
本当は紅葉の頃が良いのだろうけれども混みそうなので、もうキノコは東北なら出ているだろうと9月の3連休を利用して、かなり昔に一度だけ通ったことがある奥只見を経由して、新潟から会津へと時計回りにグルリと一回りする旅に、、今回は2日とも初めて泊まる宿を予約しておいての二泊三日としてはかなりの強行軍のドライブを計画した。
朝6時前に出発し関越でまず湯沢まで、途中谷川PAで谷川岳の清水をペットボトルに汲み、朝食もここで簡単に済ませてから関越トンネルを抜け9時前に湯沢ICを出る。まず最初の目的地は石打から西へ車で10分程山に入った中里村の農協が経営するレストランドライブインふるさと館で、新米は10月からだが前年のものでも精米仕立のものなら問題は無いので、南魚沼産の中でも僕は一番旨いと思う清流米を5kg3880円(消費税別、電話注文も可能だが同一送料となる30kgまでがお得なので、精米後長く置かないためには何軒かで共同で頼む必要がある)を買込む。最初に買った7、8年前は3200円位だったからかなり値上がりしたものだ、これでも新米が間近で安くなっているのかな。ここは5月中旬なら湯沢でアルプの里ロックガーデンにでも寄ってシラネアオイなどの山野草でも見ていくところが、今回は特に予定を立てていなかったので只見に入る小出からは少し先にあって回り道になるけれど、小千谷にはまだ行ったことが無いので立寄ってみることに。途中道では以前に寄道した所としては、石打はアフリカなどの面などを展示する今泉博物館や何回か昼食を食べた洋食欅亭(日本橋泰明軒で修行とお見受けした)など、塩沢では魚沼産でも特に値が高い塩沢コシヒカリを売る農協や塩沢紬、越後上布の実演と加工品販売を兼ねたお土産店、北越雪譜の鈴木牧之記念館など、六日町は八海山の蔵元(ここでは自社製品を販売していない)などがあるが、今回は塩沢紬と上布の展示館のみを見て、あとは素通りして目的地にした小千谷の街中に11時前に到着した。
駐車場を探すとサンプラザなる建物の裏に大型無料駐車場を見つけて利用させてもらうことに。ここは観光用の施設で、織物工房があって体験も出来るほか、有名な小千谷縮を中心に布地から各種加工品までを展示販売しているんですね。市内には織物や染めの工場もあるようだが、初めてなのでここで良いものがあったら買おうと館内を一回り。縮加工でできた布によるシャツなどはなかなか魅力あるもので、着物生地を敢えて洋服に使っていい風合いを出し、男女用共にやや高いだけのことはあるなぁという商品が並べられている。女房は迷ったあげく生地を買って自分で好きなものに仕立てることに決め、5200円/mの藍色の広幅を2.5m購入していたが、来年の夏までに出来ますかな。昼飯はへぎ蕎麦の本場ということで朝もPAの蕎麦だったけれども、JRのジパング倶楽部に載っていたことがあるわたやという老舗らしい店(プラザ内に角屋というのもあった)に入る。ふたりだから2人前という1350円を注文、ふのりを使っているのでツルツルとあっという間にたいらげてしまったが、追加するのも地元客が多く混雑していたので止めて、かわりにタレが十分に残っていたので蕎麦湯を何杯か飲んで汁腹にしてしまったわい。その後、繁華街らしき所をさっと廻ったが、直線状に町並みを新しくしたようで綺麗になっているが特に目ぼしい物は分からずじまい、また次にきた時ということで駐車場に戻り、隣接してあった錦鯉の里だけ見て行くことに。錦鯉の色による名前や発色、体型や艶、バランスなどの見方などの講釈が説明書きされていたが、実際に泳ぐ鯉をみても我々にはどれが高いやつかさっぱり分かりませんでしたよ。
ワンサカとお宝の鯉達が泳ぐ
この鯉は?万円ですか
今日泊まる只見町の公営温泉宿泊施設の季の郷・湯ら里へは広神村から入って守門村を抜け、山菜共和国を名乗る入広瀬村からは只見川沿いのクネクネした道を走っていくことになる。以前はかなり悪い道のイメージだったが今回はそんな感じは無くて、ただスノーシェッドの工事が今も各所で続けられているので、片側交互通行で何度も待たされることとなった。途中の道路沿いで立寄る所は守門村にあるこのあたりの大地主だった茅葺の目黒邸ぐらいで、あとは前と同様特別なものは見受けられず、只見町に入ってからダムサイトの遊覧船発着場の休憩所だけに立寄って、下流方面の川沿いの田圃が始まる秋の風景を写真に収めただけで最終の宿に向かい、1日目の旅は終了。
目黒邸は豪壮な民家だが内部は近代的なところも
ダムの上から下流方向を眺める
只見町の深沢温泉にある今日の宿泊施設はモダンな造りで、結婚披露宴も行われるらしくホテル風に躾られた若い従業員が多くて、僕は何かで山の中の宿としてはまずまず満足できる宿だということを聞いていたのですよ。
季の郷・湯ら里
客室の廊下は入ってみてビックリ
施設は宿泊棟(これはちょっとした趣向のある空間になっている)、公共温泉、レストラン、研修所などが入った本館建物と、ここの源泉で入浴施設のみとなっているむら湯(冒頭写真)という別棟があり、宿泊者はフロントに頼めば無料でそちらにも入れるので、到着後すぐに源泉とやらにまずは入いることに。この湯はナトリウム-塩化物・硫酸塩泉で出口では無色透明なのに湯桶では赤く染まり、塩辛くて鉄の臭いがあっていかにも濃厚で効きそうなという湯、そういえば秋山郷の小赤沢温泉がこんな感じだった。これに対して本館の湯は同じ温泉なのにほとんど無色、どういう方法で鉄分を除去しているのか聞こうとしていたのに聞き忘れてしまった。本館には露天風呂、ジャグジー、ミストサウナなどもあり、シャンプー類も揃っているが、むら湯は固形石鹸だけだったので、本館の風呂にまず入って洗いを済ましてからむら湯(20:00終了には注意、朝は9時から)にというのが正解ですな。温泉好きは絶対にむら湯の源泉に浸からないといけませんぞ、地元の老人たちのオシャベリがよく聞き分けられないというのも旅の面白さになるしね。
夕食は豪華さはありません、量もこの程度が健康というのであるが、煮物、岩魚塩焼、天ぷら、すき焼など温かいのを出す努力をしているようで若いサービス係りがこまめに対応してくれる。特別注文らしい鍋を食べているグループもあったので、もっと腹一杯にという人は予約したら良いでしょうが老人にはこのくらいで十分でしょう。酒は隣の南郷村の花泉で、年末には売切れて無くなってしまうという地元では幻の酒と言われているものの冷原酒をやったが、アルコール度が高いから甘目でかなり味の濃いものであった。聞けば辛口というのもあるらしい。
品数はあるが量は少しずつ
山の幸を中心に
ここで特筆すべきは夕食よりも朝食で、朝にロビーで搗いた餅(休前日に満室の翌朝のみ搗くんだそうだ)には餡、きな粉、納豆、くるみなどが用意され、雑煮なども加わって、それらの続く惣菜には各種山菜料理から和洋の各種料理のバイキングと種類も多く、飲み物も地元牛乳や南郷トマトジュースなどにコーヒーや紅茶などと豊富なのでつい腹一杯まで食べてしまい、我ながらはしたない限りであった。特に南郷トマトというのは有名で、量に限りがあったから早い者勝ち、これは真っ先に飲んだほうが良い。<その後に泊まった時には南郷トマトのジュースは見掛けなかったが、早い者勝ちじゃマズイということか>
ロビーで地元の人が餅つきを、参加もできると
レストラン入口手前から料理が並ぶ
中にも料理が並ぶテーブルがいくつか、の桃のは別の場所に
早朝は遠方の緑のあいだから朝霧が昇っていくのを眺めながらの露天風呂、実に結構なものでしたねぇ。公共の宿(その後にTVの専門家が選ぶ公共の宿ベストテンの第2位に挙げられていた)なのでこれで一人につき10000円、山奥だからサービスと料金で頑張っているんでしょうね。奥会津もここまで入ると、懐かしくもありシミジミとした日本の原風景がここにあるという感じを受けますなぁ。