
山崎光夫著 講談社 P170より引用
ISBN4-06-213580-9 1400円+税
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賢者は淡く、長く交友する
私が、親しくしている老医師
に、友達として、長く交遊を続
ける秘訣を尋ねると、「それは
浅く契ることだ」と即答した。
「別の言葉でいうと、(淡交)
たんこう、になる」という。
淡いつきあいである。
浅く契るとは逆の、「深く契る」
と、濃厚な愛情が交錯して、交
遊が一瞬にして壊れることもある。
よかれと思っていたひと言が、
相手を傷つけ、その日以来、交
流が途絶えたという事例を、私
も幾例か知っている。相談を受
けて、仲介に乗り出したが、こ
とごとく失敗だった。よく話し
合えばなんとかなる、という問
題ではない。(中略)
中年後、長く友達関係でいた
いのなら、3Kについて深く介入
しないほうが得策のようだ。
(3K=金、恋、癖)
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▼中年を過ぎての失言は取り返
しがつかない事が多い。その修
復はほとんど不可能ということ
になる。また当のご本人は失言
と思っていないから始末がなお
悪い。ましてや悪意のある失言
ではどうしようもない。もとに
戻れるはずもない。いわゆる国
交断絶である。
益軒は次のことわざを選び出し
ている。
「水はさかさまには流れず」
(意訳・水は、下から上には流れない。同様に
物事には道理がある。なにごとも、自然の
なりゆきにまかせるのがよいというたとえ)
交友というのも自然に任せるのが
よいということかもしれないです。