読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

遊戯 藤原伊織 講談社文庫

2009-06-15 20:35:08 | 読んだ
藤原伊織である。
好きな作家である。
2007年に逝去している。

この「遊戯」は連作短編である。
遊戯・帰路・侵入・陽光・回流と続く。
つまり5編である。

しかし、この連作短編は未完なのである。

だから、この小説の最大の感想は「残念」ということなのである。

『これから』というところなので、終わっているのである。
まったく「残念極まりない」に尽きるのである。

主人公は二人。
一人はいつもの藤原ワールドに出てくるような「男」である。
本間透、人材派遣会社勤務。『ジャムライス』というニックネームで、ネットゲームのビリヤードを日課にし、寝るときには睡眠薬を飲み「拳銃(本物のブロウニング)」を腹の脇に置かなければ眠ることができない。

ある日、ネットゲームで『パリテキサス』に知り合う。
ネットゲームをしながら好感を持った。
ゲームをしながらチャットで会話を交わすうちに、彼女に仕事の世話をすることになった。
いつもなら絶対にしないことなのに。

もう一人の主人公は『パリテキサス』こと朝川みのり(20歳)である。
身長が180cmちかくある。

本間とみのりが初めて顔をあわせたのは、みのりに仕事の世話(派遣会社への登録)をする日であって、本間の31歳の誕生日であった。

初めてあった本間とみのりは、世間一般の言葉で言えば「意気投合」し、本間は彼女に今まで誰にも話したことのない『拳銃』にまつわる話をする、ラブホテルで。

とまあ、大体これが1話である「遊戯」の部分である。
これからいろいろな事件がおきる、という予感たっぷりである。

みのりはモデル事務所に登録をしていたのであるが、ある日オーディションを受けたところ合格し、CMに出演しあっという間に売れっ子になる。

二人を監視する自転車に乗った50歳代の男。
本間の亡くなった父の過去。
「謎」がいろいろと提起されていく。

第5話の「回流」では、ついに本間とみのりは結ばれる。

「さあ、これから」
なのである。
なのに、筆者は亡くなってしまった。

この物語ならず、藤原伊織の小説をもっと読みたかった。

文庫の帯には
「最大の謎 解けない謎」とある。

「残念」の一言に尽きるのである。

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