北朝鮮に新聞を送り続ける脱北者インタビュー 「北内部の民衆蜂起を促したい」
2017.10.30(liverty web)
写真はイメージです。
《本記事のポイント》
- 北朝鮮内部に革命を起こす活動を行っている脱北者がいる。
- イギリスで編集した新聞を、韓国から北へ風船で飛ばしている。
- 北の民衆が蜂起した際に、支えてくれる国もある。
北朝鮮の金正恩政権による核・ミサイル開発問題をめぐり、アメリカのトランプ政権が北朝鮮を軍事攻撃する可能性が高まっている。
一方で、北朝鮮内部に革命を起こすための活動を続けている活動家もいる。現在はイギリスで暮らしているキム・ジョーイル氏もその一人だ。
幸福の科学のグローバル・ミッショナリーとして世界を飛び回っている武川一広氏がこのほど、イギリスを訪れ、キム氏に北朝鮮の民主化について話を聞いた。
山積みの死体を見て脱北を決意
キム氏は脱北する以前、北朝鮮の軍幹部を務めていた。一般的な庶民は国内を自由に移動することは許されないが、軍の仕事の一環で、国内を自由に移動する特権があったという。
ある日、大量の餓死者の遺体が山積みになって道端に捨てられているのを目撃した。
キム氏の2歳の姪も飢餓に苦しんでいた。ある時、母親が目を離した隙に、姪は空腹を満たそうと大量のとうもろこしを食べてしまった。慢性的な栄養不足状態から一気に大量の栄養を摂取したことで、姪は死亡した。
こうした現実を目の当たりにしたキム氏は、それまで学校や職場で教えられた「北朝鮮は世界で最も素晴らしい国だ」ということに疑問を抱くようになり、国外に出て真実を確かめようと決意した。
それから1年後、キム氏はついに脱北を決行した。北朝鮮と中国の国境に流れる鴨緑江を4時間泳ぎ、中国に逃れた。その後、ベトナム、カンボジア、タイを経て、2年後にイギリスで暮らし始めた。一人で脱北したため、家族はまだ北朝鮮に残されたままだ。
キム氏は現在、ロンドン中心部から電車で約30分の距離にあるニューモルデンという町にあるオフィスから、北朝鮮に住む人々を啓蒙し、現政権を転覆させるために、体制を批判する新聞「フリーNK」を毎月発行している。この新聞は、韓国政府の協力のもと、風船に括り付けて北朝鮮に向けて飛ばされ、国民に送り届けられている。
なお、ニューモルデンには、北から逃れてきた脱北者700人以上が住んでおり、脱北者のコミュニティとしてはヨーロッパ最大の規模である。
内部から北朝鮮を変え、体制崩壊へ
キム氏は、「アメリカと北朝鮮の関係が膠着している間に、内部から北朝鮮を変え、体制を崩壊させたいと考えています」と話す。具体的な方法については、次のように語った。
「以前は、テレビやラジオを通して、北の実態を伝えてきましたが、それでは上層部にしか届きません。今は、情報の入れ方を変え、一般の庶民に届くように、風船に新聞やソーラー電池付きのラジオを結び付けて飛ばすなど、あらゆる方法を使って北朝鮮内に情報を入れています。国内に外の情報が入り始めたことで、海外の様子や金正恩体制の異常さが、一般の庶民にも浸透し始めています」
厳しい統制下で、北朝鮮の民衆が蜂起することはあり得るのか。キム氏は、その協力国として、いくつかの国を挙げた。
「協力してくれる国はあります。オランダ、ベルギー、オーストラリア、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、カナダ、韓国、日本などです。これらの国は、北朝鮮国内にリーダーが立った時に支えてくれます」
キム氏のように、脱北後も祖国の人々のために活動している脱北者たちは世界に数多くいる。彼らの願いは、金正恩体制が崩壊し、祖国の人々が解放されることだ。国際社会は、北朝鮮に対する経済制裁や軍事的な圧力を弱めてはならない。
また、北朝鮮が現体制を維持できる理由の一つには、政府が外部の情報を遮断し、国民を洗脳していることが挙げられる。
こうした状況を打開するためにも、日本を含めたさまざまな国々は、北朝鮮の実情や、民主的な国の情報を北朝鮮内に広める「情報公開」の活動を後押しする必要がある。
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