徒然刀剣日記

刀剣修復工房の作品・修復実績と刀剣文化活動のご紹介

古い拵えの修復

2014-11-19 01:20:22 | 拵工作
今回は、戦国の雰囲気を残す古い拵えの修復です。



古作の刀剣外装は、本当に少なくなりました。
理由は、価値のわからない人たちによって、部品だけを抜き取られたり、バラバラに分解されてしまうからです。
また、当時の雰囲気を残す時代拵えが極めて少ない最大の原因は、商売人がより利益に繋がるように、意図的に手を加えてしまうことに他なりません。

このたびの拵えは、最近拝見した外装の中では、群を抜いて当時の雰囲気を内包した健全な状態です。
如何せん、保存状態はよろしくありません。鞘は亀裂が甚だしく、柄前は下地が痩せたことで刀装具がブカブカになり、兜金にいたってはあそびが広がり、柄巻きにも影響を与えている状態でした。



柄巻きは後の時代(幕末)の物ですが、十分に骨董価値を感じますので、現状のままに修復を施しました。



また、下げ緒を追加するご依頼でしたので、柄巻きと同時期の古い下げ緒を、さらに染色して取り付けました。

下げ緒加工時の記事は、アメブロにて公開中!
「下げ緒の染色」(2014/11/05)



この手の工作は、当工房のみで解決できる場合、ついつい無料で修復をお受けしてしまいますが、材料費だけでも何とかしなければ・・・と思う今日この頃(汗)。
(修復の対価を請求し難い理由は、修復を行う職人が極端に限られるため、特に本歌の外装修復となると、モノジチを取るような文化に対する後ろめたさを感じるからです。)

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