらに表紙が、舘野氏による死体を餌にする“日陰虫”たちの細密画と、野糞後にお尻を拭くのに適した葉っぱの並んだ、実に可愛らしいデザインだったので、思わず買ってしまいました。一読の価値あり。

 

 

 

 

 

 


人間は、一生の間に7トンのうんこをするそうです。

 

 

 

 

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コメント (6)
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