電影フリークス ~映画のブログ~

電影とは、映画のこと。その映画を一緒に楽しみましょう。

『洋妓』Virgins of the Seven Seas

2014-11-05 23:25:34 | 七十年代作品【1974】

みなさん、こんばんは。今回は邵氏の有名なアノ『洋妓』(’74香港公開)です。
監督は、桂治洪先生と「女子学生(秘)レポート」(71年に日本劇場公開済み)などで知られているというエルンスト・ホフバウエル、その人です。
裸のオンパレードとして有名な映画ですが、ストーリーは実に感動的なのです!私はこの風月喜劇功夫片(ハードコアなんかじゃありません・・)に感動してしまった。

夜のシーンで主演の二人が隠れている小屋の屋根に侵入した賊たち。その賊をナイフで気づかれないように劉慧玲が小型剣で刺すというシーンは最もシリアスで緊迫する場面ですね。二人が連絡を取る手段は何と、鳩です! ハトですよ、ハト。ハトを使うなんて映画らしいですけど、なんかいいじゃないですか昔っぽくて。

阿片戦争が開始される以前、孤児だった女性グループが英国から豪州へ渡航中、海賊に襲撃され、清のとある娼館のボス、チャオ(王侠)に売られてしまった。そして競売にかけられる洋妓となる運命に。

その館には様々な人間たちが存在する。ムチ使いのチュ・ロー(李敏郎)が組織のNo2であり、黒い衣服を着た長髪の手下の者たちを従えている。洋妓たちのボディガードの役目をする女性もいて、そのコー・メイメイ(『七殺劉慧玲。以下、メイ)は面倒をみる仕事をしながら密かに彼女たちの味方となっていく。
白扇の女、タオ(葛荻華)はレズビアンの妻であったが、洋妓を競売にかける主催者(の1人)である。カレンを部屋に引き込み、着ている服を仕込み扇を使って切り刻む。

そんな館に一人の男がこっそり現れる。
メイの兄コー・パオ(岳華)は2年前に逃亡し、売春組織の手から離れて山に籠って武術の腕を磨き、復讐の機会をうかがっていたのだ。
ある時メイはオリーブの種を強力な武器として使えることを洋妓たちに見せる。彼女たちは狂喜し、強くなるための技、そしてカンフーの教えを乞う。こうして5人の洋妓たちはメイから訓練を受けることになった。上達は早く、短時間で高度な武術の数々を身につけていった。

また、老婆ジン・ポー(陳立品)が洋妓に対し、古代中国の性典『素女経』を手本に房中術の指南を施すが、その目的は競売のためだった。
メイと合流したコー・パオはメイから本当に復讐を果たせるか不満をもらしていたが、ある計画が進行中であることを告げる。強力な部隊であるチャオの手下たちに対抗すべく、十三人の剣士を送り出す計画を立てていた。その合図は、赤い印を付けた鳩を使って知らせる作戦だ。

競売の日、伝書鳩を送ったメイ。早速、鳩の印を見たコー・パオは行動を開始する。
コー・パオはフォーメーションで敵を攻撃する剣術を彼女たちに教え、実戦ではコンビネーションプレイを見せ、見事チュ・ローを倒す。
それを見たチャオは、長髪をムチにようにして更に手裏剣を取り付けて武器(同じく長髪を武器として使った映画には『除霸』がある。)にして応戦、形勢逆転してしまう。
その夜、捕虜となった洋妓とコー・パオは、メイと間もなく到着する予定の秘密剣士たちの救援を待った。
チャオが大きな車輪にカレンを括り付けしている間にメイがコー・パオを救い出すのに成功。夜が明けると、ついに13人の棍剣士たちが現れた。ここで一気に賊たちが倒れ、残すはボス・チャオのみだ!
小屋でとなったメイとコーパオ、そして5人の洋妓たちは無事決着を迎えられるのだろうか。


◇影響を受けたと思われる作品
アマゾネス(1973)

◇影響を与えたと思われる作品
五嬌娃(1975)

全裸に近い洋妓たちの戦う姿にはカッコよさもありますね。
ロン毛の兄さんたち、王侠さんにしても洋妓を裏返した男おんな(?)的な意味もみえて、真の女はこんなに強いんだぞとクッキリ印象づけられます。この映画は面白いと思いますよ。

(関係ありませんが扇子が・・

カトちゃんにそっくりな表情をする、歯をボロボロにされてしまうバイヤー役のサイ・ガーポウは、コメディアンっぽく笑えるシーンありですし、もしかしたらこの演出が全体の雰囲気を調節するような効果があったのかも知れない。

それより、とにかくこの映画では王侠の異様な形相がインパクト大です。印象に残りやすくなるのです。例えば「片腕ドラゴン」のロン・フェイ演じる二谷太郎のように。これも演出。

そして、この映画におけるマースはいつもの通り、顔がアップになって(セリフもしっかりと入ってます!)冒頭あっという間に消えてしまいますが、ちゃっかり出演してます。ではジャッキーはどうか。
例の徐二牛の関係から出演しててもおかしくないように思えるが、クランクインの時期がいまいちハッキリしないのですが(今のところ74年春頃と推測されます)、もしそうであれば別の理由により物理的に出演が不可能であったのです。
但し、よく見ていると確かにいるようにも見えますね。
それはラストに登場する味方、13人の棍術使いの一人として。
人数も多くアップでは映らないため、本人である可能性は微妙なところです。

 (←画像をクリック)

タイムコードでは1:22:48辺りのところですが、
このシーンでは他にアラン・シュー黄志明などが確認できますが、マースの顔もここでは見えず、仮にいたとしてもジャッキーです。(当然ユン・ピョウも不在)
もしそうであれば武術指導していることも考えられますよね。
洋妓たちに指導してたとか『四王一后』のようなレアショットでもあれば別ですが・・・。

おあとがよろしいようで。

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重建精武門

2012-06-11 00:00:00 | 七十年代作品【1974】

74年にジュディさんがチャールズ・ヒョンと共演したのが、御存知『重建精武門』(又名:『拳頭石頭古靈精』)です。ちょうど76年には精武門ブームがあって『重建精武門』は台湾でも12月に公開されています。

 
日本人と戦う、上海にやって来た一人の女性を描いており、精武門の重建(イコール再建)がテーマです。

革命軍歌みたいな精武門(オリジナル?)のテーマに乗ってはじまります。

嘉興にあった精武門の弟子、小花(ジュディさん)は生き別れになった
兄弟弟子たちと再会しようと上海へ。

ジュディさんはどんな役かといえばとても気の強い、
正義感のある女性を演じています。

敵をバッタバッタとやっつけるジュディさん

今回は、日本軍の仲間を偽装する指揮官、チャールズ・ヒョン。

これが実は・・・。

コミカルなキャラクターのチェン・ウェイロー(スリ)。
チェンとジュディさんのやりとりが滑稽でこれによりコメディタッチな雰囲気も少し出しています。サイフを掏られ店で働くジュディさん

ちょっとだけ容姿、アクション共にブルース入ってるのが
二番弟子の楊崙。
 ヤン・リン
ジュディさんのことを師妹(シーメイ)って叫んでます。

アチョー

ジュディさんと二番弟子がワル者と戦いながら日本人道場に乗り込みます。

そして、精武門のチン老師(葛香亭)が息を引き取る前に
精武門の名簿を受け取ります。

再建を誓う

終盤、桜吹雪を見せる遠山の・・・じゃなかった精武の御紋だ(爆。
 ジャーン

待ってました。一番弟子の水銀(チャールズ・ヒョン)が現れるというお話です。
(拡大図)精武の文字

ラストは、日本人(クリフ・チン)が使う長い棒に苦戦しながらも、何とか倒してTHE END.

長棍VS黒傘(・・・なんて見たことない(笑。

ジュディさんはその後、チャールズ・ヒョンと共演することはなかったようなんですけど
彼との共演は大きかったと思います。

ジュディさんは、72年『仇』でデビュー後、75年7月まで鳳鳴影業のヤン・チュンと3年契約してたので、他の映画への出演は困難だったのですが、その間にもいろいろあったみたいです。

この映画を製作した得利という会社は他にもいろいろ製作しています。
倉田保昭の旧作『怒髪衝冠』(邦題:「激怒の鉄拳」)とか『大追蹤』(邦題:「大追跡」)のDVDも数年前にリリースしてますけど、なかなか魅力のある功夫片もいくつか作ってます。

例えば、『醉猴女』(1979)とか

 エイプ・ガール
金鳳玲が主演

同じ79年の金鳳玲主演作『怪招十三點』(又名:『硬功鐵橋三』)
もそうですね。


 
袁小田も出演
無数にあった香港の小さな会社もひとつひとつチェックして何を作ったのかなって考えてみたり。とても全部は覚え切れませんが…(苦笑。
でも、一本作っただけの会社と違って得利のように有望なプロダクションだってあったんですから、探してみればまだまだこんな会社もあると思いますね。

 

コメント (2)
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王天林追悼2

2010-12-02 16:24:24 | 七十年代作品【1974】
チャールズ・ヒョン。
彼が74年に出演した『[足台]拳龍虎鬥』(Big Showdown,The)はまぎれもない王天林監督作品です!
小刻みに素早く動くカンフーアクションは私個人がとても気に入っているのですが、彼は私のお気に入りスターの一人です。(チャールズ・ヒョンの主演映画といえばこの時期ならベティ・ティンペイやあの韓国のキム・ジンパルが出た『鐵証』なんて映画もありましたね〜。)その彼、上半身裸がよく似合うヒョン氏、その姿が実によかった!


そしてもう一人。この映画で頑張っていましたのが悪のボスを演じる梁少華です。
数年前、その彼に私がコンタクトを取った時、いろいろ当時の事を教えていただきました。ご本人からメッセージをいただいた時は本当にうれしかったですね。お名前も現在は変えられていますが、当時出演された数々の作品のことを忘れないですし、私の記憶の中に大切にしまっています。(今もとても感謝しています。)
やはりジャッキーのような主役を張る大スターというよりは脇で活躍されていたお方でしたので横から現場を見つめていたでしょうし、後になっても冷静に当時の様々な状況について正確に語ってくれたりするのかも知れないのです。丁寧に対応していただけるのは大変有り難く、なかなかそんな事までしてくれる人はいません。
キリがないので彼についてはこの辺でお終いにして本題に入ることにします。

この映画に関して1つの誤解があるのですが、楊斯がこの映画に出演しているという噂があるのは、アメリカ公開時のポスターに同年の『小霸王』で主演した時の張力が大々的に使われているためでしょうね。勿論、楊斯や張力はこの映画には出演しません。(香港ではおそらく未公開と思います。)ヒョン氏の演舞ではじまる映画は大体こんな展開でしょうか。父親を殺された主人公の復讐劇で、騒動を起こした主人公が手錠をかけられ監獄へ。しかし強力な足技の仲間に助けられ脱走した二人は特訓して町のボスと対決する・・・。
スピーディーなカンフー・アクションの十分楽しませてくれる。武術指導にはユアン・ウーピンが当たっています。さすが、ユアン・ウーピンだ(アクションシーンは袁家班+元奎、ユンピョウなど)。この二人の組み合わせというのは珍しいが、富国影業のアクションを支えていたのは間違いなくユアン・ウーピンであり『硬漢』や『狼狽為奸』などすべて専属で行っていたのです。共演する金福萬も顔はオジサン顔であるのに足技はとても素晴らしかった。もしかして韓国人(?)。また、チャールズ・ヒョンが強力な武器・三節棍にどうやって立ち向かうのか。ここが一番の見せ所でしたね。
この映画ではアクション中心なのですが、富国という小さな会社で大監督・王天林はすばらしい功夫片を完成させました。つづく
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