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膵癌のアブラキサン、ジェムザール併用療法の有用性 

2015年07月14日 10時38分39秒 | 大阪鉄道病院

転移性膵癌のアブラキサン、ジェムザール併用療法の有用性が報告され、治療開始から2年経過した時点では、併用療法の患者の生存率は9%、ジェムザール単独療法の患者の生存率は4%でした。 併用療法を受けた患者の無増悪生存期間の中央値は5.5カ月 で、ジェムザール単独療法の患者では3.7カ月 でした。腫瘍奏効率は、併用療法で23%、ジェムザール単独投与で7%でした。アブラキサンは昨年年末に日本でも認可され、大阪鉄道病院でも使用され効果を認めました。今後の膵癌治療の一筋の明かりがさした感じですね。

これはイメージ図ですが、膵癌は発見困難な癌で、癌死因の5位になります。ダイナミックCT,MRIでないと発見困難で、ドックでするとすれば、MRCPの拾い上げくらいです。従来のジェムザール治療では効果なくほとんどがどんどん大きくなる印象でした。この併用療法は期待できそうです。

 

以下はコピペ

 

 

 

ナブパクリタキセルとゲムシタビンの併用で転移性膵癌患者の生存率が改善/NCI臨床試験結果

 
 
2013年12月2日

2013年11月15日掲載

要約
国際ランダム化第3相試験において、ナブパクリタキセル(商品名:アブラキサン)(アルブミン結合パクリタキセル)および ゲムシタビン(商品名:ジェムザール)の併用療法を受けた転移性膵臓癌患者は、ゲムシタビンの単独療法を受けた患者よりも生存期間が延びました。両薬剤を投与した患者では、疾患が悪化することなく生存した期間(無増悪生存期間)も長くなりました。

出典
2013年10月31日New England Journal of Medicine誌(ジャーナル抄録参照

背景
膵臓癌は稀な疾患であり、米国で毎年診断されるのは4万5000人程度ですが、米国の癌関連死因の中で第4位を占めます。膵臓癌は進行した病期において診断されることがほとんどのため、すでに 癌は体の別の部分に広がって(転移して)います。転移性膵癌患者の診断後の5年生存率は2%にすぎません。 化学療法薬剤であるゲムシタビンは、15年以上の間、転移性膵癌患者に対する標準的な初回治療となっています。転移性膵癌を対象として新しい薬剤を単独またはゲムシタビンとの併用で試す臨床試験は数多く実施されてきました。その中で唯一、FOLFIRINOXとして知られる化学療法だけが膵癌患者の生存率を向上することが臨床試験で示されています。 ナブパクリタキセルは、化学療法薬剤であるパクリタキセルの形態の1つであり、ヒトアルブミンタンパク質に結合した状態でナノ粒子に封入されています。パクリタキセルをアルブミンに結合することで、体内に注入された後にパクリタキセルの溶解性を維持するための溶剤が不要になります。溶剤はアレルギー反応や副作用の原因にもなります。さらにアルブミンは、分裂細胞に栄養素を届ける上で重要な役割を果たします。腫瘍細胞が生き続けるには栄養が豊富に必要ですが、パクリタキセルをアルブミンに結合しておくと、腫瘍細胞にパクリタキセルを送達することができます。 ヒト膵臓癌細胞由来の腫瘍を有するマウスの研究では、ゲムシタビンとナブパクリタキセルの併用が、いずれかの薬剤の単独よりも有効であったことが示されています。第1/2相試験の結果からは、未治療の転移性膵臓癌患者に対する併用療法の有効性が強く示唆されています。

試験
転移性膵臓腺癌臨床試験(MPACT)は、北米、ヨーロッパ、オーストラリアで実施されました。化学療法未治療の861人の転移性膵臓癌患者がナブパクリタキセルとゲムシタビンの併用またはゲムシタビン単独のいずれかにランダムに割り付けられました。患者はカルノフスキー・パフォーマンススコアが70以上の患者が試験に適格とされました(カルノフスキースコアが70の患者は、身の回りのことは自分でできますが、日常的な活動や仕事に従事することはできません)。本試験の主要評価項目は全生存期間、副次評価項目は無増悪生存期間および 腫瘍奏効率でした。試験に参加するにあたっての年齢制限はありませんでした。 試験はナブパクリタキセルの製造元であるセルジーン社の資金援助を受けています。試験責任医師は、トランスレーショナル・ゲノミクス研究所(米国アリゾナ州)のDaniel Von Hoff医師でした。

結果
併用療法を受けた患者の全生存期間の中央値は8.5カ月 で、ゲムシタビン単独療法の患者では6.7カ月 でした。この全生存期間の差は、統計学的に有意な差でした。 治療開始から1年経過した時点では、併用療法の患者の生存率は35%、ゲムシタビン単独療法の患者の生存率は22%でした。治療開始から2年経過した時点では、併用療法の患者の生存率は9%、ゲムシタビン単独療法の患者の生存率は4%でした。 併用療法を受けた患者の無増悪生存期間の中央値は5.5カ月 で、ゲムシタビン単独療法の患者では3.7カ月 でした。腫瘍奏効率は、併用療法で23%、ゲムシタビン単独投与で7%でした。 併用療法の場合の全生存期間と無増悪生存期間の向上は、年齢、性別、腫瘍の広がりの程度などの事前に定めた特性で定義される患者サブグループにおいても認められました。 両剤を併用した患者は、ゲムシタビン単独投与の患者よりも治療期間が長く、薬剤の累積用量も多かったことが試験責任医師から報告されています。 いくつ かの副作用(好中球減少症、末梢神経障害、疲労など)は、併用療法の患者の方が高い率で発生しました。 2013年9月、米国食品医薬品局(FDA)は、MPACT臨床試験の結果に基づき、転移性膵臓癌患者の治療においてゲムシタビンとの併用でナブパクリタキセルを使用することを承認しました。

制限事項
本試験には患者の生活の質の測定は含まれていませんでした。しかし、Von Hoff医師は電子メールの中で、膵臓癌に最も多い症状である腹痛が併用療法の患者で改善する場合が多いことを述べています。また、自験例として「患者は、この併用療法を開始して数週間で腹痛が軽減する」とも述べています。 試験参加患者の約7%は、カルノフスキー・パフォーマンススコアが70でした。これは全身状態不良であるとみなされるスコアです。ただし、参加患者は全体としては、膵臓癌と診断される多くの患者よりも全身状態がよかったと、NCIの癌治療・診断部門(Division of Cancer Treatment and Diagnosis)のJack Welch医師は述べています。したがって、試験結果は、この疾患を持つ多くの患者に一般化できるとは限らないとWelch医師は指摘しています。

コメント
Welch医師は次のように述べています。FOLFIRINOXおよび ナブパクリタキセル-ゲムシタビン併用レジメンは、急速に臨床で採用されており、今では全身状態が良好な転移性膵臓癌患者の初回治療として推奨されます。

「ここで、どちらのレジメンがより優れているのかという大きな疑問がありますが、明白な答えは出ていません」

FOLFIRINOXレジメンは「発表のとおり非常に効果的です。患者を選べば治療の良い選択肢になり得ます」とVon Hoff医師は電子メールで述べています。ただし、Von Hoff医師によると、FOLFIRINOXは「多くの臨床医が毒性が強すぎると考え」ており使用が制限される可能性もあります。


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