廃校利用 山里の美術館「共星の里」

福岡県朝倉市黒川の「共星の里」のイベント情報や楽しい体験記を掲載。
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「鳩、未来の記憶なのだろうか。」

2005-09-07 23:06:42 | 4.05~24年のイベント 告知&報告

玉野さんがイベントプログラム用に寄せてくれたコメントをご紹介。


 鳩(未来の記憶)

 うすぎたなく、しかしたくましく、建物の上電線の上に数限りなく居る鳩は、
 時に一斉に舞い上がり、旋回する。
 大概の都会のあたりまえの風景だ。

 鳩の足が、建物や電線をつかんだまま一斉に舞い上がったとしよう。

 ビルディングは根こそぎ空に引き抜かれ、ガスや上下水道のパイプなど、
 雑草の根のごとくアスファルトやコンクリートを引き裂いて現れ空に舞い上がってゆく。
 街はみるみる掘り返されてゆく。
 建物の中の人々は、旋回する建物から振り落とされ、
 掘り返されたばかりの土の上に落ち続ける。

 そこには今まで人の知らなかった地下水が泉となって湧き出しているかも知れぬ。

 やがて草が生え、樹が茂り、案外、共星の里のようになってしまう。


 未来の記憶なのだろうか。
     
                                玉野 黄市




サンフランシスコから共星にFAXで届いたこの原稿を読んだ時、
最初正直おったまげた!
その後すぐ思った。
個性派ぞろいの出演者だから、こんな型にはまらないコメントもあってもイイよね~
(大倉さんのは般若心経だったし...)なるほど~。と。
ひと身振りするだけでそこに不思議な空気を創り出す(これホント実感!)人は、
やっぱ、考える事も違いますねー。
でももっとスゴイと私が思うのは、
舞踏やってる時と普段のギャップの大きさ!
前にもちょこっと書きましたが、奥様のヒロコさん共々、
ホントに陽気でお気楽でメッチャ気さくなお人柄。ますます魅力的に、そして
大きな人だと感じさせられます。


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玉野黄市プロフィール

2005-09-07 22:39:47 | 4.05~24年のイベント 告知&報告

[暗黒舞踏]玉野黄市(たまの こういち)

経 歴

1965年から1972年まで「暗黒舞踏」の創始者、土方巽(ひじかたたつみ)に師事し
「バラ色のダンス」(1967)「肉体の反乱」(1968)などに出演。

土方巽に「ガニ股のニジンスキー」と賞賛される。

三島由紀夫がその肉体を絶賛した伝説の舞踏家。

1976年、サンフランシスコでの美術展「JAPAN NOW」への参加を契機に、
1979年にアメリカへ移住。現在、サンフランシスコを拠点に精力的に活躍。

2000/伊勢神宮2000年喜多郎ハルピン派。

2001/喜多郎ツアーNHKホール・大阪フェスティバルホール・名古屋芸術劇場、
     伊勢神宮下宮まがたま池 新楽殿喜多郎ハルピン派。

2003/アスベスト館 江戸曼荼羅公演出演、ODC月食

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第3章「怒り・憎しみ・争い」玉野黄市登場。

2005-09-07 22:27:08 | 4.05~24年のイベント 告知&報告

ヒトの持つ創造性の限りない広がりと豊かさを観客に感じさせながら
第2章でつくりあげられたその作品を前に、
今度は一転して、
さまざまな「気」の融合によって創り出された空気を
引き裂き、掻き消すような、落雷の音と戦闘機の爆音が大音量で館内中に鳴り響く。
いや、「鳴り響く」というよりは、まるでこの音楽館の上空を
本当に戦闘機がかすめ飛んでいく様に感じて、恐怖感すら覚える。

(特にリハーサルで最初に聞いた時には本当にゾッとして、
 何度も何度も試しの為に出されるその音に、
 私は思わず頭をかかえてしゃがみ込みたい気持ちになった。
 話や文章、TVや映画での情報しか知らない私も、
 空襲の恐怖みたいなものをほんの一瞬リアルに感じる事が出来たような気がする。
 実体験のある方がもしこれを聞いたら、いったいどんな気持ちになるんだろう.....
 今はトラウマとかPTSDなんて言葉が一般的に使われているけど、
 それこそもし私が戦争体験者で、今現在のこの状況でこんなリアルな音の中に
 放り込まれたら、きっと気がヘンになるに違いないと思った。)

そんな中で狂ったように踊り続ける玉野さんとダンサーたち。

館内に不安に満ちた重い空気が充満しているように感じた。


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