読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

新選組遺聞<新選組三部作> 子母澤寛 中公文庫

2009-06-27 23:49:04 | 読んだ
短い昼休み時間にお昼寝をする前、やっぱり何か読みたい、のである。
通常はその辺にあるカタログや情報誌をながめていたが、本棚からこの「新選組遺聞」を持ち出して、チラチラと読んでいたのである。

子母澤寛の新選組三部作は「新選組始末記」「新選組遺聞」「新選組物語」である。

作者が新選組ゆかりの人たちを尋ねて聞いた話をもとに資料とあわせて編んだものである。
一部には「作者の創作」という説もあるが、いずれにしても新選組に興味のある者にとっては一級の読物であることには間違いない。

新選組は、正統的に近藤勇や土方歳三、沖田総司などを主人公にしたものも面白いが、例えば芹沢鴨の視点も面白い。或いは齋藤一、永倉新八、原田左之助などでも十分主人公になる。なにしろあの吉村貫一郎を主人公にしたものもある。

いずれにしても新選組の話は「面白い」のである。

これは「青春」という普遍的なものと、滅び行くもの(幕府とか武士道とか)に意地を張ったように縋りついた姿、そして結局は負けてしまったことなど、人の気持ちを惹きつけてやまないものがあるからだと思う。

彼らは弁明をしていない、ということ大きな要素である。
彼らに代わって弁明したいという気持ちも出てくるではないか。

そして、もう一つは「尊王攘夷」という大きな旗を掲げて、幕府を倒し明治政府を作ったいわゆる薩長の政治が、政権樹立後に180度の転換を行い、そして明治末期から堕落してきたことが、新選組に光をあてるようになったのではないかと思う。

勝海舟が
「知己は千載に持つ」
といったが、過去の悪党もいつかは正義になったりするのである。

そういう意味では「正義」なんて価値観が変わればまったく違うものになってしまうものである。
声高に「正義」を叫ぶ人がいるが、所詮その場の正義であって、歴史的な正義などは存在しないのである。

さて、また新選組について何か読んでみるとするか。

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