75年華夏影業公司製作、ジュディー・リー主演の台湾映画。
(英語題名:Snake Woman's Marriage)
監督は、低予算功夫片『十面威風』(73)や、くねくねヨガを得意とするカンフーガールが大暴れする『軟骨真功夫』(79)を撮った孫陽です。(脚本は文星)
この映画は、中国の四大民間伝承の1つとして数えられる「白蛇伝」をベースにした映画です。又名が『新白蛇傳』(=台湾題名)ということで、新しい解釈の映画となっています。
峨眉山の洞窟に住んでいた白蛇精の白娘子(嘉凌)
と妹の青蛇精、小青(張琴)は人間の姿に変えて人間界に来て、西湖へ遊びに来ていた。
江彬(チン・ピン)
そこへ通りがかった酔っ払いの男(魯平)が、2人にいちゃもんをつけてきたところへ、青年の許仙(江彬)が助けに入る。しかし、許仙は逆に湖に落とされてしまう。
魯平(ルー・ピン)
普段は衣服も着ないでいるようなオッサン全開の魯平だが、この映画ではきちんとした服装なのである。役柄が町のお金持ちだからなのだが(笑)。
道士登場!(このシーンはちょっとコミカルになっています。)
法術を施すシーンなんて、この75年という時期にしてはかなり早く映画に取り入れていて、台湾ではこういったコミカルな要素の描写も作り易い土壌、そして観客もそれを望んでる風土なんですよね。
道士(梁二)とチョイ役の陳慧樓さん
許仙が無理やり厄除けに効くという雄黄酒を飲ませると、正体を現してその姿を見た許仙は気を失って眠った状態になってしまう。
治癒の効果のある霊芝を求めて遠く離れた雪の降る仙界までやってきた白娘子は、強いガーディアンたちと一戦を交え、見つけた霊芝をくわえたまま戦い続ける・・。
そこへ、長老の南極仙翁が現れて本物の霊芝を白娘子に授けた。早速持ち帰ってその霊芝の力で許仙は無事生き返るのだった。白蛇の娘子は自分の正体を隠したまま、許仙と結婚して、やがて息子が生まれた。
金山寺の法海禅士(王孫)が許仙の前に現れ、既に白娘子を見抜いていた法海は許仙を諭し、寺に匿った。
そして、あとを追って金山寺に向かった白娘子が「夫を返してほしい」と懇願しても、法海は許さない。怒った姉妹は寺に洪水を起こしてしまうが、寺の中には許仙がおり、それを見た白娘子は自分の行いを後悔した。
クライマックス。法海が退治しようとして、最後に再び姿を現す白蛇。
しかし、法海の術により白娘子は霊峰塔に閉じ込められてしまい、
息子の仕林(葉小益)は、ただただ泣くばかりであった・・・(涙)。
てっきりUFOにでも連れていかれるのかと思いましたが、映画のラストはこんな演出となっています。
ちなみにこの白蛇伝の物語は、何度も映画化されていますね。
例えば、邵氏では岳楓導演の『白蛇傳』(62)などがあります。
こちらは未見ですが、このエンディング画像を見る限り、ハッピーエンドのようですね。
ーおわりー
【参考情報1】
今回の記事の「白蛇伝」の小説に関する情報です。
1970年刊 平凡社 中国古典文学大系第25巻 宋・元・明通俗小説選
「白夫人がとこしえに雷峰塔に鎮められたこと」
P.150~180に渡って小説が収録されています。
【参考情報2】
現在も白蛇伝のドラマや映画化が盛んに行われてますが(ジェット・リーも!またいつか書いてみたいですが、これも面白いです。)、論文を書かれている人もいました。なぜ人はここまで白蛇伝説にのめり込むのでしょうか?この疑問にある程度答えてくれています。200数十ページにも及ぶ圧巻!
https://core.ac.uk/download/pdf/211164254.pdf