









日本各地から紅太郎の応援に駆けつけてくれた友人達はそれぞれ帰って行きました。紅太郎は寂しい日々を送っていまししたが、久しぶりにサ吉と再会。川縁で石投げをしながら話をしています。
紅太郎 「 みんな帰っちゃって寂しくなったよね~。」
サ吉 「そうだよね。なんかぽっかり心に穴が空いたみたいだ。」

紅太郎 「ねえ、サ吉君、ずっと聞こうと思ってたんだけどー。どうしてマロンちゃんを見ただけで倒れたの? そりゃあ、彼女は存在感あるけどさー。」
サ吉 「あ、え、と、そ、の、あ、の、(しどどもどど)


紅太郎

サ吉 「 エリザベス・・・って言うんだ。 今は・・もう。 んぐ。 ・・・・初めて彼女を見たのは・・・
サ吉は静かに語り始めました。

最初は・・彼女の右目だった。


それまでのおいらは西日本「にゃい気道」大会のタイトルを取ったからって少しいい気になってたからね。 戦いの痛みを感じることはしょっちゅうだったけど、今から思えば、彼女を見た瞬間感じた痛みに比べりゃなんてことのない痛みだったよ。あの痛みは・・・今までに感じたことのない痛みだった・・・



・・・さっき、戦いの痛みとは違うって言っただろう? 戦いの痛みは幸せな気持ちになることなんかないよね。 でもあの痛みは・・・痛いのに幸せなんだ。紅太郎君にわかるかなー、この感じ。変だよね、痛むのに幸せって。おいらだってうまく説明できないや。彼女を見ると胸のここんとこががしんしん痛い。でも会わなきゃ、もっと苦しいんだ・・・彼女に会うとね・・痛みと一緒に不思議な幸せがおいらを包むんだ。

ただ見ているだけでよかったんだ。 彼女が笑う。 彼女が歩く。彼女のまわりだけが、そこだけが輝いている感じだよ。幸せでいてほしい。それだけを願ったよ。

彼女のために何かできないかな、と思った。探していたボールを見つけてそっと置いたこともあったな。 彼女を阻む障害物は全部取り除いたよ。お花が好きだから野原で摘んだ花もまいた・・・微笑む顔が見たかったからね。もうそれだけでよかったんだ。

ところがそんなある日、自由犬のガルーがいきなり現れて・・・
ガルー 「 ガルルルルルルルルーーーー 」





こちら、サ吉の話を真剣に聞き入る紅太郎


「




