98式陸軍軍刀拵えが完成しました!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/71/e18ce017dad3a7721c086cda59034249.jpg)
当該形式の軍刀拵えは、昭和10年代に旧帝国陸軍によって正式採用された強固で実戦的な刀剣外装です。その後の戦況の悪化に伴い、戦地へ赴く士官の装備品として多くの軍刀が製造されましたが、戦時下のひっ迫した需要に追い付かず、粗悪品が増えていきました。そのため、軍刀拵えは悪い拵えの代名詞の様に、長く嫌われてきた傾向があります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/b4/67cecbe60b8b1fc42c2a693f2d6ad6e9.jpg)
この度の軍刀拵えは、戦時下に作刀された真面目な鍛錬刀に、軍刀拵えを着せるというご依頼でした。
ご依頼時の状態は、戦闘による破損や経年劣化により「補修を施す」という次元のものではありませんでした、結果的にご提供いただいた刀装具を用いて、拵えを新たに製作するというイメージで工作に入りました。
修復前の様子は、アメブロにて公開中!
・「昭和刀(その1)」(2013/04/30)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/99/07a598adeca68c5effd6dedbc306ff6b.jpg)
お刀は、樋を通した2尺1寸程度の刀身であったため、使用時の操作性や行軍時の携帯感を向上させるため、若干短めの柄前としました。
特に設計上こだわった箇所は、新規に作成した軍刀としてではなく、当時の空気感の再現に重きを置いたことです。また、当時の感覚で実戦でおくれをとらない様、強靭に製作したことも最大の特徴です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/64/45caaefd8651728455029d6556407c07.jpg)
実施した工作内容は、以下の通りです。
・太刀ハバキの新規作成
・鉄鞘の入子鞘の修復
・切羽の調整
・鍔の責め金
・柄下地の新規作成
・鮫皮(江戸時代の鮫皮)一枚着せ
・柄巻き
・刀緒の補修
お祓いも終了し、全工作が完成しました!
戦争から約70年が経過し、現存する軍刀拵のほとんどが、保存状態が悪化しています。
近年、ご家族の思い出として、軍刀を大切に扱ってくださる若い方が増えてまいりました。
しかしながら、真面目な修復を施す職人が少ないことも事実です。
これからも、日本の歴史の1頁として、大戦の記憶が後世に正しく伝わることを願い、軍刀の修復にも注力していきたいと思っています。
最後まで、ご拝読ありがとうございます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/71/e18ce017dad3a7721c086cda59034249.jpg)
当該形式の軍刀拵えは、昭和10年代に旧帝国陸軍によって正式採用された強固で実戦的な刀剣外装です。その後の戦況の悪化に伴い、戦地へ赴く士官の装備品として多くの軍刀が製造されましたが、戦時下のひっ迫した需要に追い付かず、粗悪品が増えていきました。そのため、軍刀拵えは悪い拵えの代名詞の様に、長く嫌われてきた傾向があります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/b4/67cecbe60b8b1fc42c2a693f2d6ad6e9.jpg)
この度の軍刀拵えは、戦時下に作刀された真面目な鍛錬刀に、軍刀拵えを着せるというご依頼でした。
ご依頼時の状態は、戦闘による破損や経年劣化により「補修を施す」という次元のものではありませんでした、結果的にご提供いただいた刀装具を用いて、拵えを新たに製作するというイメージで工作に入りました。
修復前の様子は、アメブロにて公開中!
・「昭和刀(その1)」(2013/04/30)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/99/07a598adeca68c5effd6dedbc306ff6b.jpg)
お刀は、樋を通した2尺1寸程度の刀身であったため、使用時の操作性や行軍時の携帯感を向上させるため、若干短めの柄前としました。
特に設計上こだわった箇所は、新規に作成した軍刀としてではなく、当時の空気感の再現に重きを置いたことです。また、当時の感覚で実戦でおくれをとらない様、強靭に製作したことも最大の特徴です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/64/45caaefd8651728455029d6556407c07.jpg)
実施した工作内容は、以下の通りです。
・太刀ハバキの新規作成
・鉄鞘の入子鞘の修復
・切羽の調整
・鍔の責め金
・柄下地の新規作成
・鮫皮(江戸時代の鮫皮)一枚着せ
・柄巻き
・刀緒の補修
お祓いも終了し、全工作が完成しました!
戦争から約70年が経過し、現存する軍刀拵のほとんどが、保存状態が悪化しています。
近年、ご家族の思い出として、軍刀を大切に扱ってくださる若い方が増えてまいりました。
しかしながら、真面目な修復を施す職人が少ないことも事実です。
これからも、日本の歴史の1頁として、大戦の記憶が後世に正しく伝わることを願い、軍刀の修復にも注力していきたいと思っています。
最後まで、ご拝読ありがとうございます。
いつも拝見させて頂いております。
お仕事に取り組まれますご姿勢に
感服いたしております。
実は、軍刀を所持しておりまして、
鉄鞘の修復(塗装)を検討しております。
この様な工作は可能でしょうか?
コメントありがとうございます。
当方の拘りにご興味をお寄せ頂き、お礼申し上げます。
軍刀拵に関しましては、一つの様式として、他の拵え同様に力を入れているのが、当方の特徴の一つです。
とはいえ、軍刀拵は他の伝統的な拵えと違って、刀装具の素材や材質に現代的な技術が用いられているため、一部当方では難しい加工もございます。
特に鉄鞘の塗装は、漆芸ではなく車などの外装に用いる焼付け塗装が施されており、当方の守備範囲外の工作です。
当工房でおこなっている工作は、あくまで伝統技法の範疇を想定しておりますので、厳密な意味での鉄鞘の塗装のみの工作はお請けしておらず、回りくどい言い方ですが、外装製作に付随する修復という場合のみ、お請けいたします。ご検討頂けましたら幸いです。
拵師