久しぶの藤原伊織である。
私の大好きな作家である。
寡作と平成19年5月に亡くなったことが欠点なのである。
もう新しい作品を読むことができないのかと思うと、ものすごくガッカリするのである。
さて、藤原伊織の小説はいわゆる「ハードボイルド」である。
大体、ハードボイルド小説の主人公は、無口で人と接することを好まず、自分の好きなように生きたい、のである。
しかし、生きている途中で必ず誰かが邪魔をする。
その邪魔をするヤツを徹底的に排除する。
だから実はクールではなくホットであり、そしてお節介で、さまざまなことに顔を突っ込むヤツがハードボイルドの主人公なのである。
そのくせ
「あっしには関わりのないことでごさいます」
とか、カッコつけちゃって、ホント鼻持ちならないヤツが主人公なのである。
なのにどうして、そういうヤツに憧れてハードボイルドの小説を読むのだろう?
さて、本書「ダナエ」もハードボイルなのである。
主人公は「絵描き」なのだが、この絵描きさんはなかなか世間に通じていて、ホントに芸術家?と、突っ込みたくなるヒトなのである。
物語はこの主人公・宇佐美の個展会場で、彼の作品に硫酸がかけられズタズタにされるところから始まる。
宇佐美は、そのことにあまり驚かない。また嘆かない。
自分の作品、傑作とまで評された作品を壊されたのに・・・
まあ、このあたりがハードボイルド小説に登場する人物特有のニヒルさというか、生きることに本当は真正面からドーンといっているくせに、無理して斜に構えているところなのである。
この事件の謎を解き進んでいくと、犯人は思いがけないヤツであって、宇佐美はその犯人を憎むわけにもいかず、なおかつ許さなければならないのである。
それは、彼が蒔いた種が原因でもあるからなのである。
ダナエという題名はギリシャ神話から持ってきている。
その題名が、時にはあらぬ方向に展開させたりして、伏線と本線がうまい具合に絡んでいる。
なんだかんだいっても、こういう小説が私は好きなのである。
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私の大好きな作家である。
寡作と平成19年5月に亡くなったことが欠点なのである。
もう新しい作品を読むことができないのかと思うと、ものすごくガッカリするのである。
さて、藤原伊織の小説はいわゆる「ハードボイルド」である。
大体、ハードボイルド小説の主人公は、無口で人と接することを好まず、自分の好きなように生きたい、のである。
しかし、生きている途中で必ず誰かが邪魔をする。
その邪魔をするヤツを徹底的に排除する。
だから実はクールではなくホットであり、そしてお節介で、さまざまなことに顔を突っ込むヤツがハードボイルドの主人公なのである。
そのくせ
「あっしには関わりのないことでごさいます」
とか、カッコつけちゃって、ホント鼻持ちならないヤツが主人公なのである。
なのにどうして、そういうヤツに憧れてハードボイルドの小説を読むのだろう?
さて、本書「ダナエ」もハードボイルなのである。
主人公は「絵描き」なのだが、この絵描きさんはなかなか世間に通じていて、ホントに芸術家?と、突っ込みたくなるヒトなのである。
物語はこの主人公・宇佐美の個展会場で、彼の作品に硫酸がかけられズタズタにされるところから始まる。
宇佐美は、そのことにあまり驚かない。また嘆かない。
自分の作品、傑作とまで評された作品を壊されたのに・・・
まあ、このあたりがハードボイルド小説に登場する人物特有のニヒルさというか、生きることに本当は真正面からドーンといっているくせに、無理して斜に構えているところなのである。
この事件の謎を解き進んでいくと、犯人は思いがけないヤツであって、宇佐美はその犯人を憎むわけにもいかず、なおかつ許さなければならないのである。
それは、彼が蒔いた種が原因でもあるからなのである。
ダナエという題名はギリシャ神話から持ってきている。
その題名が、時にはあらぬ方向に展開させたりして、伏線と本線がうまい具合に絡んでいる。
なんだかんだいっても、こういう小説が私は好きなのである。
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