gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

長屋の花見 (三)

2009-10-25 13:05:24 | 落語
 長屋の連中は言います。
 「いいえね。下の方が…… 上の方でみんな本物を食ってますからね。ひょっとすると、うで玉子なんか、ころころっと転がってくる。それを、あたしは拾って、皮をむいて食っちまう」


 「そんなさもしいことを言うなよ…… まあ、どこでも、おめえたちの好きなところへ陣取って、毛氈(もうせん)を敷くがいいや」


 「へい。毛氈…… 毛氈の係、いなくなっちゃったじゃねえか」


 「あれ、あんなところでぼんやり突っ立って、本物を羨(うらや)ましそうに見てやがら…… 見てったって飲ませてくれるわけじゃねえや。おーい、むしろの毛氈持って来いッ」


 「おいおい、両方言う奴があるか」


 「だって、そうでも言わなくちゃ気がつきませんから…… おうおう、こっちだ、こっちだ」


 「さあ、ここへ毛氈を敷くんだ。あれっ、どうするんだ。こんなに横に細長く並べて敷いて?」


 「こうやって、一列に座りましてね。通る人に頭を下げて…… 」


 「おい、乞食の稽古(けいこ)するんじゃねえや。みんなで丸く座れるように敷け―― そうだ、あの、重箱を真ん中に出してな。湯飲み茶碗はめいめいが取るんだ。
 さあ、一升びんは、いっぺんに口を抜かないで、粗相(そそう・あやまちのこと)するといけないからな。一本ずつ抜くとようにしてな。
 酌(しゃく)はめいめいに…… みんな茶碗は持ったか、さあ、今日はみんな遠慮なくやってくれ。
俺の奢(おご)りだと思うと気詰まりだから、今日は無礼講(ぶれいこう・堅苦しい礼儀を抜きにしてという意味)だ。さあさあ、お平らに、お平らに…… 」


 「ちえッ、こんなところでお平らにしたら、足が痛えや、本当に」


 「さあ、遠慮しないで、飲んだ、飲んだ」


 「誰が、こんな酒を飲むのに遠慮する奴があるものか。ばかばかしい」


 「何?」


 「いえ、こっちのことで…… 」


 「じゃ、わたしがお毒味と、一杯いただきましょう」


 「いいぞ、いいぞ」


 「なるほど、色は同じだね。色だけは本物そっくりだ。これで飲んでみると違うんだから情けねえや」


 「口当たりはどうだ? 甘口か、辛口か?」


 「渋口ッ」


 「渋口なんて酒があるか…… これは灘(なだ)の生一本だから、いい味だろう」


 「そうですね。いろいろ好き好きがありますが、あたしゃ、何と言っても、宇治が好きですね」


 「宇治の酒なんてのはあるかい…… さあ、やんなやんな、ぼんやりしてないで…… 」


 「ええ、普段あんまり冷ややったことがないもんですから」


 「燗(かん)にしたほうがよかったかな。土びんでも持ってきて、燗でもすればよかったな」


 「燗なんてしなくたって…… 焙(ほう)じたほうがいい」


 「よさねえか。何でも酒らしく飲まなくちゃいけないよ。もっと、一献(いっこん)、献じましょうかとか、何とか言ってやってごらん。みんな傍(はた)で見てるじゃないか」


 「あ、そうですか。じゃあ、金ちゃん、一献、献じよう」


 「いや、献じられたくねえ」


 「おい、断わるなよ。みんな飲んだじゃねえか。おめえ一人が逃れるこたあできねえんだよ。これも全て前世の因縁だと諦(あき)めて…… なむあみだぶつ…… 」


 「おい、変な勧め方するない」


 「おう、俺に酌(つ)いでくれ」


 「そう、その調子…… 」


 「いや、さっきから喉(のど)が渇(かわ)いてしょうがねえんだ」


 「おい、いちいち変なことばかり言ってちゃいけねえ。それで、一つ酔いの回ったところで、景気よく都々逸(どどいつ・唄の一種)でも始めな」


 「こんなもんで唄ってりゃあ、狐に化かされたようなもんだ」


 「どうも困った人たちだな。さあ、幹事はぼんやりしてねえで、どんどん酌をして回らなくちゃしょうがねえじゃねえか」


 「悪いとき幹事を引き受けちゃたな。おう、じゃあ、一杯いこう」


 「じゃあ、ちょいと、ほんのお印でいいよ…… おいおい、ほんのお印でいいって言ってんのに、こんなに一杯ついでどうするんだ? おめえ、俺に恨みでもあんのか? 覚えてろ、この野郎ッ」


 「なんだな、一杯ついで貰ったら、悦(よろこ)べ」


 「悦べったって、冗談じゃねえ。あっしゃあ、小便が近えから、あんまりやりたくねえ。おう、そっちへ回せ」


 「おっと、あっしは下戸(げご・酒が飲めない人)なんで…… 」


 「下戸だって飲めるよ」


 「下戸なら下戸で、食べるものがあるよ」


 「一難去って、また一難」


 「何?」


 「いえ、何でもないです。こっちの独り言…… 」


 「それじゃ、玉子焼きをお食べ」


 「ですが…… あっしは、この頃すっかり歯が悪くなっちまって、いつもこの玉子焼きは刻んで食べるんで…… 」


 「玉子焼きを刻む奴があるもんか…… それじゃあ、今月の月番と来月の月番、玉子焼きを食べな」


 「じゃあ、なるたけ小さいやつを…… 尻尾(しっぽ)でねえところを…… 」


 「玉子焼きに尻尾があるか。よさねえか…… 寅さん。お前、さっきから見てるけど何も口にしないな。食べるか飲むかしなさい」


 「すいません。じゃあ、その白いほうを貰いますか」


 「色気で言うやつがあるか…… 蒲鉾(かまぼこ)と言いなよ」


 「そう、そのぼこ」


 「何だそのぼこたあ。おい、蒲鉾だそうだ。取ってやれ」


*こちらにGyaoで放映中
[ 入船亭扇橋 「長屋の花見」 http://gyao.yahoo.co.jp/player/00291/v01038/v0103800000000511030/ ]



Hounds of Tindalos

2009-10-25 10:00:29 | クトゥルフ神話

イメージ 1


「時空間の果てにある角度をゆっくりとよぎり、狙いを定めた獲物の匂いを何処までも飽くことなく追跡する貪欲な猟犬」


・「Hounds of Tindalos(ティンダロスの猟犬)」は、太古という言葉すら新しいと感じさせるほど過去の時空間の角に棲んでいる獰猛な怪物である。


・人間は、時空間の角ではなく曲線に沿って生きる存在であり、普通に暮らしている限りは、この怪物に遭遇する危険はないが、例えば、東洋の神秘的な仙人たちが調合した遼丹(リャオタン)や、「De Vermiis Mysteries(妖蛆の秘密)」に記された時間遡行効果を持つ薬を服用し、過去の時間を遡っていくようなことをすると、この獰猛な猟犬の尋常ならざる嗅覚に引っ掛かってしまうことがある。


・彼らは現実の肉体を備えておらず、生命活動に必要な酵素を青い膿汁のような原形質を構成している。


・「Hounds of Tindalos(ティンダロスの猟犬)」が、この空間に姿を現す前後には、名状しがたいほどの凄まじい悪臭が漂うが、その時には、既に手遅れであり、何ら慰めになっていない。


・「Hounds of Tindalos(ティンダロスの猟犬)」の住処を外宇宙とする文献も残っている。


・この怪物は、常に飢えており、一度捕捉した獲物は決して諦めることがない。しかし、彼らには、時空間の角度を通り抜けることでしか現実世界にやって来ることができないため、四隅の全てをセメントやパテなどで埋めて、角度をなくした空間に閉じこもり、この「Hounds of Tindalos(ティンダロスの猟犬)」が、別の獲物を見つけるまでやり過ごせば、生き残ることができるかもしれない。


・遼丹を手に入れ、時間を遡行する危険な実験の最中に「Hounds of Tindalos(ティンダロスの猟犬)」に察知された奇怪幻想作家ハルピン・チャーマズは、死を遂げる前にドールやサテュロスといった存在が、この怪物の追跡を手助けしていると書き残しているが、詳細については不明である。


・猶、この事件の際に残留していた「Hounds of Tindalos(ティンダロスの猟犬)」の体液を分析したジェームズ・モートン博士は、自らを被験者とする実験の結果、不死とこの怪物との融合を果たし、彼らの王であるムイスラを地球上に解き放とうと画策した。



道者令民与上同意

2009-10-25 03:58:08 | 孫子
 「道者令民与上同意 可与之死 可与之生 而不畏危也」


 (道とは、民をして上と意を同じくし、これと死すべく、これと生くべくして、危うきを畏れざらしむる)【始計篇】


 統治の基本とされる「五事」の一番目にこの「道」が挙げられている。


 通常、民衆を指導者と同じ思いにさせ、危険を恐れずに指導者と生死を共にするようにさせることが、「道」であるとしているが、今は、民衆が主権を持っている。
だから、世の指導者は、民衆の総意を敏感に汲み取らなければならない。それこそが、現在における「道」であろう。


 その上で、現代でいう「道」とは、「目標」ではないだろうか。
つまり、よく行動する組織とは、全メンバーが共通の目標持っている。一体感を持って行動することにより、1+1が2ではなく、10にも20にもあるのではないか。


 よって、上に立つリーダーは、全メンバーが結集できるような目標を設定することが大きな責務となるのだ。


 優れたリーダーとは、人々が気がつかぬうちに、ある目標に向かってメンバーの意思を統一させている。



長屋の花見 (二)

2009-10-24 21:24:53 | 落語
 家主(おおや)さんが話します。
 「ご覧よ、ここに一升びんが三本あらあ。それに、この重箱の中には、蒲鉾(かまぼこ)と玉子焼きが入ってる。お前たちは、体だけ向こうへ持ってってくれりゃいい。どうだい、行くか?」


 「行きます、行きますよ。みんな家主さんの奢(おご)りとなりゃ、上野の山はおろか、地の果てまでも…… 」


 「そうと決まれば、これから繰り出そうじゃあないか…… 今月の月番と来月の月番は幹事だから、万事、骨を折ってくれなくちゃあいけねえ」


 「はい、かしこまりました。おい、みんな、家主さんに散財(さんざい・金銭を使うこと)を掛けたんだから、お礼を申そうじゃねえか」


 「どうもごちそうさまです」


 「どうも、ありがとうござんす」


 「へい、ごちになります」


 「おいおいおい、そうみんなにぺこぺこ頭を下げられると、どうも俺もきまりが悪い…… まあ、向こうへ行ってから、こんなことじゃあ来るんじゃなかったなんて、愚痴(ぐち)が出てもいけないから、先に種明かしをしとこう」


 「種明かし?」


 「ああ…… 実はな、この酒は酒ったって中味は本物じゃねえんだ」


 「えっ?」


 「これは、番茶…… 番茶の煮出したやつを水で薄めたんだ。ちょっと酒のような色つやをしているだろう」


 「いいですよ。番茶なんぞは、向こうのへ行けば茶店も幾らもありますから」


 「これを酒と思って飲むんだ。あまりガブガブ飲んじゃあいけないよ」


 「何だ、悦(よろこ)ぶのは早いよ。おい、様子が変わってきたよ、こりゃ。お酒じゃなくて、おチャケですか。驚いたね。お酒盛りじゃなくて、おチャケ盛りだ」


 「まあ、そういったところだ」


 「俺も変だと思ったよ…… この貧乏家主が、酒三升も買って、俺たちを花見に連れて行くわけねえと思った…… でも、家主さん蒲鉾と玉子焼きのほうは本物ですか?」


 「それを本物にするくらいなら、五合でも酒のほうに回すよ」


 「すると、こっちは何なんで?」


 「それもなんだ、重箱の蓋(ふた)を取って見りゃ分かるが、大根に沢庵(たくあん)が入ってる。大根のこうこ(漬物のこと)は月型に切ってあるから蒲鉾、沢庵は黄色いから玉子焼きてえ趣向だ」


 「こりゃ、驚いた。ガブガブのポリポリだとさ」


 「まあ、いいじゃあねえか。これで向こうへ行って、『一つ差し上げましょう、おッとっと』というぐわいに、やったりとったりしてりゃあ、傍(はた)で見てりゃ、花見のように見えらあね」


 「そりゃそうでしょうけど…… どうする? しょうがねえなあ、こうなったら自棄(やけ)で行こうじゃないか。まあ、向こうへ行きゃあ、人も大勢出てるし…… 」


 「ガマ口の一つや二つ…… 」


 「そうそう、落っこてねえとも限らねえ。そいつを目当てに…… 」


 「そんな花見があるもんか」


 「じゃ、みんな出掛けようじゃあねえか。おいおい、今月の月番と来月の月番、お前たち二人は幹事だから、早速、動いてもらうよ」


 「こりゃ、とんだときに幹事になっちまったなあ…… へい、家主さん、何でしょうか?」


 「その後ろの毛氈(もうせん・動物の毛で出来た敷物の一種)を持ってきておくれ」


 「毛氈? どこにあるんです?」


 「その隅にあるだろう」


 「家主さん、これはむしろ(わらで編んだ敷物)だ」


 「いいんだよ。それが毛氈だ。早く毛氈、持ってこい」


 「へいッ、むしろの毛氈」


 「余計なことを言うんじゃねえ。いいか、その毛氈を巻いて、心ばり棒を通して担ぐんだ」


 「へえー、むしろの包みを担いでね…… こいつぁ花見へ行く格好じゃあねえや。どう見たって猫の死骸を捨てに行くようだ」


 「変なことを言うんじゃねえよ…… さあ、一升びんはめいめいに持って…… 湯飲み茶碗の忘れるなよ。重箱は風呂敷に包んで、心ばり棒の縄に掛けちまえ。さあ、支度はいいかい。今月の月番が先棒で、来月の月番が後棒だ。では、出掛けよう」


 「じゃあ、担ごうじゃねえか。じゃあ、家主さん、出掛けますよ。宜しいですね。ご親戚のかた揃いましたか?」


 「おいおい、葬(とむら)いが出るんじゃねえや…… さあ、陽気に出掛けよう。それ、花見だ、花見だ」


 「夜逃げだ、夜逃げだ」


 「誰だい、夜逃げだなんて言ってるのは?」


 「なあ、どうもこう担いだ格好はあんまりいいもんじゃねえなあ」


 「そうよなあ。しかし、俺とおめえは、どうしてこんなに担ぐのに縁があるのかなあ?」


 「そう言えばそうだなあ。昨年の秋、屑屋(くずや)婆さんが死んだ時よ」


 「そうそう、冷てえ雨がしょぼしょぼ降ってたっけ…… 陰気だったなあ」


 「だけど、あれっきり骨揚げには行かねえなあ」


 「ああいう骨はどうなっちまうんだろう?」


 「おいおい、花見へ行くってえのに、そんな暗い話なんかしてるんじゃねえよ。もっと明るいことを言って歩け」


 「へえ…… 明るいって言えば、昨日の晩よ」


 「うん、うん」


 「寝ていると、天井のほうがいやに明るいと思って見たら、いいお月さまよ」


 「へーえ、寝たまま月が見えるのかい?」


 「燃やすものがねえんで、雨戸をみんな燃しちまったからな。この間、お飯(まんま)を炊くのに困って天井板剥(は)がして燃しちまった。だから、寝ながらにして月見ができるってわけよ」


 「そいつは風流だ」


 「おいおい、そんな乱暴なことをしちゃあいけねえ。家が壊れてしまうじゃねえか。店賃の払わねえで…… 」


 「へえ、すみません…… 家主さん。大変なもんですね。随分(ずいぶん)、人が出てますねえ」


 「大変な賑(にぎ)わいだ」


 「みんないい扮装(なり)してますね」


 「みんな趣向を凝(こ)らしてな。元禄時分には、花見踊りなどといって紬(つむぎ)で正月小袖(こそで)をこしらえて、それを羽織(はお)って出掛けた。それを木の枝に掛けて幕の代わりにしたり、雨が降ると傘をささないで、それを被(かぶ)って帰ったりしたもんだそうだ」


 「へえ、こっちは着ているから着物だけれども、脱げばボロ…… 雑巾(ぞうきん)にもならねえな」


 「馬鹿なことを言うんじゃねえ。扮装でもって花見をするんじゃねえ。『大名も乞食もおなじ花見かな』ってえ言うじゃねえか」


 「おい、後棒。向こうからくる年増(としま)、いい扮装だな。凝った、いい扮装しているなあ。頭の天辺(てっぺん)から足の先まで、あれでどのくらい掛かってるんだろうな?」


 「小千両は掛かってんだろうなあ。たいしたもんだ」


 「おめえと俺を合わせて、二人の扮装はいくらぐらいだ?」


 「二人が素っ裸になったところで、まず二両ぐれえのもんだろう」


 「それは安すぎだな。向こうが千両で、こっちが二人、合わせて二両、どうだ、家主さん褌(ふんどし)を二本つけるが、五両で買わねえか?」


 「よせよ、ばかばかしい。通る人が笑ってるじゃねえか。 ……それ、上野だ。あんまり深入りしねえほうがいいぞ。どうだ、この擂鉢山(すりばちやま)の上なんざ。見晴らしがいいぞ」


 「見晴らしなんてどうでもいいよ。なるべく下のほうへ行きましょうよ」


 「下では埃(ほこり)っぽい」


*こちらにGyaoで放映中
[ 入船亭扇橋 「長屋の花見」 http://gyao.yahoo.co.jp/player/00291/v01038/v0103800000000511030/ ]



主孰有道

2009-10-24 17:03:09 | 孫子
 「主孰有道 将孰有能 天地孰得 法令孰行 兵衆孰強 士卒孰練 賞罰孰明 吾以此知勝負矣」


 (主、何れに道あるか、将、何れに能あるか、天地、何れに得あるか、法令、何れに行なわるるか、
兵衆、何れに強きか、士卒、何れに練れたるか、賞罰、何れに明らかなるか、我は、これをもって勝負を知る)
【始計篇】


 孫子は、戦力を計り勝敗を予測するためのチェック項目を客観的に判断できるようにしていた。


1.トップは、どちらが明確な方針を持っているか。
2.首脳部は、どちらが有能であるか。
3.時期および状況は、どちらが有利なのか。
4.管理監督は、どちらが行き届いているのか。
5.第一線の働き手は、どちらがやる気に満ちているのか。
6.中間リーダーは、どちらが経験を積んでいるのか。
7.評価は、どちらが公平的確に行われているのか。


 これもその一つであり、敵味方の戦力をソフト面から比較しようとしたもので「七計」といい、勝敗を占う7つの鍵なのだ。