・一幕五場 (3)
妻のいる自分の居城に戻ってきたマクベスは、「国王が、今夜ここへ」とダンカンが来ることを告げると、彼女は、「そして、いつお立ちに?」と答える。
この短いやり取りで、マクベス夫妻は同じ考えでいることが分かる。
ここは、やはり夫人の方が先に立っていて、ダンカンを油断させるのはマクベスの役目であり、眠ったダンカンを殺めるのが夫人の役目であった。
・一幕六場
マクベスの居城前。マクベスの城が国王ダンカンを捕らえる死の罠であるのだが、ダンカンの眼には、外見しか見えておらず、彼にとって平和と安息を示す城でしかないと感じている。
Macbeth: To-morrow, as he purposes. Lady M.: O, never Shall sun that morrow see ! (マクベス:明日、お立ちの予定でおいでだ。 夫人: ああ、決して 明日の日の目を見せてはなりません!)
ここは、やはり夫人の方が先に立っていて、ダンカンを油断させるのはマクベスの役目であり、眠ったダンカンを殺めるのが夫人の役目であった。
普通は、反対だろうと思うんだけど…… まあ、奥さん主導と言うことで……
'Your face, my thane, is as a book, where men May read strange matters: ― To beguile the time, Look like the time; bear welcome in your eye, Your hand, your tongue: look like the innocent flower, Be the serpent under it. He that's coming Must be provided for: and you shall put This night's great business into my dispatch; Which shall to all our nights and days to come Give solely sovereign sway and masterdom.' Macbeth: We will speak further. Lady M.: Only look up clear !: To alter favour ever is to fear: Leave all the rest to me. (あなたのお顔は、不思議なことが書いてある本のよう。 世間を欺くには、世間と同じ顔をなさらねばなりません。 眼も、手も、舌にも、歓迎を表わし、無心の花と見せかけて、 その陰では蛇であってください。さあ、お客様のおもてなしを なさなくては。今夜の大事は、私にお任せになって下さいまし。 今後、私たちの長い日々の暮らしに、無上の権力が訪れるかどうか、 全てがそれにかかっているのです。 マクベス:そのことはもっとよく話し合おう。 夫人:でも、面を明るくおあげになって下さいまし。 気難しい顔をなさっておいででは、心に怖れありと思われます。 後のことは、みんな私にお任せになって)
・一幕六場
マクベスの居城前。マクベスの城が国王ダンカンを捕らえる死の罠であるのだが、ダンカンの眼には、外見しか見えておらず、彼にとって平和と安息を示す城でしかないと感じている。
女主人の様子にも不信なものはなく、中身がどうであろうと、その外見では知る由もなかった。
この部分は一幕四場でダンカンが自らが、「顔つきから人の心を読み取る術はない」と語った通りのことが、当に行なわれているのだ。
この辺りが、シェークスピアの皮肉っぽさを感じる。
この辺りが、シェークスピアの皮肉っぽさを感じる。