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天皇陛下退位まで1年 橿原神宮宮司が語る「初代天皇のまだ叶わぬ理想」

2018年05月02日 06時33分09秒 | 日記

天皇陛下退位まで1年 橿原神宮宮司が語る「初代天皇のまだ叶わぬ理想」

天皇陛下退位まで1年 橿原神宮宮司が語る「初代天皇のまだ叶わぬ理想」

 
橿原神宮に隣接する「神武天皇陵」。

 

《本記事のポイント》

  • 興味本位で神道の世界に
  • 神道に逆風が吹いた時代
  • 神武天皇が願う「共存共栄」

 

天皇陛下が退位される来年4月30日まで、あと1年となる。翌5月1日には、皇太子様が新しい天皇に即位される。政府・宮内庁では、その代替わりに向けた準備を急いでいる。

 

皇太子様の即位により、次の天皇は第126代目となる。その初代である神武天皇が祀られているのが、奈良県・橿原(かしはら)神宮だ。

 

本欄では、同神宮宮司の語る、神道の精神、そして、神武天皇の「まだ叶わぬ理想」について紹介する(2016年8月号記事再掲)。

 

◆                ◆                ◆

 

 

橿原神宮 宮司

久保田 昌孝

 

(くぼた・まさたか) 神奈川県生まれ。國學院大學神道専攻科卒。卒業以来、橿原神宮に奉職しており、2014年9月に生え抜きで宮司に就任した。

 

 

 

「『神主って、祈祷の時に、白いふわふわした物をふりふりする人でしょ?』って言われます」

 

笑いながらこう語るのは、年間300万人が参拝する橿原神宮の久保田昌孝宮司(当時65歳)。

 

橿原神宮が建つ場所は、神武天皇が、紀元前660年に即位された由緒ある地。この地で日本の建国が宣言された。ちなみに、「白いふわふわした物」とは、大麻(おおぬさ)と呼ぶ。

 

大半の神社には神主が1人しかいない。だが橿原神宮の場合は、総務や財務部門などを有し、総勢60人の職員が働く。

 

毎朝、境内地を1時間清掃した後、朝礼では、祝詞を上げて身を清める。これを365日続け、参拝者をお迎えする。このトップが久保田氏だ。

 

神武天皇が崩御して2600年となる2016年4月3日の神武天皇祭には、1万人以上の参拝者が詰めかけ、天皇皇后両陛下もご参拝された。久保田氏は、この歴史的な行事を成功させた。

 

 

興味本位で神道の世界に

実は、橿原神宮に奉職したのは偶然だったという。

 

神主の多くは、家業を継ぐ形で神道の世界に入る。これに対して久保田氏は、一般的な家庭に育ったごく普通の青年だった。仏教系の大学に進学するも、もっと日本の歴史や神道を知りたいと思い始め、國學院大學に入り直した。好奇心から神道に触れた。

 

「30人ぐらいいた同期のほとんどが神主の家庭でしたので、ギャップを感じました」

 

何も知らない久保田氏にも、1年間みっちり神道の基礎知識が叩き込まれた。神道の主宰神である天照大神のご存在から、祭りや行事、作法まで。

 

しばらくすると、クラスでは、どこの神社に奉職するかという話で持ちきりとなった。大学には、全国各地の神社から求人があった。

 

周りは、伊勢神宮や明治神宮をはじめ各神社を志望したり、あるいは実家の神社で奉仕する者もいた。

 

奉職先を考えた久保田氏だったが、恩師や両親の勧めもあり、実習でお世話になった橿原神宮を志望した。

 

 

神道に逆風が吹く

しかし、戦後、唯物論が広がった影響で、宗教心が軽んじられ、参拝者や賽銭は減少。教科書からは神武天皇の名前も消された。神話をいとも簡単に切り捨てる風潮は、神道にとって逆風の時代であった。

 

「神話を否定する方がおられますが、日本は突然生まれたんでしょうか。神武天皇がいらっしゃったから、我々が生きているんじゃないんですか」

 

柔和な顔つきの久保田氏は、この話に及ぶと、思わず語気を強めた。強い使命感をもって神宮を守っている。だからこそ、宗教を軽く扱う考え方は許せない。

 

休みであっても、神宮のことがついつい気になってしまう。

 

「激しい雨や地震があれば、境内の木が倒れていないかとか、今日は誰が宿直だろうかとか、大変だろうかとか、いろいろと考えてしまうんです。だから遠くに行きたくてもいけなくて」

 

まるで子煩悩な父親のように、神宮のことを思う。万が一、神宮に何かが起きれば、日本の根本が崩れてしまうという責任感があるためだ。

 

 

真剣な祈りには真剣な心で

神主の重要な役割の一つは、祈祷である。祈祷は、参拝者の願いを神様にお届けする儀式。古来より続く"神道の命"だ。久保田氏が祈祷に臨む時のこだわりがある。

 

「祈祷の前には、祈願者の方と触れて、全身全霊でどのような人であるかを感じとる。その人のことを知らなければ、祈りは届きません。祈りは真剣です」

 

祈願者の真剣な祈りに、神職が真剣な心で応える。

 

「私たち人間は、神様の手のひらに乗っかるような小さな存在。神様の御前では、何物にもとらわれない"無心の境地"が大事なんです」

 

 

神武天皇が願う「共存共栄」

では久保田氏にとって、神職とは何か――。

 

「神職と聞かれても、意識したことはないですね。我々は神社にいようが、家にいようが、神様の思いから離れてはいけない。だから常に、神様に感謝する生活を送るように心がけています」

 

聖職者と、俗人を分けるものがそこにはある。宗教者は、私生活でも心に隙をつくってはならない。

 

「テレビを観ると、暗いニュースばかりですよね。政治家の金銭問題などを毎日聞かされると、こっちの気が滅入ります。だから、こうしたものからはできるだけ離れる。心に悪い思いが出てきたら、明るいことを考え、悪しき思いに心奪われないようにすることです」

 

心は、「清く正しく美しく」という状態でなければならない。

 

「神武天皇が今の日本をご覧になられたら、日本が繁栄したことはお喜びのはずです。ただ、2600年経った今でも、神武天皇が理想とされた『人類の共存共栄』は実現していません。だから神武天皇は、私たちにこう語りかけるはずです。『日本人よ、もっと頑張れ!』と」

 

日本は神々から期待されている誇り高い民族。橿原神宮は、神の御心のままに政治を行うという「神武天皇の祭政一致の原点」を教えてくれる。

 

【関連記事】

2018年1月4日付本欄 日本、神社、天皇……そのルーツは1万年以上も古い

https://the-liberty.com/article.php?item_id=13983

 

2017年6月10日付本欄 天皇退位の特例法が成立 宗教家としての本来のお仕事に専念できる環境づくりを

https://the-liberty.com/article.php?item_id=13114


どうなる北朝鮮の核放棄? すれ違う米の「リビア方式」と北の「段階的な措置」

2018年05月02日 06時31分35秒 | 日記

どうなる北朝鮮の核放棄? すれ違う米の「リビア方式」と北の「段階的な措置」

同じ立場にありながら、異なる思惑や考え方を持っていることを「同床異夢」と言いますが、北朝鮮の核放棄については、まさにそんな状態になっていると言えそうです。

 

ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)が4月末のFOXニュースで明らかにしたところによれば、アメリカ・トランプ政権は、核放棄が確認された後に制裁を解除する「リビア方式」を念頭に置いて北朝鮮の核放棄を目指しているようです。

 

一方、北朝鮮は、4月末の南北首脳会談で「完全な非核化」を共同宣言に盛り込んではいますが、3月末の中朝首脳会談で「(韓国やアメリカが)段階的で同時的な措置をとるなら」と条件を付けています。

 

言葉としては同じ「核放棄」「非核化」を掲げていながら、両者の主張は大きく異なります。本欄ではこの違いをはっきりさせるとともに、今後どうすべきかを考えてみます。