文春文庫の新刊で「虚栄の肖像」がでた。
で、説明を見ると、絵画修復師・佐月恭壱シリーズの第2巻であるとのこと。
それでは第1巻の「深淵のガランス」を読まなければなるまいと、この本を手に取ったのである。
作者の北森鴻は本年1月25日に48歳で亡くなった。
私は、彼の「蓮杖那智シリーズ」「旗師・冬狐堂シリーズ」「香菜里屋シリーズ」のファンであるが、なぜか、この「佐月恭壱シリーズ 」だけは読んでいなかった。
北森作品の面白いところは、上記の4つのシリーズに登場す人物たちが『相互に乗り込んでいる』というところである。
つまり蓮杖那智シリーズに、冬狐堂の宇佐見陶子が登場したり、冬狐堂シリーズに蓮杖那智が現れたり、香菜里屋には蓮杖那智や宇佐美陶子が来店したりするのである。
本作品の「深淵のガランス」にも宇佐美陶子が登場する。といっても名前は「冬の狐を名乗る旗師」としてである。
この物語の主人公は、佐月恭壱。
銀座の花師にして絵画修復師である。
花師とは、銀座のバーなどに花を飾る仕事である。
絵画修復師とは、文字通り絵画を修復するわけであるが、修復は贋作作りと裏腹であり、チョイト怪しい仕事でもある。
勿論、佐月は贋作を作って生活をしているわけではなく、修復も仕事を絞っておこなっている。
その仕事を絞っているというのが、旗師の冬の狐からの修復依頼に限っているということである。
設定が尋常でないが、真実味をだすために、花師の仕事も絵画修復師の仕事も非常に詳しく書かれているので、そういうこともあるのか、と思ってしまう。
このあたりが、北森鴻作品の魅力的なところである。(北森ワールドというらしい)
普通の世界ではないのに、物語に入っていける。
本書には3編の物語が収められているが、それぞれが読みごたえのあるもの。
謎が謎を生み一体どうなるのか?
とわくわくさせられる。
ただ、北森ワールドの唯一の欠点は「動機」がどうも説得力に欠けるというところである。
非常に不可思議な登場人物たちゆえに、考え方が異常であるというのはわかるのだが、それにしても「あれ、あれ」というようなところもある。
もっともそれを補って余りある「盛り上がり」があるのだから『よし』としなけらならないと思っているのだが。
というわけで、次は「虚栄の肖像」を読むことにする。
なんだかんだ言いながら、やっぱり読書はやめられないのである。
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で、説明を見ると、絵画修復師・佐月恭壱シリーズの第2巻であるとのこと。
それでは第1巻の「深淵のガランス」を読まなければなるまいと、この本を手に取ったのである。
作者の北森鴻は本年1月25日に48歳で亡くなった。
私は、彼の「蓮杖那智シリーズ」「旗師・冬狐堂シリーズ」「香菜里屋シリーズ」のファンであるが、なぜか、この「佐月恭壱シリーズ 」だけは読んでいなかった。
北森作品の面白いところは、上記の4つのシリーズに登場す人物たちが『相互に乗り込んでいる』というところである。
つまり蓮杖那智シリーズに、冬狐堂の宇佐見陶子が登場したり、冬狐堂シリーズに蓮杖那智が現れたり、香菜里屋には蓮杖那智や宇佐美陶子が来店したりするのである。
本作品の「深淵のガランス」にも宇佐美陶子が登場する。といっても名前は「冬の狐を名乗る旗師」としてである。
この物語の主人公は、佐月恭壱。
銀座の花師にして絵画修復師である。
花師とは、銀座のバーなどに花を飾る仕事である。
絵画修復師とは、文字通り絵画を修復するわけであるが、修復は贋作作りと裏腹であり、チョイト怪しい仕事でもある。
勿論、佐月は贋作を作って生活をしているわけではなく、修復も仕事を絞っておこなっている。
その仕事を絞っているというのが、旗師の冬の狐からの修復依頼に限っているということである。
設定が尋常でないが、真実味をだすために、花師の仕事も絵画修復師の仕事も非常に詳しく書かれているので、そういうこともあるのか、と思ってしまう。
このあたりが、北森鴻作品の魅力的なところである。(北森ワールドというらしい)
普通の世界ではないのに、物語に入っていける。
本書には3編の物語が収められているが、それぞれが読みごたえのあるもの。
謎が謎を生み一体どうなるのか?
とわくわくさせられる。
ただ、北森ワールドの唯一の欠点は「動機」がどうも説得力に欠けるというところである。
非常に不可思議な登場人物たちゆえに、考え方が異常であるというのはわかるのだが、それにしても「あれ、あれ」というようなところもある。
もっともそれを補って余りある「盛り上がり」があるのだから『よし』としなけらならないと思っているのだが。
というわけで、次は「虚栄の肖像」を読むことにする。
なんだかんだ言いながら、やっぱり読書はやめられないのである。
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