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PHP研究所 ISBN4-569-62012-4 1050円+税
P152より引用
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51 アメリカには「聞き方テスト」がある
私には今でも手放せない一冊の絵
本があります。それは、昭和二十五
年六月三十日、大日本雄弁会講談社
発行、定価百三十円「万寿姫」とい
う絵本です。
唐糸は 木曽義仲の けらいの
手塚太郎光盛の むすめでした
おとうさまに まけない りっぱな
ひとで 義仲からとくべつ だいじに されて
いました
唐糸には 万寿姫と いう かわいいむすめが
ありました。……
幾度、大きな声で読んだことでしょ
う。この「万寿姫」は私の朗読の「
十八番」中の「十八番」でした。話
を聞く楽しさ、読む楽しさを教えて
くれた数々の絵本たち。(中略)
自分の言葉できちんと話をする。
あるいは、人の話をきちんと聞くと
いう教育が、今、学校でも家庭でも
おろそかにされているという話をよ
く聞きます。(中略)最近は、子供
たちが話を聞かないばかりか、親も
話を聞いてくれないというのです。(中略)
親が聞くことに無関心であっては、
子供たちの聞く耳のシャッターは
閉ざされたままになっても仕方が
ありません。
幼稚園の先生をしている若い友人
も悩んでいました。子供たちにおと
ぎばなしや童話を聞かせようとして
もまったく聞かないのだそうです。
また、父兄も「話を聞かせる時間が
あったら、文字や数をしっかり教え
て下さい」と注文してきるそうです。
以前、英文学者の外山滋比古さんが
「小学校も言葉といえば読むこと書
くことしか教えることがないように
思っているのは、やはり、大変おか
しいのである。アメリカの小学校で
は、低学年に聞き方テストというの
がある。先生のいうことがどれくら
いわかるかのテストである。幼稚園
では、ささやきテストをする。先生
が小さな声でささやくのを、聞きと
る訓練である。日本ではそんなこと
をしている幼稚園や小学校はおそら
くひとつもあるまい…」
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▼私の時代の小学生の頃は紙芝居で
した。あの木で出来た箱を開くと紙
芝居の始まり始まりです。「一寸法
師」「三匹の子豚」「金太郎」「桃
太郎」「浦島太郎」思い出します。
今ではそんな暇があるのなら文字や
数を教えたら、なんて、よく最近の
新語に「読み聞かせ」というのがあ
りますが、ホントに聞いているんで
しょうか、子供たちは。そういえば
最近の大人はもう少し謙虚に生きら
れないのか、主張ばかり多くて思い
やりの無さを感じます。おとぎ話な
ど聞いたことないというような人た
ちばかりのような気がします。