電影フリークス ~映画のブログ~

電影とは、映画のこと。その映画を一緒に楽しみましょう。

地獄から来た女ドラゴン

2019-04-30 15:39:00 | 七十年代作品【1972】

こんにちは、醒龍です。

こちらのブログ(gooブログ)をいつも利用させていただいていますが、最近システムが変わってしまい(スマホ用?)、記事が勝手に入力前の状態に戻ってしまったり、無駄な改行が挿入されたりといろいろ使い勝手が悪くなってしまいました。安定稼働するまで、また症状が改善されるまでは記事が読みづらかったりする等、ご不便をおかけするかも知れません。唐突にどうもすみません。

それでは今回の記事ですが、予告しました通りジュディ・リー主演「地獄から来た女ドラゴン」(以下、『仇』)です。

題名に”女ドラゴン”と付けられたのは、ジュディさんの映画が最初なんですよね。カッコいいですね。

この映画のオープニングは割と有名なもので、御存知「黒いジャガーのテーマ」より終盤の部分をカットして(つまりいいトコ取り)編集した音楽です。このシャフトを採用したことにより、他の映画でも使っていると思いますが、やっぱりこの映画こそがベスト・マッチング!間違いなく格が上がっていますよね。

片頭の構成は、70年代後半には良くみられるようになった赤バックの演武です。ジュディさんがスローモーションを交えながらクルクルと踊るように回って繰り出すキックと、束ねた髪の毛をまるで歌舞伎役者のようにクルッと回すなど、女性らしいアクションを披露します。この象徴的な赤バック・オープニングは、カンフー映画に無くてはならない要素の1つだと思います。これがどこから始まったか?という事になりますと、この『仇』ではないかと思うのですが。(間違っていたらごめんなさい)

この『仇』は御存知の通り、馬素貞の映画です。馬素貞の映画というと、龍君兒の『上海灘馬素貞』(以下、『上海』)と、ワン・ピンの『山東大姐(72)』(以下、『山東』)、そして、ナンシー・イェンの『馬素貞報兄仇』(邦題「ドラゴン覇王拳2」。以下、『馬』)の4本が同じテーマ、馬素貞(マー・スーチェン)の女ドラゴン映画なのです。(本当はもう1本あるのですが、ここでは割愛します。)こんな感じで72年は、これらの上海の馬素貞系列が群雄割拠していた時期でした。

特徴は、すべて女ドラゴン・馬素貞と共に闘う青年がいてタッグを組んでいます。そしてマフィアのボス・パイこと白癩痢の俳優さん。これも各タイトルとも多彩でして『仇』ではベテラン俳優の李影が演じてます。この人はヤン・チュンが第7回金馬奨で最優秀主演男優賞を受賞した『揚子江風雲』で、気のいいおっちゃん役を演じてたりしてましたので、起用はそのノリなんででしょうね。

『馬』ではジミーさんの映画でおなじみのマー・チーがパイ(趙正白)を演じています。『上海』では、易原扮する日本人と対決する珍しい功夫片『十面威風』(英題が"Shanghai Boxer"となっているため『上海』の別名として挙げられることもありますが、これは誤りでしょう。)に主演した楊洋(ヤンヤン)が若いパイ役。そして、あのチェン・ホンリエが出演しているのですが、少しアレンジしてあってドンデン返しが待っています。

そして最後、『山東』が趙強(チャオ・チャン)。『仇』では下っぱの子分だったのが、『山東』では出世してボスのパイ役に。この人、目がギョロっとしてて三星堆の銅人像みたいな顔(失礼)なのですぐ分かると思います。

それでは、簡単に映画をそれぞれ紹介しておきますね。

まず『馬』は死んだはずの馬永貞が生きていたとするストーリーです。これはこれで面白い話だと思いますが、やはりジミーさんですのでね^^。監督は、御存知テン・サンシー。このテン監督は36年青島生まれで、台湾ではのちに『英烈千秋』(74)や『八百壮士』などの抗日、愛国映画を監督、量産し、愛国片の巨匠と呼ばれていましたのでその方があちらでは有名ですね。もともとは邵氏で『大醉侠』(66)の脚本、監督補から映画人としてスタートしました。映画が作られた72年当時は一番多忙な時期でこの『馬』と同時に『天王拳』『英雄胆』の計3本の映画を同時進行で撮るほどの多忙ぶりだったそうです。この多忙な時期にはジミー出演作品も多く、見るべきものが多いですね。(愛国片はあまり観ませんが・・・)

そして『上海』。こちらは、星華公司の専属で看板女優だった龍君兒がヒロイン。兄・永貞の友人役で、聞江龍(マン・ゴンロン)が相手の青年・シャオホウ(嘯虎)役。デビューして間もない彼女がなかなかの演技力を発揮していて、シャオホウに会って事の事情を聴いて、兄の復讐を誓う場面が非常に丁寧に描かれており、馬素貞ものとしてはまぁまぁの内容です。シリアスな内容に彼、ゴンちゃんが入ることにより、随分と映画の雰囲気は変わるのですが、ゴンロンのファンなら十分楽しめる内容と思います。

最後は『山東』ですが、この映画は香港未公開のようですので、やはり一番地味な印象ですね。邵氏から台湾へ渡ったワン・ピンを起用して健闘した映画なのですが、相手役にチャールズ・チンを添えていてもどこか垢抜けない暗いイメージの映画になってしまっているのがちょっと残念ですね。冒頭の馬永貞殺害シーンは『仇』のほぼ焼き直し。舞台も"一洞天"の看板も全く同じ。

ちなみに例の分類法で『仇』は紛れもない香港映画、『馬』は実は香港映画で、『上海』は台湾映画となっていました。最後の『山東』だけ香港での記録が無く、国籍不明でした。(72年10月台湾で公開済み)興味深いのは、『山東』以外の3本の撮影時期が非常に近く、ほぼ同時期に公開されている点です。『仇』が5月末より少し前、月末に『上海』、遅れて翌月に『霸王拳』の正式な続編『馬』が公開されました。この様に同じテーマでせめぎ合いが続き、本家よりも先に作って公開という流れはよくあるパターンですね。この様子を見ると、『馬』も途中でシナリオの変更があった可能性も十分考えられますよね。

72年度の香港興収ランキング(外国映画含む全体)では、カンタイの『馬永貞』が11位でトップ、続いてジミーさんの『霸王拳』が25位となっており、『仇』は56位で3番手、馬素貞ものとしては一番でした。90位に『馬素貞報兄仇』が来ているので、これは『仇』の圧勝ですね。『上海灘馬素貞』は230位と落ち込んでおり、香港では全くヒットしなかった事になります。

以上、それぞれを簡単に解説してみました。でもやはり『仇』がマスターピース。ヤン・チュン夫妻の映画作りの巧さに圧倒されますね。同じテーマの映画がいくつかある中で実はウマづらの蔡弘(ツァイ・ホン)がこの系列で最多出場してます。(どの映画のどこに出ているか探してみてください)

それから主演男優の楊群(ヤン・チュン)について。この人はやはり「金瓶梅」での西門慶とか、古くは郭南宏先生の武侠片『劍王之王』(これも凜々しかった!)、そして「燃えよデブゴン」とまぁ要所要所に現れますね。あと、忘れてならないのは「プロテクター」ですね。とてもかわいらしかったムーン・リーの父親役で、もうこの頃は『仇』のような血気盛んな青年ではなくって、素敵なおじさまとしてチラっと出演されていましたね。

まぁとにかく芸歴長いですから出演作はいっぱいありますね。奥さま俞鳳至(フローレンス・ユー)も映画人ですが、詳しいプロフィールはグーグル先生に聞いてみるのもいいかも知れません。このご夫婦で映画会社を新たに設立して映画を作ることになっていったんですね。会社の名前には"鳳"の字が付いています。

奇蹟的ニュース映像、鳳鳴影業の設立当時の様子はこちら



鳳鳴影業では題名に漢字1文字を使うシリーズを何本か製作します。台湾の資料では71年に設立、『仇』の写真とともに紹介されていました。このあと、日本国内でもビデオ化されたことのある『忍』(これも賞を獲ってます)、そして『浪』と、題名が1文字という映画はあまり多くはありませんでしたので、ここに何かこだわりを感じますね。

日本での反響をネット検索してみると、当時テレビで放送された時のことを覚えていて(しっかりエアチェックも!)それをブログ記事にしている女性の方もいたりして、女ドラゴンとして日本で紹介されたジュディさんはさぞかし魅力あふれる、崇高な存在だったと想像出来ますね。

私、醒龍は幼少期で劇場はもちろん、テレビでもまだ見れる年齢ではありませんでしたので、『仇』を見たのは海外のDVDが最初でした。もちろんジュディさんの事はしっかり書籍で頭に焼き付けていますのでね(笑)。例えばドラゴン大全科や芳賀書店のシネアルバム・ドラゴン大全集など、これらを何度も眺めることによって擦り込んでいきました。

このシネアルバムにはいろいろ思い出がありますね。後ろの方がスチール写真が多くカラーページが少ないというのも、今となってはこれで良かったと思えてきます。「カラテ愚連隊」のページで黒いグローブをした主演のカン・ヤン(原文ママ)という人が印象的で、当時の独特なカナ表記(by日野先生)で名前を擦り込んでいくのですが、実はこの人がフォン・ハクオンであることを随分とあとになって知ることになります(苦笑)。

関係者であれば、そういったスチール写真を沢山持っていて、それを本に載せるのが可能だった時代だったんですね。よくロビーカードの写真も使われていたと思いますが、それらの資料を集めて編纂することにより素晴らしい内容の本が出来上がり、それを憧れの目で見つめていた子供がここに!

そのドラゴン大全集の巻末がドラゴン・レディの章となっていて、その最後を飾るのがジュディ姐さんでした。名前はよく知っていても当時はなかなか出演映画を観る機会なんて、ほぼ無かったんですよね。驚異的な写真が大きく載っていた『神環』という映画は、おそらく幻の映画であって残念ながら現在でも観ることが出来ないままですね。でも、そんな映画があった方が神秘的でいいと思います。

『仇』ですが、実際の映画はこんな展開です。

山東人の馬永貞(マー)は、やくざ者たちの組織が勢力争いする世界、上海へ。
ある日、ボスのパイが取り仕切る町の茶楼"一洞天"に1人でやって来たマー(唐威)。パイの部下たちは一斉にマーを取り囲み手斧を投げつけ、無惨に殺してしまった。

一方、飯屋で働くファン(役名:范篙頭。ヤン・チュン)はこの町に住み、同じ店で働く仲間のシャオ(役名:小楦頭。王若平)も兄貴分のファンを慕っていた。
兄殺しの犯人を探しに列車に乗って遠くから来たばかりの主人公スーチェン(ジュディ・リー)は、その店に入ってゆく。
子分を連れて暴れ者・リャン(役名:梁福。趙強)が店にいやがらせにやって来たが、腕っぷしの強いファンは、彼らをすぐに追っ払い、スーチェンを助ける。

近くで積み荷を運ぶ仕事の元締めルー(役名:羅昆。祖勃林)が労働者たちをこき使っているのをファンがやっつけると、働く者たちは皆、歓喜した。

ボスのパイ(李影)は、使い手の用心棒(役名:吐血四官。林有傳)を雇っていた。
リャンとルーは早速ボスに騒動の元、ファンの相談へやって来た。何とかしてファンを倒そうと企むパイ。
リャンたちは、たまたま道を通りかかったスーチェンに襲いかかろうとするが、コテンパンに逆にのされてしまった。そのまま手下の者たちの様子を探るスーチェン。
そしてパイは、町人たちを殲滅させようとし、シャオはファンの母と妹を助けられず、カジノ店主ツァオ(役名:曹龍。薛漢)に切られそのまま二人とも死んでしまった。シャオは駆け付けたファンに事情を話すが息を引き取った。そこに現れたのはスーチェンだった。ここで誤解を生み二人は分かれてしまった。

店の前でパイを見つけるや1人乗り込んで勝負に出るスーチェン。
前を通りかかったファンはスーチェンに協力し、パイの一味に共に挑んでいった。
ファンは白人の殺し屋の銃で撃たれ重傷を負う。スーチェンはファンの胸に撃ち込まれた銃弾を取り除く・・。

その後、ファンは倉庫で敵のワナにかかり手斧を打ち込まれ、ついに倒れてしまう。
場面は変わり、倉庫へ向かうスーチェン。しかし一足遅く、絶命していたファンを発見する。そしてスーチェンは泣き崩れ、やがて怒りを爆発させる。
雷が鳴り響く晩、兄・マーとファンの復讐を誓ったスーチェンは1人アジトに乗り込み、憎きボス・パイに勝負を挑んでいった・・・。


"一洞天"という店が最初の舞台となります。"洞天"という名前が付いた中華料理店が日本にもありますね。ここで馬永貞が斧頭党に36本もの手斧を打ち込まれたという設定でした。実際に36本が体に突き刺さっている訳ではないのですが、 ラスト大勢の敵の中に飛び込んでいく姿は圧巻ですね。『仇』はこの場面が実に見事で優れているのです。

この映画は顧問だったウー・ミンシュンの役割が非常に大きいでしょうね。彼の姿はパンフを見ると分かりますが、表紙の裏側にモノクロで大きく写っているのが彼、巫敏雄です。(ジュディさんの左に立っている人です。)

役者としても活躍していましたが、やはり監督業に進出してからの方が、彼の才能が十二分に発揮されていると思います。例えば、後にメガホンを取った「ドラゴンの逆襲」(73)や、「子連れドラゴン女人拳」(73)もそうですね。私が好きなのは武侠片だと『頭條好漢』(71)とか変わってて好きですね。功夫片では「少林寺秘伝拳」(76)でしょうか。これは、ホント名作ですよね。

カンフー・マニアを唸らせる物がこれだけあるんですから、執行導演してる本作『仇』が面白く、ヒットに繋がったというのもある意味当然であったと思いますね。劇中、誤解していたジュディさんとヤン・チュンの二人がやがて協力していくプロットは本当に素晴らしかったです。

私が観たDVDですが、"Queen Boxer"のタイトルで英語版でした。ランニング・タイム84分と短くカットされていました(NTSC)。劇場版は英語版だったようなのでフィルムの再生速度はNTSCと同じでしょう。現在PALで89分のものがあるので、ノーカット版はNTSCに換算すると約93分になります。劇場では88分だったと資料に記載があるため、5分程度カットされていたかも知れませんね。


ということで、今回が平成最後の記事になります。ついに平成も今日で終わってしまいますね。私は昭和生まれで平成、そして新しい元号・令和と3つの元号を通過、実感することになります。来月からはその令和の時代に突入します。昭和の和と同じ令"和"です。どんな時代になるんでしょうか。きっと新しいドラゴン達もまたどこかで現れてくれることでしょう。私はまた継続してこんな記事を書いていきたいと思います。それではまたお会いしましょう。

 


The Avenger(1972)

Florence Yu(D)

Cast: 

Judy Lee

Peter K. Yang

Lee Ying

Tang Wei 

 

  (c)Fong Ming Films(HK)


【作品DVD】

英語音声ショートバージョン ※字幕は付きません。

ノーカット版ご希望の方はドイツのamazonなどで購入できます。(リンクは作成できません)

 

 

【サントラCD】

こちらはデジタル・サウンドです。(Pod cast対応)

試聴は♡マークの右の「・・・」をクリックし、何度か「類似した楽曲を再生」を押すと聴けるかも?!

 

黒いジャガーのテーマ(映画「黒いジャガー」から)
ブラノン・ウインド・アンサンブル
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『龍拳』イギリス盤ブルーレイなど

2019-04-24 23:38:42 | ソフト情報

こんにちは、醒龍です。

いよいよジャッキーがブロスナンと共演した話題作「ザ・フォーリナー/復讐者」の公開日が近づいてきましたね。これは楽しみですよ~。10連休の真っ只中、5月3日から全国ロードショウですので映画館へ行きましょうね!!

さて今回は、ひさびさの拳シリーズ、ソフト情報です^^。英エウレカ・エンターテイメントからリリースされたイギリス盤ブルーレイです。(※リージョンBです)

ジャケのイラストが特徴的なソフトですね。リバーシブルになっていて、裏が香港オリジナルの海報となっています。ソフト自体は2Kレストレーションが施された2K修復版です。スリップ・ケースに入ってます。

今回は先日購入した『龍拳』『成龍拳』『蛇鶴八拳』の3本。あと『バトクリ』ですね。

非常にうれしいのが、ロビーカード(レプリカ)なんです。これはかなりうれしい特典ですね。昔、龍拳のLPを買ったときに歌詞カードにオリジナル・ロビーカードが掲載されていたんですが(確か以前の記事でも書いたかと思いますけど)、画像がとても小さくてちょっと残念だったのです。これをいつか手にしたい、実物を目にしたいと思い続けて・・・これが私にとっては長年の夢でありました。

ほぼ葉書サイズのレプリカではありますが、特典にこういったマニアが喜ぶアイテムを入れたりするのは、さすが海外、しかもイギリスならではですね。そして、お決まりの初回限定ってヤツですね。(ケースのみ限定??)まぁこれは商法としては当たり前でしょうから仕方ありませんね。

この龍拳のロビーカード、実は一部のものが、台湾でのタイトル『神拳』になってたんです。いやぁビックリしました!!

龍拳以外にも成龍拳、蛇鶴が同じロビーカードがケースに入っています。これは想像もしてませんでしたが、はじめて見ましたね。(こんなのあったんですね!)全部で4枚ずつケースに入っていますが、もしかしたら本当はもっと枚数があったのかも知れないですね。

ピクチャー・ディスクのデザインは置いといて(笑)、中身のコンテンツはそれほど豪華な感じではありませんが、著名人・知識人の方々、例えばリック・ベイカー氏のインタビューなどが新たに収録されてました。

 あと、同じブランドということでバトクリもパッケージ構成になっているのに笑ってしまいました!!海外の生産部門ではバトクリって同じ扱いなんですね??(まぁいいですが。)イラストが同じタッチで裏面の『殺手壕』がやっぱりいいですね!そういえば、バトクリの日本劇場公開版は結局どうなったのかな??

イギリスでのリリースは、龍拳が一番の売りっぽくて、続いて蛇鶴、ついでに成龍拳てな感じでしょうか。(バトクリは別格か!?)この流れでいくと、天中拳とか飛龍神拳とかこの辺りもこんな感じとなるのでしょうか。出来ればヤンマスあたりも別格で出てくれるとうれしいですが(笑)。

次のタイトルもいつかリリースされるかも知れませんが、また楽しみに待っていたいと思います。ということで拳シリーズ・ソフト情報でした。

See you next time!!

 

 

 

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酔猴女

2019-04-21 23:32:11 | 七十年代作品【1979】

こんにちは、醒龍です。

今年の春は、ゾクゾクと肌寒い日が多かったですね。風も少し強い感じで冷えましたし、コートを脱いだりまた着たりとなかなか温かい陽気になりませんでした。体調は何とか健康をキープしていましたが、先日風邪をひいてしまいました。少しずつ気温も上がっているとは思いますが、体調を維持するのが大変だと思います。皆さんもお気をつけてくださいね。

さて、今回の記事ですが、79年に台湾で制作された映画『醉猴女』についてです。得利影業作品です。一風変わった映画で、なかなか記事にはしづらい面も若干あるのですが、今回見直してみましたのでいろいろ書いてみたいと思います。
 
以前、猿拳映画の系譜という記事を書きました。(リンクはこちらからどうぞ)
もうあれから8年も経過しているんですねー。他に真説モンキーカンフー、モンキーフィスト猿拳などが過去の記事でした。
 
まだまだ同じテーマについては書き切れないくらいあるのですが、その中の一つに今回加えてみようと思います。
 
この映画は猿拳と言っても他のものとは少々趣が異なっています。それは、本当にサルの格好をしているのです(笑)。人間がカンフーを使う映画ではないんですね。なのでこれはファンタジーと呼べるのかも。よって、正確には猿拳映画とは呼べないかもしれません(苦笑)。
 
でも、演じている俳優さんが、実際に猿拳を使っているということで内容を追ってみたいと思いました。
 
この映画の監督が「蛇鶴八拳」や「カンニングモンキー天中拳」でおなじみの陳誌華なんです。
とはいってもこの映画はあまりおすすめできません(笑)。得利影業公司ラインにチェン監督がコラボした珍しい形となっていました。
 
では、その内容ですが、データを見てみると面白いことに気がつきます。それは、林昭雄って日本人みたいな人がクレジットされてたんです。
実はコレ下の点がないだけの林照雄の事のようでした(笑)。
彼はチェン監督の映画にはレギュラー出演してますので、きっと監督のお気に入り俳優さんですよね。あと、喬楓名義で出演したダニー周潤堅(故人)がいました。彼は邵氏出身ながら富国影業のカンフー映画にも出演していたり、そして成家班の一員としての顔もあった幅広い経歴をお持ちの貴重な存在だったのです。
 
主演の俳優さんはレアな顔で、確認してみると、チン・フォンリン(金鳳玲)という名前の女優さん。あまり映画に出演されていないのですが、他に1本だけ『硬功鐵橋三』(79)があるようです。こちらは真っ当なカンフー映画のようですが、機会があればまた別途記事を書いてみたいと思います。ただこの2本はHKFAにはデータが登録されているものの公文書からはもれてしまった様ですね。
 
79年ということで、酔拳というネタは時期的には超が付くほど流行りの題材だったと思うのですが、いってみれば"酔拳"と"猿拳"のコラボです。どんなヤツが面白いかアイデアをいろいろ絞って考えたりしたんでしょうね。
それで監督が「蛇鶴八拳」や「カンニングモンキー天中拳」でおなじみの陳誌華なんです。
とはいってもこの映画はあまりおすすめできません(笑)。
 
ローウェイ時代のジャッキー映画についてはダントツの完成度を誇っていた「蛇鶴八拳」など問題なかったのですが、それ以外の映画の場合、いろんな意味であまり恵まれてはいなかったように思います。いい機会ですので、今回は彼について思う事をいろいろ書いてみようと思います。
 
ジャッキーとはしばらくの間、おそらく上手くいっていたと思います。長年付き添ったジャッキーからの信頼がそれを物語っています。カメラマン一家ですので、ファミリー全体で映画を作ってたんですね。実際に撮影する方の功労者です。ローウェイ時代が終焉する80年以降は状況をあまり把握できませんが、「少林寺木人拳」で脚光を浴びたあと、ここまでが限界と思われます。ちょっと残念な気がします。
80年代前半に日本でブームが起きた頃、その頃に日本で公開できるような台湾製の映画がいくつも撮られていたらまた状況が変わっていたことでしょう。日本でのブームは何年も遅かったので過去の映画を順次公開していたに過ぎなかったんですね。
 
そこはまぁ置いといて、同時期のジャッキー映画以外の部分。変わったことにチャレンジする、または意欲がなくともやむを得ず映画を撮らなきゃいけないような状況だった(と思われる)ものがいくつかあったと思います。
 
では、この映画に話題を戻すとします。
可愛らしい野生のお猿さんとして登場した主人公は、やがて2人の老夫婦にカンフーを教わり、その後、人間へ転生するのですが、怪しい薬品(?)により全身の体毛がなくなって顔も人間っぽく変わって美しい人間の姿に変わります。
ここだけでも仰天してしまいますが、その転生は不完全で、ある体の部位がこの映画のポイントになります。これを逆に奥の手として使っています。
 
本編のおさらいをすると、いくつかパートに分かれます。
1.モンキーガールの登場
2.ドタバタ・カンフー入門
3.四皇子との出会い
4.転生
5.決戦
概要はこんな感じです。とにかく発想はブッ飛ぶ内容の映画である事は間違いないですね。
 
問題は流行とはいえそのコラボ、酔拳の描き方にあると思うのです。
いくら酔拳が爆発的なヒット、酔拳ならイケるという目論見でそれを入れてみたからといって、安易な作りでは観客は離れてしまうでしょう。
 
それ以外にも、最もこの映画でマズい点。これを書いておきたいと思います。
 
1つ言えることは、ロー・リエの扱いがあまりにも雑過ぎていて、途中の賊襲撃シーンとラストにほんのちょっとだけ参加させているのですが、台詞もなにも無いまま、あっさりと終わってしまいます。これはヒドいですね。下手をすると、誰だか分からないまま終わってしまう可能性もあったかと・・。
 
そして、オチに当たる部分。チェン・シンにトドメを刺さない蛇鶴のラストとそっくりなシーンで、ここでトドメを刺すことができないのは分かるのですが、その隙に林照雄が投げたナイフが刺ったままチェン・シンはワープして逃亡、そのままどこかへ消えてしまい、横で格闘中のロー・リエのバトルに乱入し、同じ戦法で今度はトドメを刺すというかなり無茶な展開でした。
なんでこうなってしまったのでしょうか?
 
台湾で活躍していた監督、ホウ・チェンが一応脚本を書いている様ですが、全盛期の倉田先生とも離れてしまってからはかなり質が落ち込んでしまいましたね。
 
低予算が見え見えとなっていまっている、俗にいうロー・バジェット・ムービー(LBM)なんでしょうが(もちろん台湾製)、とにかく見るからに出演者が乏しいですよねぇ。ストーリーもまともであるとは言い難く、なんとかゲスト出演者に空手スター、チェン・シンを引っ張ってこれた感じ。70年代後期はチェン・シンやロー・リエという強者がカンフー映画のボスを演じたりするケースが多くなっています。この映画も御多分にもれずそんな傾向、性質を持っています。
 
私がいいなぁと思ったのは2点。ロー・リエのトンファーを使ったバトルと人間への転生後の特訓シーン。トンファーはシーンとしては短いですが、先が尖ったタイプのトンファーを使用しており、ロー・リエの武器さばきは流石で本当に巧いのです。惚れ惚れしてしまいました。ここに関しての難点は短いところ。もうちょっとチェン・シンVSロー・リエを見たかったですね。
 
特訓シーンは、仕上げの段階でロウソクを並べた八卦陣でカンフーを披露します。台湾らしい表現で80年代によく見られたキョンシーの映画に通じるものがあると思います。ここで流れるのはアンジェラ・マオの『鬼怒川』にも使われていたミキス・テオドラキスの「Z」の音楽ですが、ここから別の曲がかかったりしてますので、ここはまぁまぁの場面ですね。
あと興味深い部分は、康煕帝の遺詔を書き換えるシーンで、例の十四皇子の"十"を"于"の文字に変えるところがありました。これは必ずやっておかないといけないんですね(笑)。
 
最後にアクション面ですが、あの女優さん、まともにアクションはできない様子で、高度なアクションはすべて吹き替えというアクションに終始してました。台湾で79年に公開され、香港での公開は未調査ではありますが、もしかしたら未公開の可能性もありますね。内容的にはちょっとお粗末な映画でした。ここで今回の記事を終わります。
 
追伸:参考までにオンライン・ショップ情報を乗せておきますね。こちらで英語版ソフトが購入できます。
 
次回、平成最後の記事になってしまうかも(!?)ですが、あの女ドラゴンが登場の予定です。
 

The Ape Girl (1979)
Chan Chih Hwa (D)
 
Chin Feng Ling
Chan Sing
Miao Tien 
Danny Chow
Lo Lieh

【作品DVD】
どうしてもDVDの情報を参照したい人向け。(注)リージョン1です。英語音声。
 
Lady Iron Monkey (Dubbed In English)
Kung Fu Theater
Kung Fu Theater

【サントラ】
こちらは、デジタル・ミュージックです。(アルバム全曲試聴できます)
 
Z
ミキス・テオドラキス
FM Records
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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無名英雄

2019-04-10 00:07:31 | 七十年代作品【1971】

こんにちは。醒龍です。

たまたま朝いつも利用するパン屋で、隣のテーブル席が外人さんのファミリーでした。英語と中国語を話していたのでそっちの国あたりと思います。上品なお店ではありますが、珍しいお客さんですね。白人の男性はパンを食べるのにナイフとフォークを使っていました。日本人にはなかなかできないですね。カトラリーは外人さん用に用意してあるのかもしれませんね。ちょっぴりカルチャーショックです。
 

今回は、おなじみ張徹監督の戦争モノで、主演の皆さんが軍人の格好で出てくる映画『無名英雄』(71)です。日本版のセレクションには落選してしまいましたが、まぁいっぱいあるので仕方なかったですよね。

 

ギャラリーはこちらへどうぞ。(Shaw Brothers Universe)

若々しいデイビット・チャン、ティ・ロン、チン・リー3人の青春活劇(・・という言葉が似あうなと思う)の1本です。

先月までは、本当に忙しくてキツイ毎日を送っていましたが、この邵氏メンバーの若い頃の映画がとても癒されますね。栄養ドリンクとか飲んでる気分です(笑)。リラックスすることが、ストレス解消への早道ですね。

音楽が無くて寂しいので、ここに町田義人の『戦士の休息』なんて流してたら、もう最高な気分になれます!!(キッパリ) 

物語は、ニー・クワンが脚本書いてるみたいなんで小説はあるのかしらん。たまにはこんな戦時中のお話もいいかも。

いつもの邵氏のファンファーレの後、オープニングは仏の皇帝・ナポレオンの最後の戦いを描いた伊・露合作映画「ワーテルロー」(70)のテーマに乗ってスタートします。これは映画の内容に近い選択だったのでしょうか。 

 

民初、大小様々な軍閥が群雄割拠していた時代。主人公・孟剛(姜大衛)は、木にぶらさがってサルのような真似をする遊び人だが町では名を知らない者がいないほど、自分の名を轟かせる存在であった。その仲間、流れ者のギャンブラー・鉄虎(ティ・ロン)は兄貴分。もう一人、紅一点の山椒みたいにぴりりと辛い"ペッパー"こと洪銀鳳(チン・リー)は、彼らと共に行動する謎の女性。

革命派の萬泰(谷峰)は、偶然見つけた孟剛をターゲットに選ぶのだった。萬アニキは、孟剛たちに接近して仲間となり、大量のライフル奪取の大仕事を依頼する。それは軍閥の保管する武器庫から銃器を奪って南鎮街(現在の安徽省西渓南鎮か?)へ移送する計画であった。

人一倍気の強いペッパー、実は隊長の娘であった。父親を口車に乗せてライフル輸送用のトラック2台をまんまと騙し取るペッパー。そして、実行部隊は軍需處長(司令官)の弱みを握って、厳重に警備されている武器の保管部署へ侵入し、作戦主任に3000丁のライフルと28000発の銃弾を要求した。しかし、公文書での払い出しを理由に断られてしまう。このミッションは失敗なのか!?険悪な空気が流れる・・。

 

ここからがこの映画の面白い部分だと思います。ベテラン俳優・井淼(チン・ミャオ)がコワーイ総司令官役なのですが、部下を激怒したり、厳しい事を最後まで一人で言っています。このギャップが、この映画には必要なのでしょう。毎回、参謀長(リー・ワンチュン)と電話で会話するシーンがちょっと笑えます(笑)。

途中、谷峰に入れ替わって今度はカンフースター、チェン・シンの登場だ。ここはやや違和感がありますね。(なんで急に交代するの??みたいな・・・。)この時期、現に4人の監督がそれぞれ邵氏で別の映画を撮っており、主演のお二人よりも谷峰の方が多忙だったと思いますので、スケジュールの関係でシナリオを変更した可能性ももしかしたらあるのではないでしょうか。

武術指導はいつもの唐佳と功夫良のコンビです。監督、主演、武術指導がお決まりのメンツなのですが、この構成はホント最強ですよね。監督さんとデイビッド&ティロンのミニマム3名を鉄三角と呼んだりするのですが、3つの役割それぞれも鉄三角だと思います。

ただコテコテのカンフー・アクションのようなものはこの映画には無いです。はい。

ファッションも今回は軍服ですので、ファッショナブルでかっっこいいお二人には軍服も超似合いますね。さすが、トップスターです。軍隊のドラマが進行しますが、時に楽しく、時にシリアスに、このバランスが絶妙で、デイビッド先生の笑顔も数分おきに見ることが出来ますよ(笑)。

途中、バイクを駆り出して乗り回すシーンとか、若さの象徴的な場面ですよね。私はオフロード・バイクでしたけども、あれには難しいコースを攻略する醍醐味があるんですよね。昔はそんな事もありましたね^^。

この映画は戦争モノなんで、コブシとコブシがぶつかり合う肉体的なものはほとんど無くてアクションと言ったら銃剣か銃撃戦ぐらいのもの。実際にライフルを使ったシーンも殆どないのですが、相手を倒すのは小型の銃で撃ってやっつけちゃうんですよね。

また、本物の機関車を使ったシーンがあるのは良いのですが、橋を通過するときの脱線シーンがアレですね(笑)。ちなみに、ここの鉄道を使ったシーンはタイで撮影され、『拳撃』と同時で2週間弱のロケが行われたんだそうです。

線路が続く道を戻ろうとしてトロッコのような台車を漕いで移動するのですが、ティ・ロン、なぜ一人で漕ぐのだ(笑)。ふたりでやればいいじゃないの。ふたりで。

あと、忘れてならないのがワン・チュン。ワン・チュンが非常に凛々しい程(チェン)という名前の高官役でカッコいいですね。このキャスティングは素晴らしかったと思います。そんなに出番は多くないのですが、邵氏作品にはこの顔が必須といえるでしょう。

↑でシナリオを改変した可能性ありと書きましたが、谷峰がいなくなってしまう直前、自分には仲間がいると告げるのですが、肝心のその仲間の名前を言わずに息を引き取るのです。これには実は意味があったんですよね。

そういえば、ティ・ロン主演の「野獣たちの掟」(原題『人民英雄』)という87年の映画がありましたけど、ティ・ロンの魅力が満喫できる作品で良かったですね。気取らない主人公、それでいて勇敢で面倒見のいい男。そんな彼を人々は人民英雄と呼んだという映画なのですが、これがすごくいいんですよね。社会派ドラマですが、これを当時見たときにはティ・ロンの持つ頼もしさ、その優しいキャラクターに引き込まれてしまいましたね。
 
『人民英雄』は、この『無名英雄』とまったく同じです。のちに英雄片が登場、大ヒットしたのもジョン・ウーはもちろん、發仔とティ・ロンの影響が大きかったと思います。そういう意味ではティ・ロンが『無名英雄』に出演した事は非常に重要な意味を持っていたと思います。
 
流れ者を演じた本作品で、のちの英雄片以前に周囲から英雄と呼ばれるようになる温かい、いえもっと熱い人間を演じていたティ・ロン。割と自然な様子で、この時はまだ初々しく役にもそれ程入り込んでいるようには見えなかったですが、『無名英雄』から数えて16年後、再び英雄が映画の中でよみがえった瞬間だったのです。
 
『無名英雄』の最後のところで、それまで目的のために突っ走ってきた3人が銃殺されるという衝撃的な場面を迎えます。これが3人の運命だったのですね。

そして、迎えたラストシーン。何とも微笑ましい場面が映し出されます。余韻にひたる、私。

これでこのドラマは、The End.

"無名英雄"、青春編。そんな感じのする1本でした。



The Anonymous Heroes(1971)


Chang Cheh


David Chiang

Ti Lung

Ching Li

Wong Chung

【作品VCD】

DVDが品切れ、VCDが軒並み残っているという面白い現象が。Yesasiaなどは既に廃盤になってますので買えませんので、ebayでというのもOKですが、どうしても購入したい方は、たった8ドルで(送料無料)タイ語VCDが買えるeTHAICD.comがおすすめです。販売サイト

The Anonymous Heroes Shaws Brothers VCD By IVL by Chang Cheh
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 【関連DVD】

野獣たちの掟(87) イー・トンシン監督作品。超オススメです!

野獣たちの掟 [DVD]
ティ・ロン,トニー・レオン,エイレン・チン,レオン・カーフェイ,チョン・プイ
ラインコミュニケーションズ

 

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映画音楽の巨匠ニーノ・ロータの楽曲。

 Titoli-Ritorno Dall'elba (※試聴はできません)

WATERLOO
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【参考】CD(アルバム) 

もし宜しければこちらも。

日本の歌謡曲ですが、この映画にぴったりマッチすると思います。(個人的意見です)

「 笑って死ねる人生。それさえあればいい。」


町田義人 スーパーベスト
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郭南宏マニアックス・フォーエヴァー

2019-04-08 00:12:54 | その他・研究

こんにちは、醒龍です。

 

早く決まって欲しかった新元号もよくやく”令和”に決まりましたね。早速辞書登録しました。来月から新しい元号になってどんな世の中になるでしょう。香港映画がもっと広まって昔のようなタイプの映画が流行るのを願っています。

 

 

 

今回は久々に郭南宏先生の記事です。時代的にはバリバリの昭和ですね。本当に久しぶりですが、たまに書いてみたくなるんですよね(笑)。好きなファンの方もいらっしゃると思いますので今回取りあげてみた次第です。面白い記事が書けるか分かりませんが、またいろいろ書いてみたいと思います。

 

みなさんの好きな作品は例えばどの作品になりますでしょうか。功夫片?武侠片? 1本に絞るのは難しいかも知れませんが、ちょっとだけ考えてみてください。

 

私はやっぱり『少林寺への道』ですね。なかには気功をテーマにした『ドラゴン太極拳』を選択する人もいらっしゃることでしょうね。あれもなかなか楽しい映画ですので、その選択もありですね。

 

もちろんこれらの作品には武術スター、カーター・ワンの存在が大きいですよね。先生はその時期その時期で使う俳優さんを変えていきましたが、60年代から武侠片を撮っていましたので、最初の頃は田鵬(テン・ポン)を起用していました。

 

それでは、今回は郭南宏先生の作品群を見ていく楽しみ方の一例を伝授させていただきたいと思います。

 

単純にDVDを順番に1本ずつ揃えていくというのはいかがでしょうか。

 

まずご自身で入手できそうなタイトルのリストを作成します。

 

そしてそれに従って順番に探していきます。焦る必要はありませんので、自分にあったペースで進めます。ポイントは、何があっても途中を飛ばさないことです。

 

そして、いまのタイトルを探している間はその映画、その事ばかり考えるようにします。

 

とくかく興味を持ってその映画の世界に入り込むという事が重要だと思います。

 

 

 

こうしていくと、探している物がなかなか見つかったり、いろいろ苦労したりすると思いますが、その大変な苦労を重ねた結果、実際に見つかったときの喜びというものが非常に大きいと思いますし、感動も増えてくると思うのです。

 

 

 

先生のファンでしたら、既にいろいろ御覧の事と思います。古い物はほとんど見たことがないというのでしたら、初期のマスターピースである武侠片『一代剣王』がおすすめです。(オンラインで国内から購入できるお店のリンクを最後に貼っておきますね)または『鬼見愁』でもOKです。ストーリーもシンプルで非常に見やすい映画と思いますので、入門編としては最適ですね。

 

「少林寺への道」シリーズを何度も見ているという方は、どれでもよいのでどれか1本をもう一度見直しをおすすめします。(実は私も最近はこのシリーズから遠ざかっていました。)

 

1本見ればまた次の作品に入りやすくなるので一気にパート4までを見てしまってもそれはそれでOKと思います(笑)。

 

ところで、郭南宏先生ことジョセフ・クオの映画って台湾映画なのか香港映画なのかどっちか気になったことはありませんか。

 

考えると意外にむずかしい(?)この問題に私、醒龍が的確に回答させていただきたいと思います。

 

会社から判断すると思った方、そうなんです。これも当然なのですが、現地法人とかあるともうどちらが本当か分かりませんよね。

 

 

 

 

 

 

 

映画の成績を計る指標として日本で公開された映画ですと、よく雑誌なんかに掲載されている興収ランキングがあったかと思います。もっと細かいものだと日刊興業の速報がありますね。そこまで細かいデータではないですが、あちらでは票房という映画の興行成績を年度別に数値で表したものがあると思います。この資料から判断するのが一番早いですね。

 

 

 

さて、「少林寺への道」は香港映画なのか、台湾映画なのか。

 

 

 

 

 

では、その票房を見てみましょう。

 

 

 

 

 

「少林寺への道」の原題は『少林寺十八銅人』です。76年度の資料はあちこちに点在しますが、例えばこちらにデータがアップされています。香港電影票房 1976 [外語電影] ⇒ リンク先

 

 

 

 

 

答えはどっちと思いましたか?

 

 

 

 

 

 

 

このfacebookの資料を見ると、『少林寺十八銅人』は外国映画のランキングで第6位にランクされていました。当時の広告も見ることが可能な様ですね。ここでいう『少林寺十八銅人』は再編集前のオリジナル75年版のことです。

 

 

 

 

 

 

 

外国語部門に記録が計上されていることで、要するに香港の外、つまり台湾の映画の扱いとなっているのですね。

 

・・という訳で正解は台湾映画でした。(これは簡単に判別するための一例です。)他に何かよい手段がある、こんな方法もあるよ・・等々、何かご存知でしたらメールで結構ですので是非教えてください。

 

注意しなければならないのは、これで作品のすべてが台湾映画と決まった訳ではないという事です。それぞれどこに位置しているのかを確認してはじめて分かる情報です。なので少々面倒ではありますが、どちらなのか気になる作品があれば自分で確認しなければなりません。

 

そういえば、今から10年前、MATVの国内チャンネルで一挙放送されたことがありましたね。あの時は信じられない程、多くのタイトルを放送してました。ただ、テレビでの放送だと限定されてしまうので、やはり望むのはいつでも見ることが出来る映像ソフトです。どんなタイトルでも今の風潮は世界のファンがリマスタリング化を望んでいますよね。

 

当時はまだHDマスターなんて言葉もなかったと思いますが、DVDなんかをはるかに上回るクオリティですの出来れば良いマスターの方がいいですよね。先生の作品群もごく一部ではありますが、国内でもHDマスターのソフトが発売されましたね。ただ、まだ未発売のタイトルもあるようです。

 

ちょっとだけ例をご紹介したいと思います。

 

例えば、聞江龍主演の『少林功夫』(74)がありました。

 

そのタイトルがこちらです。比較のため、順に並べてみます。注)当記事のキャプチャー画像は公開を停止しました。

 

HDマスター

 

 

 

TVサイズ

 

 

 

DVD(レターボックス仕様)

 

HDマスターは映画のフィルムの部分はもちろん良質ですが、マスタリングの際、文字コンテンツの編集は担当者のセンスにかかっています。この例はたまたまですが、題字を右から書く当時の台湾式も再現されていてこの仕様は凄くいいですね。書体も素晴らしい。とにかく私はあのDVDの英文も省略された安易な書体が嫌いでした。一部で人気の高かった「ザ・セブングランドマスター」もそうですね。全部でまだ5本ぐらい。

 

私の好きな『酒仙十八跌』もHDマスターになると、こんな感じです。これはうれしいですね。より迫力のある映像になることは間違いないですね。クレジットは当時の表記を再現しているものだと思われます。レストアはされないパターンですね。

 

冒頭のティエン爺さんの夢。監督は別人ではありますが、この非常に短い酔拳演舞のシーンが同じプロダクションの映画の中に挿入、含めることが実現したことが、どんなにうれしい事であったのか想像できますね。この場面が実に感動的でありました。これが美しい映像とともに再現されたらそれは素晴らしい事だと思います。

 

内容的には賛否両論ではありますが、先生が精魂込めた素晴らしい作品たち。見る人の記憶の中で生きていると思います。今回は、今後につなげるために思ったことをちょっとだけ書いてみました。また、気が向いたときに書くと思います。

 

郭南宏先生の映画たちよ、永遠に。

 

 

 

 

 


【関連DVD】

(HDマスター)

少林寺への道 HDマスター版 [DVD]
ジョセフ・クオ
映像文化社

 

 

(※HDマスターではありません)

ドランクマスター 酒仙拳 [DVD]
ユエン・シャオティエン
マクザム

 

 

※VHS 先着1名様

ドランクマスター~酒仙拳~【日本語吹替版】 [VHS]
ユエン・シャオティエン,ジャック・ロン,サイモン・リー
マクザム

 

 

※旧作DVD

『一代劍王』The Swordsman of All Swordsmen

台湾からの取り寄せの模様です。(税込み¥2500.)送料無料

国内の販売サイトはこちら

 


 

 

 

 

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